『ガラパゴスの自然保護 半世紀の活動とその未来』(前編)①
鳥と爬虫類の王国、ガラパゴス諸島。活発な火山活動を続け、
巨大なリクガメが闊歩する島々は、原生の地球の姿をとどめた、
世界屈指の自然遺産である。
しかし、ここに人間が訪れるようになってからわずか数百年で、
島の自然は大きく変貌した。他に類を見ない独特の生態系を、
未来に引き継ぐことはできるのか。過去の取り組みと、
これからの課題を考える―
「進化論」の島々
ガラパゴス諸島は、南米エクアドルの沿岸からおよそ1000キロの
太平洋上に浮かぶ、大小120あまりの島々や岩礁からなる。
位置はほぼ赤道直下だが、南極海から北上するフンボルト(ペルー)
海流と、太平洋の深部を東流して、諸島付近で海面に湧き上がる
クロムウェル海流という、2つの還流の影響により、気候はおおむね
冷涼だ。さらに、北からの暖流(パナマ海流)を加えた複雑な
海流が、島の気候と植生を、きわめて特異かつ多様なものにしている。
海辺に近い低地には乾燥した荒涼が広がり、火山を取り巻くやや標高の
高い場所は、湿潤で緑が多いのも特徴だ。高地によっては、雨が低地の
数倍も降るところもある。
島々が見せるこれらの景観については、1835年にガラパゴスを訪れた
チャールス・ダーウィンも、著書『ビーグル号航海記」の中で触れている。
さらに、この若き博物学者は、ガラパゴス諸島固有の生きものたち、
すなわち、体重220キロ以上にもなるゾウガメや、海では海草を、
陸ではサボテンをかじる奇妙なトカゲ「イグアナ」、そして島の随所で
見られる小鳥のフィンチ(ヒナ)類などについても、
興味深い観察日記を残した。これらの生物の中に、すむ島の環境に
応じて、食物やその姿を変えた動物がいたことが、ダーウィンに
「進化」という着想をもたらしたという話は、広く知られている。
鳥と爬虫類の王国、ガラパゴス諸島。活発な火山活動を続け、
巨大なリクガメが闊歩する島々は、原生の地球の姿をとどめた、
世界屈指の自然遺産である。
しかし、ここに人間が訪れるようになってからわずか数百年で、
島の自然は大きく変貌した。他に類を見ない独特の生態系を、
未来に引き継ぐことはできるのか。過去の取り組みと、
これからの課題を考える―
「進化論」の島々
ガラパゴス諸島は、南米エクアドルの沿岸からおよそ1000キロの
太平洋上に浮かぶ、大小120あまりの島々や岩礁からなる。
位置はほぼ赤道直下だが、南極海から北上するフンボルト(ペルー)
海流と、太平洋の深部を東流して、諸島付近で海面に湧き上がる
クロムウェル海流という、2つの還流の影響により、気候はおおむね
冷涼だ。さらに、北からの暖流(パナマ海流)を加えた複雑な
海流が、島の気候と植生を、きわめて特異かつ多様なものにしている。
海辺に近い低地には乾燥した荒涼が広がり、火山を取り巻くやや標高の
高い場所は、湿潤で緑が多いのも特徴だ。高地によっては、雨が低地の
数倍も降るところもある。
島々が見せるこれらの景観については、1835年にガラパゴスを訪れた
チャールス・ダーウィンも、著書『ビーグル号航海記」の中で触れている。
さらに、この若き博物学者は、ガラパゴス諸島固有の生きものたち、
すなわち、体重220キロ以上にもなるゾウガメや、海では海草を、
陸ではサボテンをかじる奇妙なトカゲ「イグアナ」、そして島の随所で
見られる小鳥のフィンチ(ヒナ)類などについても、
興味深い観察日記を残した。これらの生物の中に、すむ島の環境に
応じて、食物やその姿を変えた動物がいたことが、ダーウィンに
「進化」という着想をもたらしたという話は、広く知られている。