『発達障害併存例の類似した認知特性の判別的アセスメント』
九州保健福祉大学研究紀要,14号,79-86頁,2013年3月
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学習障害、注意欠陥/多動性障害、自閉症スペクトラム障害などの発達障害の診断は、相互に異なる分類である。発達障害のそれぞれの診断について純粋例が存在しているものの、実際には併存例が多く、併存例では臨床像が類似していることが知られている。例えば、不注意(学習障害と注意欠陥/多動性障害)、多動性―衝動性(注意欠陥/多動性障害と自閉症スペクトラム障害、特にアスペルガー症候群)、対人関係などで求められる大域的な状況判断(学習障害と自閉症スペクトラム障害)などである。これらの類似した臨床像の原因が同じであれば、同じ支援アプローチを適用することができる。しかし、発達障害の基礎研究の知見によれば、これらの類似した状態像の原因が必ずしも同じではないことが示されている。
既に、それぞれの発達障害について、障害に特化された行動評価法は開発されている。しかし、発達障害併存例においては、そのような障害に特化された評価法だけでなく、診断横断的に(統一的に)プロフィール評価が必要である。さらにそのプロフィール評価は、基礎研究で扱うような原因特性のレベルで判別的に行うことが必要となる。このような判別的なプロフィール評価により、類似した臨床像の異なる原因特性を判別的に理解し、それぞれの原因特性に合わせた支援アプローチを選択すること可能となる。それにより、発達障害の高精度で個別化された的確な理解と支援に繋がることが期待される。
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