李朝白磁盃・分院里窯 2020-03-31 05:50:41 | アート 文化 古美術 李朝時代後期、官窯の分院里窯で制作された白磁盃です。 白磁の白は、青白味を帯びた分院里窯特有の釉色で、気品高く、美しく発色しています。 形に張りがあり、器のシルエットが描く曲線はふくよかです。 器全体の作いきは力強く、貫禄があります。 口辺に丸みがあり、口当たりも柔らかいので、お酒の味もまろやかに感じられるでしょう。 奥行のある美しい白色と端正な形を持つ、品格が漂う盃です。 これからの季節、爽やかな気分でお酒が楽しめると思います。 https://hanajizou.com/
金銅阿弥陀如来坐像懸仏 2020-03-17 05:55:23 | アート 文化 古美術 鎌倉時代の金銅阿弥陀如来坐像懸仏です。 鍍金の輝きに包まれた、美しい金銅阿弥陀如来坐像です。 時代を経た鍍金は、味わい深さを増し、魅力的です。 顔の表情は愛らしく、穏やかに微笑みながらも、精悍な眼差しをしています。 像の表現は鎌倉の様式を備え、彫りは深く、写実的です。 ボリュームのある肉付きで、作いきは力強く重厚感を感じさせます。 蓮台(れんだい)・光背等は別鋳造で、後で組み立てる形式を取っていますが、 このような制作方法は鎌倉時代にはすでにありました。 像本体は台座に自立して、独自の存在感を発しています。 時代がありながらも、これほど状態が良く鍍金が残っている懸仏は、なかなか出て来ません。 その姿は、静かに世界を眺めているようです。 心を強く支えてくれるような、神々しさを持つ仏像です。 https://hanajizou.com/
「新型コロナウイルス」疲れ 2020-03-15 17:53:10 | アート 文化 古美術 少々「新型コロナウイルス」疲れです。人込みを避けて部屋にいることが多くなったので、気分がスッキリしません。 気分転換といえば、ドライブです。今日は、久々に陽気も良く、近くの海まで出かけました。 海岸には、家族連れや、波と遊んでいる子供、海を見ながら散歩しているカップルなど、ちらほらと見かけました。 潮風は、まだ少しひんやりとして、胸いっぱいに息を吸い込むと、肺が沁みるような感覚がありました。しかし、胸の中の空気を交換したようで気分が良かったです。 「新型コロナウイルス」が早く治まることを願っていますが、長い闘いを覚悟しなければならないようです。 https://hanajizou.com/
唐招提寺釘隠香合 2020-03-06 10:20:01 | アート 文化 古美術 天平時代の唐招提寺釘隠香合です。 天平(奈良)時代に建立された、唐招提寺金堂の古材を用いて造られた香合です。 「天平の甍」の呼び名で親しまれている、唐招提寺金堂(国宝・世界文化遺産登録)は、8世紀末に建立され、鎌倉、江戸、明治時代に大規模な修理がなされてきました。 本品の釘隠しは、修理の際、金堂内の釘隠しを取り替えられた際に出たものです。 朽ちかけた枯れた木に漆箔(漆を塗った上に金箔を押したもの)が残り、時代を経て黒味を帯びた古材と、厚手の金箔が美しいコントラストを描いています。 歴史の流れが刻み込まれた姿に、天平の仏像を見るような重厚さと風格を感じます。 その味わいは、仏教美術の愛好者ならずとも、人の心を鷲づかみする、 堪らない魅力を放っています。 天平時代の面影と香りを漂わせている見事な香合です。 貴重な逸品です。 https://hanajizou.com/
李朝刷毛目蕎麦手茶碗 2020-03-02 08:41:03 | アート 文化 古美術 李朝時代前期の刷毛目蕎麦手茶碗です。 「高麗茶碗・第一巻 中央公論社」に紹介されている 伝来 根津嘉一郎…根津美術館蔵の四十「刷毛目(蕎麦手)」と同手の茶碗です。 同著の作品解説にもあるように、器は、蕎麦と似た姿の茶碗ですが、土味、釉調は蕎麦と異なります。胴は抑揚をつけてゆるやかに立ち上がり、高台は小振りにおとなしく削り出され、高台内の削り込みは浅いです。内面見込みは平らに切りまわされ、その中に目跡が五つくっきりと残っています。内側には白い刷毛目がめぐらされ、内外に青磁釉がかなり厚くかかっています。同著に紹介されているもう一品の「刷毛目(蕎麦手)」の作品解説には「類例の極めて少ない珍しい作振りの内刷毛目茶碗である。」とあります。 伝世の茶碗ならではの、使い込まれた艶やかな潤いのある肌は、人の心を引き付けます。時代の経過を感じさせる味わいのある表情、勢いのある刷毛目跡も魅力的です。 茶碗を、使い、伝えて来た茶人たちの、茶碗を愛でる眼の優しさ、手の温もりまで伝わってくるようです。 「時が茶碗を作る」ということが実感できる美しい茶碗です。 https://hanajizou.com/