吸血鬼について、

2011-08-29 21:21:01 | 20XX年うつうの旅

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小さい頃から、何故だか吸血鬼に思いを馳せることがあった。、暗い闇の中での営み、人間の血を吸って永遠の命を維持する、飛べたり飛べなかったりする超人的な設定、それらの恐怖を呼び起こす…、とかではなくて。太陽の光を浴びたとたん、灰になって風の中に消えていく『お決まりのエンディング』に、心が惹かれる感じがしていた。多分、安心とは別なところで。
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最初は何かの映画とか、小学生の図書館のお決まりの人気図書だったりしたんだろうな。吸血鬼の映画は昔から何度も繰り返し作られているし、語り継がれるだけの強烈な世界観があるものな。だけどもよ、俺は思うんだ。永遠と一瞬の中間で右往左往する、その架空の存在のさ、その吸血鬼のなんていうか人間臭さなんだよな。
もう書いちまったけど、『細かい灰になって、風に持って行かれる』その一瞬なんだよな。その一瞬の恐怖って、多分、得体の知れない直感みたいなので、全ての連中が持っている恐怖なんだと思うんだ。
鏡が自分を写すけど、そこに居る自分がホントに『確かな存在』なのか?大体の連中が、一度は思うことだと思うのよ。あれだけど、左右が逆になってるけどもよ。ま、会う人会う人みんなに聞いたわけじゃないから、「俺は何故だか何度もそういった不安に駆られてきた」ってことなんだけどさ。その答えをさ、既に持っていたんだと思うんだ。
中学の教科書を開いても、まん丸っこい模型がさ、一応のさ最小単位なんだもの。分けるってのが、最善の方法ではないことは知ってるよ。そりゃもっと、ややこしくできているさ。こんだけ、訳分かんないのが存在するんだからさ。でもさ、乱暴に分けていったら、ちっちゃい丸っこいものになっちまうんだ。それはそれで仕方のないことだと思うのよ。
なんかさ、吸血鬼ではないんだけど、幽霊みたいな、ノイズみたいなもんが自分じゃないか?って思うのよ。まさに、孤独になっちゃうね。だって、実際そうかもしれないじゃんか。食ったり出したり、飲んだり吐いたり、作ったり壊したり、行ったり来たりって、ややこしいんだか、正しいんだか分かんない、訳の分からないことを、別に頼んじゃいないのに自分の身体はオートマチックにやっているんだよ。悪いけど、「そんな一生懸命に付き合うだけのモノがこんな自分でいいのか?」と思うよ。ホント、恐縮しちゃうよね。ま、俺でも思うんだから、吸血鬼も似たように日々悩んでいると思うよ。いやはや、お互い孤独だねぇ。そして悩んでもしょうがないってのは、お互い思っているだろうから、今度会う機会があったら一杯おごっちゃうナ。


一生懸命見たらさ、ちっちぇー毛糸のようなモノが辛うじて繋がっているだけだったり、それこそ丸っこいモノがさ、がっちり繋がっていたり、その間を何の違いがあるのか分かんない似たような毛糸みたいなもんだったり、それらが集まって形になっているものだったりがさ、あくせくと行ったり来たり引っかかったりしてるんだぜ。血液の拡大図とかみても「何してんの?頼んでないんだけど・・・」って思っちゃうじゃんか。

そんなに不確かな存在なのに、やたらガチャガチャしてるくせにさ、更にはモノを考えたり、そっからモノを作ったり、音を出したり、遠くへ買い物へ行ったり、急にラーメン屋に寄っちゃったり、そんな二人が意気投合してホテルに行っちゃったりするんだもの。前の日に調子のって牛乳飲み過ぎて、次の日に柔らかいうんちとか出しちゃうんだぜ。

ますます、不確かなんだよな。それなのに、次の日は昨日と余り変わらない姿が鏡に写っちゃうんだよな。中身はほとんど変わっているかもしれないのに、何だか知らんけど昨日のこととか10年前のこととか思い出しちゃったりするんだもんよ。奇跡を通り越して、もう理解不能だよ。少なくても、俺にとっては。
人間の血を吸ってさ、永遠の若さと永遠の命を保っている吸血鬼とさ、ほとんど変わらないぐらいの異様さはあるでしょ。あいつらは太陽に当たると灰になるけど、俺らだってさ、毒を飲めば死んじゃって最終的に灰になるわけだから、何をもって永遠って言うのか?どーゆう尺度をもって永遠としてるか?って話にしても、そんな乱暴ではないと思うんだ。
その辺りは、どうせ頭が良くて暇なやつらが、昔っから考えて色々書いたり喋ったりしてるんでしょ?知らないけどさ。だけども、まあ、答えは出ないわな。だってさ、ただ単にずっと前から起こっているだけだからさ。理由なんてないでしょ。突き詰めると、理由以前のもう『現象』だからね。
それがさ、太陽に当たった途端ただの灰になる吸血鬼に表れているんだと思うんだよね。生を脅かす恐怖の存在が、灰になって風に飛ばされちゃうんだ。生き残れたことに安堵するだけじゃなく、自分の周りを覆い自分の中に厳然と存在する得体のしれない『仕組み』を垣間見て、安堵するっていうかさ。そりゃね、ハッピーエンドでしょ。

 

 

 

 


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