丘を越えて~高遠響と申します~

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「危険なメソッド」を観た!

2014年06月12日 | レビュウ
 久々のレビュウでございます。本日お仕事がお休みでございまして、たまたま朝っぱらからWOWOWをつけたらちょうど始まった映画がこの「危険なメソッド」という映画でした。心理学の世界で有名な学者と言えば、たいてい誰でも名前だけは知っているであろう、フロイトとユング。そのユングを主人公にした映画です。ちょっと珍しいでしょ?

【概要】
 第一次世界大戦前夜、若き精神分析家ユングの元を美貌のヒステリー患者ザビーナが運び込まれる。医学生でありながら激しい症状に翻弄され苦悩するザビーナの治療を進めるうちに、二人の間には医者と患者を越えた愛情が芽生えて行く。また、同時期にユングは精神分析の大家フロイトと出会い、親子のような師弟関係を深めて行く。
 やがてザビーナとの関係は愛人関係へと発展していくが、その関係も長くはなくついには破たんを迎える。またフロイトとの関係も互いの理論の食い違いから徐々に遠ざかって行く。

 カール・グスタフ・ユング : マイケル・ファスベンダー
 ザビーナ・シュピールライン : キーラ・ナイトレイ
 ジークムント・フロイト : ヴィゴ・モーテンセン
 エマ・ユング : サラ・ガドン
 オットー・グロス : ヴァンサン・カッセル

 まず正直なところ、心理学についてある程度予備知識のある人にとっては結構面白いと思うけど、ただの恋愛映画と思ってみたら、きっとさっぱり面白くないと思いますね。強いて楽しむとしたらユングの愛人となるザビーナを演じるキーラ・ナイトレイがとっても美しいのだけれど、ヒステリー発作中はエクソシストもかくやというヘン顔で奇行に走る様が強烈なのと、筋金入りのマゾヒストなのでユングにベルトでお尻をペンペンされて苦悶と悦楽の表情を浮かべながらアフンアヘンと身悶えをする様がエロくて美しいという、なんとも下賤な楽しみ方をお勧めします……。

 いやいやいやいや、それはともかくとして。

 心理学に興味のある方にとってはかなりマニアックな楽しみ方が出来ると思いましたね。
 ユングはフロイトと出会った時、すっかり意気投合してなんと十三時間も対話をしたというエピソードから、ユングとフロイトが決別する前夜に見たユングの夢の分析、エディプス・コンプレックスを連想させる書簡のやり取りなど、精神分析入門編に必ず出てくるようなエッセンスが次々と出てきて、「ああ、こんな風にこの二人は意気投合して、別れていったんかいな……」と人間模様について思いをはせたりできます。
 そして、ユングの愛人となるザビーナ・シュピールラインという女性の存在! 最初はユングにとっては非常に興味深い「症例」、それもまさにフロイト理論を証明するかのような典型的な性衝動の抑圧から引き起こされたヒステリー患者であったのが、徐々に仕事のパートナー的存在となり、そこから愛人へと関係が変わって行く。その流れをみている私の頭の中には「転位」だの「投影」だの、心理学用語が渦を巻く状態(笑)。ある意味いい復習となるのでありました。
 そして彼女の存在がユングやフロイトの理論に少なからず影響を与えていたというようなエピソードは絶対に教科書には載ってません(笑)。そりゃそうか。でも、実際に彼女は精神分析家として活躍し、後進の育成に貢献したということですから、現代の臨床心理の基礎の構築に尽力したことは間違いないですわな。嗚呼、歴史の影に女アリ。
 もっとも、その理論について掘り下げた描写や説明がある訳でもなく、またほんの一部の抜粋なので「一般向けには難しすぎるけど、業界向けには掘り下げが浅い」という印象は否めませんが。ま、そりゃ、しゃあないですかね。
 ユングはフロイトと決別してから独自路線を確立していくので、言ってみればこの映画の後のユングこそがユングなのです。ユングの人生のプロローグと言ったところしょうか。

 この映画、実は舞台の映画化だそうです。確かに登場人物はユングとザビーナとフロイト、そして美しく上品なユングの妻エマとフロイトの紹介でユングと交流を持つ性格破綻者の精神科医グロスの五人のみ。派手な演出も特になく(エロいシーンはありますが)、淡々と時間が流れ、人の心が移ろっていく様は舞台の方がより深みを感じる作品なのかもしれませんな。

 まあ、もし興味を持つ方がありましたら、一度ご覧下さいな。


どうでもいい追記ですが、私、いつもキーラ・ナイトレイとナタリー・ポートマンとを間違えます。めっちゃ似てると思ったら、実際、映画(スター・ウォーズ」でナタリー・ポートマンの代役をしたことがあるそうです。納得~。
 そして、彼女は大変美しい女優さんですが、外国の女優さんとは思えないほどの貧乳です!!!  勇気でるわ……。wwwなんじゃそりゃ。


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