【祠の女】
それは二月の寒い夜の事です。
その日は仕事が長引いて、ゴスペルの練習に少し遅れてしまいそうでした。慌てて用意をして、私は車で走り出しました。
私の住んでいる場所は、古い村の中なので細くて暗い道がくねくねと続いています。街灯が少ないので暗い上に、あちこちに細い路地があるのでどこから人が出てくるかわからないので、夜は要注意なのです。
家の少し離れたところには大きな藪と、畑と、お地蔵様の祠があります。そこもやっぱりひどく見通しが悪いので、自然に私の足はブレーキを踏みました。
その時、左手にある祠の影から人影がふらりと出てきました。その姿に私は全身の血が凍りました。
長いばさばさの黒髪をだらりと垂らし、この寒い中、白いパジャマ姿に素足にサンダルの女性が止まっている私の車の前を小刻みによろけながら、ゆらりゆらりと横切っていくのです。髪をばさりとさせて顔は見えませんが、その姿はまるでリングに出てくる貞子そのもの……。
「わあああああああ?! 何、何、何、この人!!!」
私はハンドルを握り締め、ブレーキを踏みしめ、思わず悲鳴を上げました。そんな私には目もくれず、その女性はゆっくりゆっくりと車の前を歩いていきます。その距離、一メートル足らず。
「はよ、行って! はよ、行って! うお~、たまらんわ!!」
私は車の中で身をよじりながら、その女性が車の前を通り過ぎるのを待ちました。
その女性はようやく車の前を通り過ぎると、細い路地へと消えていきました。私が大慌てでアクセルを踏んで、その場を走り去ったことは言うまでもありません。
後日聞いたのですが、彼女は幽霊ではなく、近所に住むちょっとピ~~~な方だそうです。霊感がないので、幽霊ではないとは思いましたが、本当に怖かったです……。
【雨の中】
家から少し離れたところに墓地があります。墓地への道は車の対向ができないような細い道ですが、周囲は住宅地なのでそれほど怖いと思ったこともありません。それに生活道路でもあるので、毎日そこを何度となく通っています。
その夜は雨が降っていました。日が暮れかけて、まさしく逢魔が時。墓地への道に車で通りかかりました。
お墓の方から三人のおばあさんが傘を差して歩いてきます。一人は杖をついていて、三人とも相当な高齢のようでした。
横を通り抜けるにはあまりにも厳しいので、車を止めて、三人が行き過ぎるのを待つことにしたのです。
傘を差しながら、おばあさん達は軽く会釈しながら車の横を通り抜けようとしました。と、一人のおばあさんの杖が車の前輪に引っ掛かったようで、おばあさんの足が止まりました。引っこ抜こうとするようですが、なかなか抜けません。
「仕方ないなぁ」
私はサイドブレーキを引いて、チェンジをパーキングに入れて、外に出ようとしました。
「?!」
いつの間にか助手席の扉が開け放たれ、そこに一人のおばあさんが足を外に出して、私に丸まった背中を向けて、ちょこんと腰掛けているではありませんか!
「ちょっとぉ?!」
私がびっくりして声を上げると、そのおばあさんは丸まった背中を押し付けるように、私の方にもたれてきました。
「うわ、うわ、うわ?!」
やせこけた、骨ばった背中がぐりぐりと私にもたれてきます。そしてじわじわとおばあさんの顔が私の方に………。
「うぎゃああああああ」
そこで目が覚めました(笑)。夢オチですみません。でも、怖かったんですぅ!! この恐怖を誰かにおすそ分けしたくて書きました(爆)。
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それは二月の寒い夜の事です。
その日は仕事が長引いて、ゴスペルの練習に少し遅れてしまいそうでした。慌てて用意をして、私は車で走り出しました。
私の住んでいる場所は、古い村の中なので細くて暗い道がくねくねと続いています。街灯が少ないので暗い上に、あちこちに細い路地があるのでどこから人が出てくるかわからないので、夜は要注意なのです。
家の少し離れたところには大きな藪と、畑と、お地蔵様の祠があります。そこもやっぱりひどく見通しが悪いので、自然に私の足はブレーキを踏みました。
その時、左手にある祠の影から人影がふらりと出てきました。その姿に私は全身の血が凍りました。
長いばさばさの黒髪をだらりと垂らし、この寒い中、白いパジャマ姿に素足にサンダルの女性が止まっている私の車の前を小刻みによろけながら、ゆらりゆらりと横切っていくのです。髪をばさりとさせて顔は見えませんが、その姿はまるでリングに出てくる貞子そのもの……。
「わあああああああ?! 何、何、何、この人!!!」
私はハンドルを握り締め、ブレーキを踏みしめ、思わず悲鳴を上げました。そんな私には目もくれず、その女性はゆっくりゆっくりと車の前を歩いていきます。その距離、一メートル足らず。
「はよ、行って! はよ、行って! うお~、たまらんわ!!」
私は車の中で身をよじりながら、その女性が車の前を通り過ぎるのを待ちました。
その女性はようやく車の前を通り過ぎると、細い路地へと消えていきました。私が大慌てでアクセルを踏んで、その場を走り去ったことは言うまでもありません。
後日聞いたのですが、彼女は幽霊ではなく、近所に住むちょっとピ~~~な方だそうです。霊感がないので、幽霊ではないとは思いましたが、本当に怖かったです……。
【雨の中】
家から少し離れたところに墓地があります。墓地への道は車の対向ができないような細い道ですが、周囲は住宅地なのでそれほど怖いと思ったこともありません。それに生活道路でもあるので、毎日そこを何度となく通っています。
その夜は雨が降っていました。日が暮れかけて、まさしく逢魔が時。墓地への道に車で通りかかりました。
お墓の方から三人のおばあさんが傘を差して歩いてきます。一人は杖をついていて、三人とも相当な高齢のようでした。
横を通り抜けるにはあまりにも厳しいので、車を止めて、三人が行き過ぎるのを待つことにしたのです。
傘を差しながら、おばあさん達は軽く会釈しながら車の横を通り抜けようとしました。と、一人のおばあさんの杖が車の前輪に引っ掛かったようで、おばあさんの足が止まりました。引っこ抜こうとするようですが、なかなか抜けません。
「仕方ないなぁ」
私はサイドブレーキを引いて、チェンジをパーキングに入れて、外に出ようとしました。
「?!」
いつの間にか助手席の扉が開け放たれ、そこに一人のおばあさんが足を外に出して、私に丸まった背中を向けて、ちょこんと腰掛けているではありませんか!
「ちょっとぉ?!」
私がびっくりして声を上げると、そのおばあさんは丸まった背中を押し付けるように、私の方にもたれてきました。
「うわ、うわ、うわ?!」
やせこけた、骨ばった背中がぐりぐりと私にもたれてきます。そしてじわじわとおばあさんの顔が私の方に………。
「うぎゃああああああ」
そこで目が覚めました(笑)。夢オチですみません。でも、怖かったんですぅ!! この恐怖を誰かにおすそ分けしたくて書きました(爆)。
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