黄色い自転車

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　黄色い自転車を貰ったのは去年だった。結構、古いのだけれど、スピリットを失っていない彼を僕は尊敬の意味も込めて『黄色い自転車』と名づけ、呼んでいる。


　頑丈なフレームは僕が強く踏み込む時もそれを返し、一昔前のブレーキもちゃんとコントロールを与えてくれる。


　今日もペダルを強く踏み込み、慎重にブレーキをかける。


　多少のエネルギーのロスは、その分を黄色い自転車が何処かへ飛ばしているに違いない。飛ばされた僕のささやかなエネルギーは、何処かで何かの役に立っているだろう。そういう風に、変に気の利くところがある奴なんだ。
　

　そう、勘違いしながら、今日も強くペダルを踏み込む。

　多少のロスを沢山作り出すために。祈りに似た、感情で。