(引用文)
「ダンテはいつまでも大詩人として尊敬されるだろう。……だれも読む人がないから」 と、意地の悪いヴォルテーアが言った。 ゴーホやゴーガンもいつまでも崇拝されるだろう。…… だれにも彼らの絵がわかるはずはないからである。 (大正十年五月、渋柿)
(大正十年六月号掲載文を読んで)
ホトトギスの中で、皆が一目置いた寺田寅彦だったようだ。
寺田寅彦は夏目漱石に親しみ、正岡子規にも親しんだろう。
公費での海外留学を果たし, 学士院恩賜賞も手に入れた。
じっさい、学業成績は優秀だったに違いないと思われるが、
詩人たるもの、強いて語意を鮮明にすべきであると考える。
やましい所は何もないと寅彦は胸を張る用意はあるだろう。
だが、私が敢えて述べるのは『強いて鮮明にせよ』である。
もっと言えば『寅彦は己の立場を考えよ』ということです。
東京大学・日本文化・日本政治・日本の良識を背負う立場。
文化人たちが「右へならえ」する己が立場を知るべきです。
寺田寅彦が、
「由らしむべし知らしむべからず」を可と考えたなら遺憾。
誤った混迷の流れは二十一世紀の今に続いている事を知る。
寺田寅彦が封建主義者や非民主主義者だとは思いもしない。
それどころか自然を愛し・女性を愛し・人を愛したと思う。
惜しむらくは『強いて語意を鮮明にしなかった』所である。
それゆえ、寅彦の文を曲解して開き直る輩の居るを悲しむ。
汚らわしい輩に蹂躙される女性が増えている日本を恐れる。
見よ!うつ病に苛まれる人たちが日本に溢れている現状を。
世界を美しく守るために詩人の言葉は役立てられるのです。
この事は、俳句を詩の仲間と信じるゆえに言えるのですが…
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