ヒグラシは辺りがまだ薄暗いうちから、東の空に日の出の兆しが現れるとイの一番に鳴き始めるが、その鳥が鳴き始めるのもほぼ同時刻か、やや遅れたあたりからである。
ひょっとするとヒグラシの声が聞こえ始めると、負けてはならじと鳴きはじめるのかもしれない。
高く澄んだ鳴き声で、美声と言ってよい。
聞きようによってはとても甲高い。おまけに、短時間で途切れるのではなくて、肺活量が大きいのか、長い時間、途切れることなく、のべつ幕なしで鳴き続ける。
鳴き方はいろいろで、ホーホケキョと鳴くウグイスのように言葉では表しにくい複雑な鳴き声なのである。
こう書いてくると、とても好ましい音色、好ましい鳴き声を持った鳥のように聞こえるが、私にはどうにも自己主張が強すぎて、やかましくてしょうがない。できればヒグラシの合唱を静かに聞きながら、もののあわれにでも浸っていたいのである。
声の持ち主はガビチョウ。画眉鳥と書く。
お隣中国から持ち込まれた鳥で、声を楽しむために古くは江戸時代から輸入されていたようだ。
中国でも鳴き声を競わせるために飼われていたというから、筋金入りなのである。
ペットショップから逃げ出した個体が日本の野山に住みついて繁殖しているのだという。
まあ、救いは日の出から30分もすると、すっかり静かになってしまうことである。
ガビチョウが鳴きやむと、初めてスズメやシジュウカラが選手交代して鳴きはじめる。
いずれもヤマトナデシコに似て、つつましくおしとやかな鳴きぶりと言ってよい。
和食と中華料理の違いのようでもある。
人工的な物音が少ない早朝は、耳を澄ますと自然界の生き物たちさまざまな鳴き声が聞こえてくる。
100mから150mほど離れたところに、低いながらも緑豊かな丘が連なっているから、その辺りからも鳴き声が届く。
聞こえてくる鳴き声は実に多彩で、何と言う鳥のものかわからない鳴き声の方が多い。そういう中でコジュケイが「チョットコーイ」と鳴いたり、ホトトギスの「東京特許許可局」と鳴く声が聞こえたりすると、知らない町でいきなり知人に出会ったような、妙に懐かしい親しみを覚えるのである。
これにキリギリスなどの虫の鳴き声も混じる。
6時に近づいてくるとアブラゼミの声も重なってくる。ミンミンゼミは寝坊助である。
これらは皆、斜めから差してくる軟らかな朝日があって成り立っている。
朝日が当たっていれば、ベランダのミニトマトの赤色と黄色は際立ち、輝く赤色の実はいよいよ赤く輝く。
朝の陽がさして来ないと鳥もセミも虫も、おしなべて鳴き声は半減し、色もかすんでしまって、とたんにつまらない朝になってしまう。
大暑の今、立秋までの間が正真正銘、本物の盛夏なのだ。
今朝もミニトマトの味はとても甘い
今朝の夜明け
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