見てきました。
※ネタバレ注意
※ネタバレ注意
※ネタバレ注意
本当に恐ろしい映画でした。同時に、どうしようもなく「愛」や「善」や「優しさ」を求めてしまう映画でした。
映画の詳細を特に調べないまま、「孤独な少年が迫害を受けながら旅をする映画」「映画祭で話題になった」っていう情報だけを入れて見に行きましたが、いや、なかなか、堪えました。
映画祭で退場者が出るってきいた時点で「あーグロ系か精神的にえぐってくる系かなあ」って思っていましたが、そんなものを遥かに超えて、精神的にも肉体的にも圧倒的暴力によって陵辱を受けるシーンの連続に、退場もやむなしと思えました。冒頭からひどすぎるもの。
どうして、こんなにも酷い目に会いながらも、少年は生きていられるのか、生きようとするのか、生かされてしまうのか。どれが正しいかはわからない。でもいくらでも全てを終わらせる瞬間はあったにも関わらず、戦争を生き抜き、凄惨な目に会いながらも、歩みを止めなかった。
監督のインタビューにあったけど
「子供たちは大人よりもはるかに簡単に困難な現実を受け入れると結論付けている。彼らはそのまま受け取るから。そしてもちろん、これは、子供たちの周りのひどいものが正常であると信じることにより、彼らが生き残るのを助ける性質である。」
「彼は救われたが、恐ろしいことに耐えることができたまさにその弾力性によって取り返しのつかないほどのダメージを受けた。」
まさにこういうことなんだろうなあ、と思いましたね。
某映画ではないですが「無知は強さ」っていうのはある部分においては、本当に「生きる強さ」になってしまっているんですね。
少年が行く道すがら出会う人々の中には、少年を助けてくれる人もいましたが、個人的に、最後まで少年を想って行動したのはほんの数人でした。
少年を買った呪術師の老婆。粉屋のミレルの妻。ドイツ軍の老兵。ソ連軍の狙撃兵。
たったこれだけ、って思っちゃいましたよ。
最初は優しそうにしてくれるけど、その本性が現れた時の悲惨さたるや。
鳥売りの男も、悪くはなかったんだけどね。
劇中で描かれていることは、ほとんどにおいて「悪意」や「憎悪」「嫌悪」といった不の感情によるものだったけど、その中で感じるのは、少年に対する憐憫の情と、その先に待つ希望や愛の類でした。
ほんとうに「どうか幸せになってくれ」と思わずにはいられませんでした。
ただ、そう思う自分は、少年を迫害した側の人間になっていないか、と懐疑的にならざるを得ないですね。
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