daiozen (大王膳)

強くあらねばなりませぬ… 護るためにはどうしても!

ちるさくら海あをければ海へちる

2014年10月05日 | 俳人 - 鑑賞
           

他者が詠んだ句を鑑賞するのが大好きな私は何時間も掛けて一句を愉しむことは珍しくありませんが、この句もそんななかの一つです。茶文字は私の過去の書込みです。
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                  aruq 2009年11月19日(木) 21:00:13

☆ ちるさくら海あをければ海へちる   高屋窓秋氏

高屋窓秋氏が心を込めて詠んだ俳句、どう読んだら良いでしょうか。
花びらにウツツを抜かしていてはならないと考える人は多いと思う。
すなわち、その考え方は人間として果して正しいと言えるだろうか?

(一往)
花びらがハラハラ舞って、青い海に散っていくのが見えるでしょう。

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花弁は、青い海を壁紙に持ってくることで際立って見えるに違いない。
この「ちるさくら海」の句の場合、誰がどんな照明を当てただろうか。
この句は世の脚光を浴びているし、世間的には不満のあろう筈はない。

☆ちるさくら海あをければ海へちる     高屋窓秋氏

ところで「上五」と「中七下五」で違和感を感じるのは何故だろうか。
上五の「ちるさくら」が居心地の悪さに喘いでいるように感じられる。
宇宙の采配は「散る桜」に青い海を選ばせることは決して有り得ない。

「上五」は宇宙の采配だが「中七下五」には人為的な強引さが窺える。
宇宙の采配を超えた人為的力=暴力をこの句が受入れたように見える。
しかし、上五「ちる」が人為的力の結果であれば、バランスは取れる。
しかもこの訳にして、高屋窓秋氏が云わんとした所を外れないのです。

(再往)
海の青に執着する心は、花弁が青い海に落ちるのを欲っするでしょう。

海風が桜に吹く時、作者は「違う違う、そっちじゃない」と呟いたか。
陸風が桜に吹く時、作者は「好し好し、もっと吹け」とでも頷いたか。
そのうち、陸風に合せて桜の枝を揺すって桜を散らせたのだろうか。
人為的に散らされた花びらは、青い海へと散らされて舞い降ったろう。
結局、この句を正確に読もうとするならば、次ぎのようになるのです。

(句意)
作者が散らせる花弁は、作者が望む青い海へ向って散っていく筈です。

花びらは花びらとしての、生を生き・役目を終えて、生を全うします。
それが世界の・宇宙の・大生命の意思に適った生き方であろうと思う。

私たちは私たちの立場で懸命に生き・役目を全うし・次の生へと向う。
現在の生を全うしてこそ、満足して枯れ果てることが出来るでしょう。
誰かの犠牲になって嬉しいのでなく、己の役目を全うしてこそ嬉しい。

何かを・誰かを迎える使命に立つときは懸命に迎えるのが好いのです。


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この句への不信感は他でもない私の内部で溢れでたものに違いない
不信感の初めは不公平とか不平等に囚われたところにあるだろうし
その不快な想いは当人が意識するとかしないとかに係わらず噴出し
て周囲をも混乱に巻き込む事態は多いのではないだろうか。それゆ
えに私は不信感に振り回されないよう常日頃から気をつけている。

長い物には巻かれろ式に暮らす人は多いがそれが良いことだと当人
も思っている訳でなく、しかしそのような不満は善い意見として皆
で集約し生かさなければ不信感はやがて憎しみなどの感情に変るだ
ろう。それで仕返しされそうにない弱者や社会に腹いせしたり・ヘ
イトスピーチしたりしたところで根本の解決策にならず燻り続ける。

その救いようのない輪廻そのものを正さなければ社会に根付く不信
感はなくならないと思うからこの句のマイナス面に同調しないが不
満をぶつけて腹いせしたい気持ちは分かる。同時にこの手の腹いせ
に乗せられた人の不信感は煽られてどんどん脹らむから可哀相でな
らない。小集団であってもリーダーたる者は心しなければならない。

句意 : 好いように振り回された民衆は犍陀多の後について蜘蛛の
糸を登ろうとする群のようにドボンと嵌るのである。

こう理解したなら、この句は社会に害悪を為していることを説明で
きるのであるが、ともあれ高屋窓秋氏にもこの句が及ぼす害につい
ては分らなかったのだろう。誹謗しているだけでは駄目ですが皮肉
って良くなる訳もなく、皮肉るほどに悪い結果になるからそれこそ
皮肉なものというしかなくて当人も感化された人もともに不幸です。


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