心で感じる生物多様性
ミジンコは、命が透けて見えている ジャズ・サックス奏者 坂田 明さん
淡水魚を飼育されているんですよね。
ぼくはもともと、魚のえさとしてミジンコを飼ってるんです。
だから、ミジンコを魚にやる。で、魚が食べているところを虫眼鏡で見る。
水槽にはりついてね。そうすると、魚の口が映画のジョーズみたいにでっかく見えるんだよ。
それにぱくっと食われてミジンコが消えちゃうという、とても怖い状況が起きるわけ。
ミジンコと、捕食者である魚との、とても厳しい関係。それは胸の奥底に、がつんと来る風景なんですよ。
でも、ミジンコだって黙って食われるばかりじゃない。ミジンコには目がありますが、
いろいろな情報は第一触覚というセンサーで得ているのね。えさの増減とか、水温とか。
で、捕食者のにおいを感じとると、脱皮するたびに頭がとんがってきたりするの。
しっぽも長くなってきて、とんがり帽子に高下駄履いた天狗のような状態になる(笑)。
これは驚きますよ。食われにくいように、体を変化させているんだよね。
アフリカにいるミジンコなんて、帽子と高下駄で体長が倍くらいになるんだから。
それから、魚にじゃんじゃん食べられるような環境では、単為生殖といってメスだけで子どもを作るんです。
いわばクローン。でも、例えば水が減ってきたり、水温が上がったり、ミジンコ自体が生きにくい環境になったりすると、
オスとメスの両方を産む。そして、別のお母さんから産まれた子どもと交尾をして、今度は受精卵を産むんです。
この卵は休眠卵といって、サヤエンドウのような形で、乾燥しても氷の上でも、ぜんぜん大丈夫。
そうしておいて、周りがいい環境になったら、発生が始ってふ化するわけ。
こういうのって、感動的にすごいと思うんですよ。
小さな生きものほど、生き残っていくために、実にさまざまな工夫をしていますよね。
そう。これはミジンコだけじゃなく、多くのプランクトンや水生昆虫も持っている。
生き残るための戦略。そうやって子孫が絶えないように適応していきてきたんですよ。
多様性っていうのは、闘いの結果なんだよね。
自然界はバランスがとれているから、みんなおだやかに暮らしていると思ったら大間違い。
生物n多様性があるのは、進化の競争の中で、多様な形になることによって生き延びてきたから。
そういうせめぎ合いが、地球のあちこちで、静かに、ずーっと、毎日、一寸の休みなく続いているんです。
ミジンコは10億年前から生き抜くために戦略をずっと練ってきた。だからこそ今も大繁殖していられる。
そのおかげで、我々は魚が食えるわけ。エビも食べられるし、カニも食べられる。
ごく大ざっぱに言うと、体重100キロのカジキマグロ一匹が育つには、およそ100トンの動物プランクトンが必要だといわれているんです。
その動物プランクトンを支えるには、植物プランクトンが1,000トンいる。とんでもない話でしょ。
だからマグロの大トロなんて、そうそう食っちゃいけないんだよ(笑)。
でも、そう言いつつ、回転寿しで「これからトロが安くなります」なんて言われると、大トロ頼んじゃったりしてね。
人間ってほんとに、欲にあらがえないんだよなぁ。せめてそういう認識だけは、ハッキリ持ってないとね。
ほら、「ご馳走」っていう言葉があるじゃない?
馬に乗って走り回って集めてきたものだから「ご馳走」。
つまり、山海の珍味が並んでいるのがご馳走であって、それが全部カニだったら、お金はかかってるかもしれないけど、
ご馳走とはいえないんだよね。多様であること。
それがまさに「豊かさ」なんだよね。
WWFマガジンより
このインタビュー記事はほんとにおもしろかった。
ミジンコの体の中の記述や最後の「ご馳走」の話はほんとに良かった。
読んでいて、ワクワクして命が見えるという表現にも納得ができた。
素晴らしい命を感じられて面白かったです。
坂田 明さんのDVDが紹介されていたので、早速購入しました。
ミジンコの世界を覗いて見ようと思っています。
ちなみに題名は「ミジンコ静かなる宇宙」です。興味を持たれた方は通販サイトで。
ミジンコは、命が透けて見えている ジャズ・サックス奏者 坂田 明さん

淡水魚を飼育されているんですよね。

だから、ミジンコを魚にやる。で、魚が食べているところを虫眼鏡で見る。
水槽にはりついてね。そうすると、魚の口が映画のジョーズみたいにでっかく見えるんだよ。
それにぱくっと食われてミジンコが消えちゃうという、とても怖い状況が起きるわけ。
ミジンコと、捕食者である魚との、とても厳しい関係。それは胸の奥底に、がつんと来る風景なんですよ。
でも、ミジンコだって黙って食われるばかりじゃない。ミジンコには目がありますが、
いろいろな情報は第一触覚というセンサーで得ているのね。えさの増減とか、水温とか。
で、捕食者のにおいを感じとると、脱皮するたびに頭がとんがってきたりするの。
しっぽも長くなってきて、とんがり帽子に高下駄履いた天狗のような状態になる(笑)。
これは驚きますよ。食われにくいように、体を変化させているんだよね。
アフリカにいるミジンコなんて、帽子と高下駄で体長が倍くらいになるんだから。
それから、魚にじゃんじゃん食べられるような環境では、単為生殖といってメスだけで子どもを作るんです。
いわばクローン。でも、例えば水が減ってきたり、水温が上がったり、ミジンコ自体が生きにくい環境になったりすると、
オスとメスの両方を産む。そして、別のお母さんから産まれた子どもと交尾をして、今度は受精卵を産むんです。
この卵は休眠卵といって、サヤエンドウのような形で、乾燥しても氷の上でも、ぜんぜん大丈夫。
そうしておいて、周りがいい環境になったら、発生が始ってふ化するわけ。
こういうのって、感動的にすごいと思うんですよ。
小さな生きものほど、生き残っていくために、実にさまざまな工夫をしていますよね。

生き残るための戦略。そうやって子孫が絶えないように適応していきてきたんですよ。
多様性っていうのは、闘いの結果なんだよね。
自然界はバランスがとれているから、みんなおだやかに暮らしていると思ったら大間違い。
生物n多様性があるのは、進化の競争の中で、多様な形になることによって生き延びてきたから。
そういうせめぎ合いが、地球のあちこちで、静かに、ずーっと、毎日、一寸の休みなく続いているんです。
ミジンコは10億年前から生き抜くために戦略をずっと練ってきた。だからこそ今も大繁殖していられる。
そのおかげで、我々は魚が食えるわけ。エビも食べられるし、カニも食べられる。
ごく大ざっぱに言うと、体重100キロのカジキマグロ一匹が育つには、およそ100トンの動物プランクトンが必要だといわれているんです。
その動物プランクトンを支えるには、植物プランクトンが1,000トンいる。とんでもない話でしょ。
だからマグロの大トロなんて、そうそう食っちゃいけないんだよ(笑)。
でも、そう言いつつ、回転寿しで「これからトロが安くなります」なんて言われると、大トロ頼んじゃったりしてね。
人間ってほんとに、欲にあらがえないんだよなぁ。せめてそういう認識だけは、ハッキリ持ってないとね。
ほら、「ご馳走」っていう言葉があるじゃない?
馬に乗って走り回って集めてきたものだから「ご馳走」。
つまり、山海の珍味が並んでいるのがご馳走であって、それが全部カニだったら、お金はかかってるかもしれないけど、
ご馳走とはいえないんだよね。多様であること。
それがまさに「豊かさ」なんだよね。
WWFマガジンより
このインタビュー記事はほんとにおもしろかった。
ミジンコの体の中の記述や最後の「ご馳走」の話はほんとに良かった。
読んでいて、ワクワクして命が見えるという表現にも納得ができた。
素晴らしい命を感じられて面白かったです。
坂田 明さんのDVDが紹介されていたので、早速購入しました。
ミジンコの世界を覗いて見ようと思っています。
ちなみに題名は「ミジンコ静かなる宇宙」です。興味を持たれた方は通販サイトで。