花地蔵つれづれ日記

古美術、芸術全般、日々気になること。

李朝黄伊羅保菓子鉢

2019-10-31 05:46:31 | アート 文化 古美術


李朝時代中期の黄伊羅保菓子鉢です。
気品のある黄色の発色、使い込まれた味わい深い表情、景色抜群の器です。
轆轤目が筋立ち、スピード感が感じられる力強い造形となっています。
口辺が描き出す曲線も美しく、見込みの砂目が景色に奥行きを与えています。
荒々しい表情と、引き締まった端正な形を合わせ持ち、魅力的です。
菓子鉢となっていますが、濃茶の茶碗としても楽しめると思います。
眺めているだけでも、十分満足頂ける、鑑賞に耐える器です。

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興福寺絵馬残欠

2019-10-29 06:14:39 | アート 文化 古美術


室町時代後期の興福寺絵馬残欠です。
唐獅子・牡丹などが、生命感に溢れ生き生きと、描かれています。
エネルギーが伝わって来る力強い絵です。
力量のある絵師によるものでしょう。
制作当時は色彩豊かに描かれていたようですが、時を経て、時代の残り香のように色彩が残っています。
木の味わいとともに、風情のある景色となっています。
残欠ながら、その時代の祈りが、形となって見えて来るようです。

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志野向付(梅花文四方抱鉢)

2019-10-23 05:45:45 | アート 文化 古美術


桃山時代の 志野向付(梅花文四方抱鉢)です。
淡雪が降り積もったような、ふんわりとした温かみのある白い釉薬の上に、たっぷりと余白をとりながら、鉄絵で可憐な梅花文が描かれています。
余白にも余韻が感じられ、詩情溢れる絵画を見るようです。
ところどころに現われている赤褐色の焦げ(火色)と、柚子の皮のような肌の表情(柚子肌)とが対比、かつ、調和し、生き生きとした様相を呈しています。
志野ならではの趣きがあります。
内に秘めた力が、うねるように器の端々に表出し、力強い造形となっています。
志野の魅力が満喫出来る、気品漂う、味わい深い器です。

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常滑山茶碗

2019-10-19 06:32:02 | アート 文化 古美術


平安時代末期から鎌倉時代の常滑山茶碗です。
焼き締まり、少し赤味がかった土と、自然釉が織り成す景色が魅力的です。
使い込まれて出来た味わいも、過ぎ去った時代を感じさせます。
見込みが滑らかなので、茶を点てても茶筅を痛めないところもありがたいです。
眺めていても、楽しめる山茶碗です。

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黒織部茶碗

2019-10-10 09:14:47 | アート 文化 古美術


桃山時代の黒織部茶碗です。
作いきは、土がうねるような動的な力強さに満ちています。口辺が描き出す曲線は、なだらかに連なる山脈の流れを眺めるようで美しく、堂々とした風格を醸し出しています。
胴には、織部独特の軽妙で優美な描線が、簡潔な掻き落としで描かれ、掻き落とし線に白泥が丁寧に充填されています。
白の描線と黒とのコントラストが鮮明で、生き生きとした生命力さえ感じ取れます。
形は素直で、手にしっくりと納まり、お茶の飲み心地も良いです。
継ぎの茶碗ながら、その大部分が同じ器の陶片で構成され、丁寧な漆による繕いが施され堅牢です。形の歪みが少ないため、完成度の高い茶碗となっています。
桃山の時代の雰囲気と、織部の茶碗の斬新な芸術性が、満喫できる茶碗です。

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