格差是正が世界共通の課題となった

メルマガで毎号考察している格差是正問題について、一部紹介します。

11月6日に放送されたNHK・BSドキュメンタリー「エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く」は、なかなかでした。トッド氏はフランスの人口学者・歴史学者ということですが、トマ・ピケティ氏と同様、明快でインパクトのある言葉が沢山ありました。

中でも私の印象に残ったのは、
「グローバリズムの理想は世界中の人々が皆平等になることでした。だが実際にグローバル化がもたらしたのは、社会の分断と格差の拡大でした/もっと国という枠組みを意識する必要があります。エリートと大衆の断絶をなくし、同じ国の仲間だという意識を持って、ひとつにまとまるべきです」。

トッド氏の言う通り、トランプ次期大統領の勝利と、クリントン氏の敗北・サンダース氏の善戦も、英国のEU離脱も、そしてトッド氏が予言するEUの崩壊・中国の崩壊も、グローバリズム=強欲資本主義がもたらした社会の分断と格差の拡大が原因だと思います。

今や格差の是正は世界共通の課題となりましたが、これを解決するには、国という枠組みの中で、民主主義の実現という方法で、格差を是正していくしかないと思います。そして、すべての国々が国内に格差の是正という課題を抱えていることを認識して、国民国家の連合としての国連(United Nations)を中心として、すべての国々がwinwinとなるような国際関係を構築していくべきだと思います。

私がTPPに強く反対して、一定の国境措置を認めて、消費者・市民も含めて参加各国すべてがwinwinの関係を構築できるRCEPを推進すべきだと主張する理由もここにあると思っています。

 

●はたともこブログ「財政投融資資金を格差是正政策に活用

●はたともこブログ「TPPではなく、日本主導のRCEPを!

●はたともこブログ「官製ワーキングプア問題をどう解決するか

 

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財政投融資資金を格差是正政策に活用

10月11日に成立した平成28年度第2次補正予算でJR東海のリニア中央新幹線に、2年間で3兆円の財政投融資資金による低利融資が決まりましたが、もちろん私は、このJR東海の「有害無益」な事業に対する公的資金の投入には、大反対です。

私は、超低金利の財政投融資資金を格差是正政策に活用すべきだと思います。一定の利子補給金を予算化すれば、その数百倍の資金を政策実現に活用できます。

第一に行うべきは、有利子奨学金を全て無利子化することです。現在、(独)日本学生支援機構の奨学金の財源となっている約6兆円の財投債を、現在のマイナス金利の財投債に借り換えれば、平成28年度85万7千人の有利子奨学金貸与者を、即座に全員、所得連動型返済猶予・免除型無利子奨学金にすることができます。

さらに、生活困窮者自立支援策として、大学や専門学校で資格取得して就職するための特別奨学金も充実させるべきです。

第二に行うべきは、(独)都市再生機構(UR都市機構)及び地方公共団体による低家賃公営住宅の供給です。URについては、現在の有利子負債約12兆円を、全てマイナス金利財投債に借り換えて、低家賃公営住宅供給を最優先とする組織改革を行うべきです。

若いカップルが結婚して子育てをするためにも、十分な年金がない高齢者の生活保障のためにも、ワーキングプアと呼ばれる人たちの支援のためにも、月2~5万円程度の低家賃公営住宅の大量供給が必要です。さらに、URは、20年後には全国で2000万戸超になると推定される「空き家」対策・活用機関としても活動すべきだと思います。

第三は、非正規・派遣労働の人たちを短時間正職員として採用する、都道府県単位の「人材派遣公社」を設立することです。保育士さんを例にとると、現在は約6万人が、地方公務員の臨時・非常勤職員です。保育士さんの給与の基準は国家公務員福祉職1級の待遇で、週3日の短時間正社員となれば、東京23区の場合、短大卒30歳で年収259万円、40歳で年収302万円、50歳で年収323万円で、短時間2人で1人分の年収ということになり、一種のワークシェアリングです。

そして、この短時間正職員の人たちを都道府県単位で、人材派遣公社所属とし、フルタイムを希望する場合は、残りの2日を臨時・非常勤あるいは派遣で働くか、あるいは他の仕事と兼業するということになります。

財務省HP「平成28年度財政投融資計画のポイント」(H28.1.22)

 

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官製ワーキングプア問題をどう解決するか

官製ワーキングプアの問題を、保育士を例に考えてみたいと思います。

総務省の調査では、平成28年4月1日現在、地方公務員の臨時・非常勤職員は全国で64万4725人、女性が48万2438人(74.8%)、男性が16万2287人(25.2%)でした。職種別では、事務補助職員が約10万人、教員・講師が約9万人、保育所保育士が約6万人、給食調理員が約4万人、図書館職員1.7万人、看護師約1.6万人、となっています。

勤務時間別では、フルタイム約20万人(31.4%)、フルタイムの4分の3超約21万人(31.8%)、フルタイムの4分の3以下約24万人(36.7%)です。

給与については、この調査(速報版)にはありませんが、フルタイムでも、正規職員の1/2~1/3とも言われています。

そこで、私の提案ですが、短時間正社員制度を活用して、希望者全員を例えば週3日の短時間正社員として採用したらどうでしょうか。短時間正社員は、
1.期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
2.時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等の短時間正社員で、社会保険も適用となる、というものです。

例えば、保育士さんを例にとると、東京23区の場合、保育士さんの給与の基準は国家公務員福祉職1級の待遇で、短大卒20歳で年収323万円、30歳で年収431万円、40歳で年収504万円、50歳で年収538万円、54歳がピークで年収546万円、これが60歳定年まで続きます。

週3日の短時間正社員となれば、30歳で年収259万円、40歳で年収302万円、50歳で年収323万円、ということになります。短時間2人で1人分の年収ということになり、一種のワークシェアリングです。

そして、この短時間正社員の人たちを都道府県単位で、人材派遣公社の所属とし、フルタイムを希望する人は、残りの2日を派遣で働くか、あるいは他の仕事と兼業するということになります。

総務省HP「地方公務員の臨時・非常勤職員に関する実態調査」(速報版)H28.9.13

 

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