花地蔵つれづれ日記

古美術、芸術全般、日々気になること。

古染付芙蓉手八宝文菓子鉢

2019-08-28 20:27:38 | アート 文化 古美術


中国明時代末期の景徳鎮民窯で焼かれた古染付芙蓉手八宝文菓子鉢です。
見込みに八宝文、縁文様として草花文と八宝文が窓の中に描かれています。
器胎はろくろ成形後に型を用い、周縁部の窓枠を区切るように凹凸が施されており、指で触れるとハッキリ感じ取ることができます。
大きさは七寸、高さ約4cmと低く、深めの皿と言ってもいいような鉢です。
菓子鉢として使いやすい大きさですが、もちろん、絵皿として鑑賞されても、十分楽しめる美しい器です。
「平凡社版 中国の陶磁10 明末清初の民窯」で解説されている芙蓉手の展開の第四期、1610年頃から40年頃、オランダ東インド会社の活動による大量輸出時代に制作されたものです。

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興福寺千体仏・観音菩薩立像

2019-08-22 08:51:46 | アート 文化 古美術


平安時代後期の興福寺千体仏・観音菩薩立像です。

興福寺千体仏は興福寺に伝わったものですが、明治以降に排仏棄釈により民間に流出しました。

興福寺千体仏は、保管された状態が悪く、通常、両手なし、脚先なし、台座なしのものが多く見られます。台座、両手、脚先は、ほとんどの物が後補であり、後補されたものが当たり前という仏像です。この像もその例外ではありません。
ですが、この仏像は、朽ちた部分の補修が後補によって丁寧に行われており、像本来の美しさを引き出しています。
興福寺千体仏の多くは室町時代頃に腕などが修理され、金箔を置かれ、台座を補修したらしいと言われていますが、この像にも金箔が置かれたときの漆と金箔の跡が、わずかにあります。時代を経て何回か補修が施されてきた像のようであり、それぞれの時代の補修の痕跡が残されています。

像には幾多の困難な時代を経て、守り伝え続けられて来た歴史が刻まれているようです。
像本体の木は、枯れた表情をなし、旋律を奏でるように細かな木目が浮き立ち、繊細優美な彫りが施されています。
静かな佇まいをもつ、凛とした空気の漂う、美しい仏像です。

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遠い雲の下

2019-08-18 14:54:14 | アート 文化 古美術


まだ夏休み気分です。
昨日、妙高市の「遠い雲の下」という喫茶店へ行った来ました。
私が、ギャラリーをやっていた時に、展示会をしてくださった関谷昌夫氏の絵を見るのが目的です。
店は古民家喫茶で、なかなか雰囲気の楽しめる造りです。
関谷さんの絵がしっくりと納まっていました。絵とは久しぶりの再会です。
やはり魅力的。
絵を見ながらのカフェラテも美味しく、行った甲斐あり。



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瑠璃色の花のようなぐい呑

2019-08-14 08:41:08 | アート 文化 古美術


江戸時代中期の古伊万理瑠璃輪花ぐい呑です。
全体を被う魅惑的な瑠璃色と、輪花の口辺の金彩が美しいコントラストをなしています。
瑠璃色の花が、華やかに咲いているような印象を与える器です。
花の中から、お酒の香りが立ち上がるようで、いつものお酒とは一味違う楽しみが味わえます。
一見、口辺の造りが、飲みづらそうに見えますが、さにあらず、口当たりも良く、お酒も滑らかに口に運べます。手の収まりも良い、楽しいぐい呑です。

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李朝華角貼枕隅「鳳凰の図」

2019-08-13 05:55:34 | アート 文化 古美術


李朝時代中期から後期の華角貼(かかくばり)枕隅(ちんぐう)です。
華角貼(かかくばり)は、李朝独特の工芸です。薄く削った牛の角の裏面に透けて見えるように原色で文様を描き、木製の器面にはり付けたもので、簞笥(たんす)、鏡台、ものさし、糸巻きなど主に女性用の品々に用いられました。
図も、やはり、男性的な虎ではなく、女性的な鳳凰の図ですので、女性の枕に取りつけられたのでしょう。華角貼という凝った装飾からも、この枕隅は上流階級の女性が用いたもののようです。優美な雰囲気が漂っています。
絵は華麗でありながら、大胆に自由闊達に描かれています。李朝時代の美意識の高さを表わしているようです。
木目が浮き立つ木の枯れ具合に過ぎ去った時代の長さを感じます。

枕隅とは、布製の枕や、座右に置き肘をついて安息するための調度脇息(きょうそく)の両側の縢(かが)った部分を留めかつ装飾したものです。穴が有りますが、この穴に糸を通して枕の本体に縫い付けました。

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違和感

2019-08-10 18:55:34 | アート 文化 古美術


朝、起きるとNHKの高校野球「日本文理× 関東第一」が始まっていたので、朝食をとりながら見ていました。新潟の高校ということもあり、日本文理を応援していたのですが、敗れてしまい「今年の甲子園も、終わったな。」という気分です。
やることもないので、昼、妻とイタリアンのレストランにランチを食べに行きました。その後、暑いので「蓮でも見ながら、涼もうか。」と、最近、公園の中に建てられた公共施設の喫茶店に行ってみました。椅子に座ると、建物は建てたばかりで、清潔で綺麗なのですが、なぜか落ち着かない。休日で、人が多かったせいかもしれませんが、現代的な建物に「何か違和感」を感じるようになったのは、古美術商という職業のせいか、歳を取ったせいなのか・・・。

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李朝 ヒュンベ(胸背)

2019-08-06 06:15:09 | アート 文化 古美術


李朝時代中期頃に制作された双鶴胸背(ヒュンベ)です。
刺繍の糸は古色を帯び、一部にヤツレもあり、時代を感じさせる風格ある、落ち着いた色調になっています。非常に丁寧で巧みな刺繍が施されています。シックな中にも華やかさを感じさせる色彩と構成です。鶴も動きのある生き生きとした表現で、李朝時代の美意識の高さと品格を示すような一品です。
胸背(ヒュンベ)は、朝鮮王朝時代の史官の品階を示す装身具で、人物の品階に応じて厳格に定められていました。
史官用の胸背は、その名のとおり胸と背の二か所に付け、職位や身分によって文様がこまかく定められ、文官には孔雀・鶴・雁などの鳥類、武官には、麒麟・虎・猪・鹿などの獣類が用いられていました。それらの周囲には雲・不老草・牡丹・太陽などの長生文が刺繍されています。
この双鶴胸背(ヒュンベ)は、正三品以上の文官がつけた朝鮮王朝時代の階級証です。飛翔する二羽の鶴のまわりに雲、波、岩などが色鮮やかに刺繍されています。ちなみに鶴が一羽の単鶴胸背は、従三品以下の文官用です。

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初期手梅文蕎麦猪口

2019-08-01 06:32:28 | アート 文化 古美術


江戸時代中期の古伊万里の初期手梅文蕎麦猪口です。
分厚い上げ底高台で、初期手らしい、程良い重みのある手取りです。
とろりとした生掛けの釉薬の表情が魅力的です。
その上に、勢いのある筆致で、梅の図が生き生きと描かれています。
あがり、発色とも良好です。
胴から裾にかけて引き締まった美しい器形で、小振りな大きさですから、酒の猪口としてはベストでしょう。
この商売を始めた時に、業者間の会で競り、初めて手にした品も、やはり初期手の梅図の蕎麦猪口でした。そのころの思い出が蘇ってくる品でもあります。

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