マダムヤンのひとりごと

香港が大好き!中国の情報を発信したいと思っているのですが…ごめんなさい!子どもの話題ばかりになっていますね。

2月14日という日

2016-02-14 | 脳梗塞

一昨日、デパートの紳士服売り場で、
お父さんのバースデープレゼントを探しながら、涙がこぼれて困ってしまった。

新宿のデパーには、お父さんの世代の洋服も、素敵なものばかり。
つい
「こんな洋服買っても外に出かけないし」
「部屋着とパジャマがあればいいし」 
なんてことを思って、ため息が出ました。 

あ~あ・・・もう何年になるのかしら?
・・・もう10年になるのね。
もう、そんなに経ってしまったのね。

2月14日はお父さんのお誕生日、バレンタインデーと同じ日ね。

10年前の2月14日は、お母さんもいてね。
友人夫婦と温泉にお泊りしていて、夜中に脳梗塞で倒れてしまったのよね。

売り場を歩きながら、あの時のことから今日までの色んな事が
頭の中を巡り始めました。

運が悪かったのね。
夜中に倒れて、朝までお医者さんが来るのを待たされて
みるみる身体が動かなくなって・・・

最初の頃は、呼吸も苦しそうでこのまま死んでしまうんじゃないかと思ったわ。
あの時と今を比べると、お父さん、本当によく頑張ってるね。

病室にソファーベッドを持ち込んで、泊まりで看病していたお母さんのこと。

そのお母さんが1度だけ、こたつに入って大声を出して泣いていたこと。
あとにも先にも、お母さんが泣いたのを見たのはこの、たった1度だけ。

リハビリ病院のエレベーターの前で、車椅子に乗って私達を見送る時の涙をこらえている顔。

自分の右手をさすりながら「こんなんなっちゃってな~」と、悔しそうに言っている顔。

思い浮かんでくるのは、お父さんの怒った顔とつらそうな顔と寂しそうな顔。
10年間、どんなに悔しくて辛い思いをして来たのでしょうね。

介護もお母さんが3年、私が7年、いつのまにかお母さんより私の方が長くなっちゃったね。
実の父子だから、お互いに遠慮なしに言いたいことを言い合ってしまうしね。
イヤな思いもさせてるよね。
今ではryuryuがお風呂に入れてくれたり、オシッコを捨ててくれたり、
だんだんと助けてくれるようになってね。
孫の介護は嬉しいね。

ふと目に止まったきれいなパープルのシャツ。

「これを下さい」と言うと
店員さんが「これは伸び縮みもして着やすいですよ」と言うので
「右手が動かないので、それはいいですね」と答えます。
店員さんが「えっ?」と、ちょっとビックリした表情を見せたので
そうなの、そうなの、動かないのよね・・・と
涙があふれそうになりました。
でも、あふれるのだけは、なんとかこらえたわ。

リボンをつけて、きれいに包装されたプレゼント。
14日の朝早く、ryuryuがプレゼントして、開けて見せると
「さて、これを来てどこに行かっかなぁ~」って
とても喜んでいました。
暖かくなったら、どこかに連れて行ってあげなきゃね。

2月14日は、そういう日。
正直、「また何か起こるんじゃないか?」って、緊張の1日。

そうそう、お赤飯を炊きました。
年に1度だけ、この日だけ炊きます。
また、食紅がチョコっと多かったらしくて、色鮮やかなお赤飯になりました。
でも、「ウマイウマイ」って食べてくれたからね。
甘納豆を入れるから、甘くて美味しいのね。
来年は食紅の量にう~んと注意するから、
お願い、元気でいてくださいね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この前「廃用身」って小説を読み始めて、
すぐ放り投げてしまいました。

脳梗塞で麻痺して回復の見込みがない手や脚のことを
「廃用身」と言うらしい。
医学用語らしいけれど、なんてひどい言葉でしょう。
残酷な言葉です。
どうやら、役に立たなくなった、使い物にならなくなった身体の一部を
「要らない」と、切断してしまう話らしい。

お父さんの腕や脚を見ながら
これが「廃用身」??
廃棄物?
血液がちゃんと流れてるのに。


小説の冒頭を思い出すと、怒りがこみ上げて来ます。











 


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