日経おとなの OFF (オフ) 2012年 08月号 [雑誌] 価格:¥ 680(税込) 発売日:2012-07-06 |
人間一生は誠に俄にわずかの事也。好いた事をして暮らすべき也。夢の間の世の中に、好かぬ事ばかりして、苦を見て暮らすは愚かなること也。
10月のことばは、『葉隠』の編集者・山本常朝=つねとも(1659~1719)の言葉です。『葉隠』は山本常朝が口で述べたものを、文字にしたもの。今で言えば、口述筆記というのでしょうか。
例の「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という一節で有名な書物です。というか、それしか知らない。もちろん、全体を読んだことなどない。というはわけで恥ずかしながら、孫引きです。
何からの引用かというと、羞恥心もなく明かしてしまえば、『日経おとなのOFF』の2012年8月号「座右の銘の見つけ方」という特集号からの孫引きです。
掲示板に使えるものがあるだろうと買っておいたのですが……。使えるには使えるのですが……。羞恥心はないと書きましたが、やっぱしねぇー。いくらなんでも安直すぎる。が、9月末まで続く異常な残暑にまけて、つい安易に手を出してしまったわけです。
さて、この言葉を座右の銘の候補としてあげたのは、作家の晴山陽一氏。氏はこう解説します。(好きなことをして暮らすべきである、などという嬉しくなるような言葉が)武士の心得を説いた『葉隠』だと思うとなおさら、気持ちが楽になる。もっとも、この後は「わろく聞いては害になること故、若き衆などには終に語らぬ奥の手也」と続く。大前提に武士としての厳格な倫理観があることをお忘れなく、と。
誰の言葉だったかは忘れたけれど、「文の要約ほど無意味なものはない」というフレーズを「名言辞典」で見たことがあります。名言隻語は、その前後が省略されたダイジェスト版であることを忘れてはならない。ということを教えてくれる座右の銘でした。