現代版徒然草素描

勝手気ままに感じたままを綴ってみましょう。

おじさんの記憶

2009-01-09 11:42:18 | 創意工夫ということ

新規な日用品の宣伝販売をしていたことがある

 若いころ、新規な日用品の宣伝販売をしていた時期がある。店頭に並んでいない商品を売って見せるということである。そんな経験から、「ここをちょっと変えればもっと使い勝手が良いのに、」と思える商品がいくつかあった。中には、実用新案や、特許出願中のものもあった。

そのころから、いずれは自分で権利化した商品を提供したいという目標は出来上がっていたことになる。宣伝販売のコツや、セールストークの研究もその間にしてきたことである。わかりやすい言葉で表現することや、AIDOMの原理や販売と広告の心理学、商品開発のコンセプトに関わることである。上手に表現できるかできないかによって売り上げに直結していることになる。

宿に帰って反省である。「あそこの言い回しをこう変えてみよう。」「もっと簡単に表現する方法はないものか。」「ここは少々時間をかけてゆっくりと、・・・。」等々である。大方は自分で自分に問いかけるという方法である(一人ブレーンストーミングという方法。)。仲間がいたときは「どこか気になったところはないか。」と聞くことにした。

最初のころはテープレコーダーを使用して何を言っているのか分析してみた。ハードとソフトをいかに盛り込むことできるか。「どうしたらお客さんにリラックスしていただけるのか。」説明の難しい商品ほどこのことに気をつけなければならない。「クロージングのタイミングと次のお客さんをひきつけておく方法は、」クロージングでお客さんが途切れてしまっては何の意味もないことに成る。「次はここから説明します。」あるいは「次は、こういう順番で説明したいと思っている。」「先の説明で不十分だと感じている人は残って再度見ていってください。」と一言、お客さんの一番関心のあるところから入ることでクロージングしてお帰りになるお客さんと次のお客さんがスムースに入れ替えできることになる。

中には、「この作り方を先に説明していただけますか。」とリクエストしてくるお客さんもいた。「では、そちらから先にしましょう。」これなら商品をお求めになった人でももう一度その箇所だけしっかり確認したいという人は数人残っていることになる。何回も同じ商品説明していると「この箇所が良くわからなかった。」「使ってみたら今までのよりはずいぶん良かった。」といって数本まとめて買っていただいた人がいた。そういう時は売り上げが多いことになる。

私はその方のプロと思われているところにすでに利用した人がいて一本といわずに近所のものや、親戚の分、嫁に行っている娘さんの分をまとめて買っていただけるし、それを見ている人も安心して買っていただけることになる。そんな経験の中からストーリー性のある商品を開発しなければならないということである。

このことは何回もメーカーにいってきた。営業担当者は開発の部門には関与できなくなっているのだろう。極端に専門化するとなかなか改善ということはできなくなる。現場のことがフードバックされていないのだろう。なかなかそういう商品を見つけ出せずにいるらしい。

現在の仕事をするようになってからもメーカーの持ってくる商品は一応このチェックをかけてある。なかなか自分で納得できないものはパッケージを長く机の上に置いておくことで、その商品がどこへ嫁入りしたいか語りかけてくるものである。この自己主張できないような商品は売るのに苦労したという苦い経験がある。メーカーへの支払いが済んでいるのに仕入れた量の半分くらいしか売れていないということが起こってしまいかねないのだ。

メーカーの開発者が一体何を考えているのだろうと思える商品もあった。そういうものはどんなに長く付き合ってきたところであっても極力仕入れないという方向で対応してきたが、判断をミスしているものもある。

お客さんが「どうしてもほしいので用意してください。」といってきたものはその限りではない。また、メーカーの営業もプレゼンテイションができていない。中間業者に卸すという行為は相手先がそれなりの情報を持っているので売りやすいことになる。直接消費者に売っていないのでその辺の機微が飲み込めていないような気がしている。なるべく優しく表現するということが肝要である。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿