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『ガラパゴスの自然保護 半世紀の活動とその未来』(前編)①

2008-08-06 19:59:51 | WWFマガジンより
『ガラパゴスの自然保護 半世紀の活動とその未来』(前編)①
 鳥と爬虫類の王国、ガラパゴス諸島。活発な火山活動を続け、
巨大なリクガメが闊歩する島々は、原生の地球の姿をとどめた、
世界屈指の自然遺産である。

 しかし、ここに人間が訪れるようになってからわずか数百年で、
島の自然は大きく変貌した。他に類を見ない独特の生態系を、
未来に引き継ぐことはできるのか。過去の取り組みと、
これからの課題を考える―

 「進化論」の島々
 ガラパゴス諸島は、南米エクアドルの沿岸からおよそ1000キロの
太平洋上に浮かぶ、大小120あまりの島々や岩礁からなる。

 位置はほぼ赤道直下だが、南極海から北上するフンボルト(ペルー)
海流と、太平洋の深部を東流して、諸島付近で海面に湧き上がる
クロムウェル海流という、2つの還流の影響により、気候はおおむね
冷涼だ。さらに、北からの暖流(パナマ海流)を加えた複雑な
海流が、島の気候と植生を、きわめて特異かつ多様なものにしている。

海辺に近い低地には乾燥した荒涼が広がり、火山を取り巻くやや標高の
高い場所は、湿潤で緑が多いのも特徴だ。高地によっては、雨が低地の
数倍も降るところもある。

 島々が見せるこれらの景観については、1835年にガラパゴスを訪れた
チャールス・ダーウィンも、著書『ビーグル号航海記」の中で触れている。
さらに、この若き博物学者は、ガラパゴス諸島固有の生きものたち、
すなわち、体重220キロ以上にもなるゾウガメや、海では海草を、
陸ではサボテンをかじる奇妙なトカゲ「イグアナ」、そして島の随所で
見られる小鳥のフィンチ(ヒナ)類などについても、
興味深い観察日記を残した。これらの生物の中に、すむ島の環境に
応じて、食物やその姿を変えた動物がいたことが、ダーウィンに
「進化」という着想をもたらしたという話は、広く知られている。