パラサイト、もしくは ニューヨーク バンスキング という言葉が思い浮かんだ。むろん皮相な連想である。
最初は「太陽」だとか「月」だとか、まるでヴィリエ・ド・リラダンの「ポールとヴィルジニー」のようで、聞くだに気恥ずかしくも、こそばゆい、おとぎ噺のような睦言に、思わず笑ってしまった。
しかし二年、三年と経つうちに、どうも気分的に釈然としない。週刊誌などの報道や、 テレビの報道もどき番組をなどを耳にするうち、やっぱり釈然としないのだ。
Kさんの母親は、ひとりで息子を育て、息子が志望する、入学金や学費の高い私学に入れるため、婚約者から不足の資金を借りた(いただいたものと理解している、とのことである)。また度々書籍代や夏休みや冬休みの短期留学の資金だとかを借りた(いただいたものと理解している、とのことである)。 Kさんは目出度く卒業、・・・ Kさんの母親は、やがて婚約を解消・・・ Kさんの母親はパラサイトだったのではないか?
Kさんは法律事務所に就職していたが、騒がしい日本を離れ、アメリカでの弁護士資格を取るべく留学。留学の費用や生活費は、日本の法律事務所の所長から「出世払い」で借りたのだろう(いただいたものと理解している、では通じまい)。
Kさんは無事卒業し、ニューヨークの大手の法律事務所に就職も内定したらしい。
三年半ぶりに帰国した際の航空運賃等は誰が出したのだろうか。家まで出張サービスで整髪してくれた美容師代も安くはあるまいに、その費用は誰が出したのだろうか。(Kさんの母親は昨年から失業中と報道されていたが、新しい鷹揚な金主を見つけたのだろうか)。その後に記者会見を開いたホテルの費用は誰が出したのだろうか。
今後の新居はニューヨークでも治安も良く、セキュリティも堅固な 賃貸マンションらしい。それが例え1DKマンションとしても日本の 1DKとは規模も大違いの、かなり広く豪華らしい。マンションと言っても日本のマンションとは大違いの、本当の高級「邸宅」であろう。
広い部屋には、家具や家電品、鍋釜食器など、数々の必需品やモノを揃えなければなるまい。四畳半からの出発ではないのだ。
それらの費用は前借り、出世払い、アドヴァンスなのだろうか。・・・なんと楽しくもチャラい NYバンスキングではないか。・・・前借り、前借り、出世払い。バンス、バンス、バンス・・・これも金、費用等の提供者らに対する「パラサイト」の一形態と言えなくもないが。