丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

「吉本新喜劇~閉ざされた過去~」を観た!

2009年11月05日 | レビュウ
 吉本新喜劇座長のお一人、辻本茂雄さんの当たりキャラ・茂造じいさんのお芝居です。夏に舞台に出して頂いたこともあり、ぜひとも観たい! とのチビ子のリクエストに応えて、行って参りました。午後七時からという遅い時間の公演です。それも前情報によると二時間半はくだらないという長い舞台というではありませんか。

 え~~~~。行くの~~~~~? マジですか?

 このインフルエンザ流行の折に、それも次の日私は普通に仕事だというのに、そしてその後ゴスペルの舞台に出なきゃならんというのに(笑)。

 最初の一時間くらいはいつも通りの吉本新喜劇のドタバタです。花月旅館に居候のように働いているハイパーむちゃくちゃじいさん・茂造が大暴れです。使っているネタもほとんど夏の舞台と同じという(笑)、お約束の笑いで溢れた舞台でした。

 が! 茂造じいさんがしみじみと自分の過去と語りだす後半!!

 いきなり新喜劇からどこかのシリアスな小劇団の舞台に変わります。舞台セットも二階建ての足場のみというシンプルなもの。観るものの想像次第でビルにも工場にも、死刑台にも見える……。
 ストーリーは書いていいのかな? 簡単にかいつまんで言うと、三十年以上前、ある男が覚醒剤中毒で妄想に振り回され大量殺人を犯し、死刑判決を受けてしまうのです。そして死刑執行……。が、奇跡的にも死刑は失敗。一度執行された刑をやり直しには出来ない。その男は死んだこととなり、整形で容姿を変え、新しい名前と過去を持って世の中に帰って来る。それがなんと、茂造なのです!!
 悩みながらも小さな工場に就職し、ささやかな幸せを手に入れようとしていた時、過去を知っている一人の男が現れる……。
 そして悲劇の幕が……。

 ま、ま、こんなところにしておきましょう。なんせ、信じられないくらいハードで暗い話なんですよ。観ながら「この話、どうやって着陸させるつもりや? 夢オチか? なんちゃってオチか? なんにせよ、そうとうハードランディングやろな」と予測していましたが、ほぼ想像通りのオチが用意されていました(笑)。

 一言だけ言いたい! この話、「茂造じいさんの過去」なんてせんと、この部分だけ単独の芝居にして、新喜劇の役者を思いっきり真剣に使ってやってくださいな。妙に中途半端になってしまって、もったいないわ。
 テーマはありがちかもしれないけど、これだけ大量殺人が横行している時代です。間違いなく時代に呼応しています。普段おふざけの芝居(勿論皆真剣に芝居してるんですけどね)ばかりですが、役者としての実力はばっちりの新喜劇の役者さん達。新喜劇の舞台で生活感溢れる芝居をしているからこそ、こういうシリアスな話ではしっかりしたリアリティを出せると思うのです。格好良い俳優じゃないからこそだせるリアリティを。

 あ~、もったいない。辻本さん、脚本の徳田さん! ぜひこの部分のリメイクをしてくださいよ~。観に行くから。

 え? 新喜劇の部分のレビュウですか? こめらさんの豹柄パン一強盗が噛み噛みで可笑しかったです。吉本の舞台は役者が噛んだら絶対にいじられまくりになるので、その部分のアドリブ感というかハプニング的な笑いがたまりません。ほとんど同じストーリ展開といい、滑り台に変わる階段といい、いつも通りのバカバカしさで大好きです。
 こんなとこでいいでしょうかね(笑)。




 一つ突っ込むなら、覚醒剤で妄想に取り付かれての犯罪なら、心神喪失で死刑にはならないね、きっと。


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