花地蔵つれづれ日記

古美術、芸術全般、日々気になること。

李朝粉引耳盃

2020-01-30 09:48:41 | アート 文化 古美術


李朝時代前期の粉引耳盃です。
胎土は鉄分の多い黒土で、上から全体に白土で化粧がけが施されています。その白は、柔らかく、優しく、器全体を包み込んでいるようです。
さらにその上に掛けられた透明釉は高麗青磁の系譜を引き、そのつやつやした釉は、ほんのりと淡い青色を帯びています。
器表面に散在する孔(あな)からは、酒が浸み込み、長い年月を経て美しい雨漏の世界を描き出しています。
この器のフォルムと、そこに広がる雨漏の景色は、鑑賞陶器の視点で見ても人を魅了します。
その景色を愛でながら、お酒を楽しまれてはいかがでしょうか。
■雨漏りとは、陶磁器を長く使用している間に、気泡穴や、窯キズ、貫入、石ハゼ等から、茶渋・水・酒等の水分が浸み込み、
あたかも雨漏りのような染みの出た現象を言います。茶の世界では、このシミを天井板に出る雨漏りのシミに見立てて「雨漏」と呼び、
そこに侘びた風情を感じ取り賞玩しました。

https://hanajizou.com/

新羅金銅仏如来立像

2020-01-22 11:37:50 | アート 文化 古美術


統一新羅時代の金銅仏如来立像です。
一目見ただけで人の心を打つような仏像がありますが、この像もそうでした。
初めて見た時に、出来ることなら自分の手にしたいと思いました。
この像には、そんな、人を惹きつけてやまない魅力があります。
鍍金が、時代を経た、落ち着いた輝きを発し、心をときめかせます。
像の作行きも良く、威厳のある美しい顔立ちは、見つめているだけで満たされるものがあります。
また、凛として立つその佇まいは、堂々とした風格が感じられ、見事です。
衣文の動きにもダイナミックな力強さがあり、像全体に力がみなぎっています。
じっと眺めていると、像の陰影に、像が見て来た過ぎ去りし時代の情景が浮かび上がって来るようです。
幾多の時代、人々の心を支え、励まし、勇気を与えて来たのでしょう。大きく包み込むようなオーラを放つ、優品如来像です。

https://hanajizou.com/

おいしい骨董

2020-01-01 09:34:57 | アート 文化 古美術


新年おめでとうございます。花地蔵は、今年「おいしい骨董」をスローガンにしたいと思っています。
糸井重里さんが1982年に考案され、西武百貨店のキャッチコピーとして使用された名コピー「おいしい生活」をベースにしました。今の自分の骨董に対する気分を一番表している言葉だと思います。
古美術花地蔵は、2000年1月に開業し、今年で20年になります。「とにかく、自分が美しいと感じる品を扱いたい。」という思いで、今までやってきました。開業当初は、暗中模索、無我夢中でした。それは、今も変わりません。なんとかやって来られたのは、それを感じてくださったお客様の支えがあってのことだと感謝しています。
お客様が、美を堪能し、より生活を楽しめるように「おいしい」と感じて頂ける古美術品を提供していく。これを一番に考え活動していきたいと思います。今年も、よろしくお願いします。

https://hanajizou.com/