八月はお盆月です。お盆は七月十五日が正式なのですが、八月のお盆は旧暦かというと、そうではない。一ヶ月遅れのお盆です。
松岩寺のお盆も八月で十五日にお盆の法要(お施餓鬼)をします。そんなわけで、例年今月のことばは八月一日にお盆らしいことばにして、一か月もたせるか。あるいは十日頃にお盆バージョンに書き換えるかしているのですが、今年はずばり、八月十五日で始まる俳句にしましたが、これって解説がないとわかりにくい。そこで、孫引きの元になった櫂未知子著『食の一句』(ふらんす堂刊)の櫂女史の解説を転載して今月のことばの背景といたします。
すいとんにせよ雑穀入りごはんにせよ、本来は他の食べ物が充実していてこそ価値ある物だ。敗戦後六十年近くを経て、日本人はダイエット談義に花を咲かせるようになった。この句は浅く読めば、単純に平和を謳歌しているように見える。しかし、〈贅肉〉すら持てなかったかつての日本を逆から描いてまことに秀抜である。〈真幸く〉という万葉以来の歴史ある言葉を軽々と用いており、掲載の句集が刊行された年に、私はこの句をベストワンに挙げた。(『ゆく船』)季語=敗戦忌(秋)