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休日労働と時間外労働

2021-11-15 21:00:00 | 労働法

みなさん、こんばんは。hkです。

10月25日は休日労働、11月8日は労働時間についてお話しさせていただきました。今日は、休日労働と時間外労働の応用?について、2つほどお話しさせていただきます。

1.法定外休日労働は時間外労働

労働基準法(労基法)上、使用者は週1日または4週4日の休日(法定休日)を与えなければならず、その日に出勤させるためには所定の手続きを経たうえで、3割5分の割増賃金を支払わなければなりません。

ところで、多くの会社では週休2日制、つまり週に2日の休日を与える制度を採用していると思います。労基法より1日多いわけです。労基法が求めている休日以外を法定外休日と言います。祝日を就業規則などで休日と定めれば、それも法定外休日となるわけです。

法定外休日に労働させても3割5分の割増賃金を支払う必要はありません。ただし、週40時間を超えて労働させることになると時間外労働となり、2割5分の割増賃金を支払う必要があります。

もちろん、法定外休日労働に対して3割5分の割増賃金を支払ってもかまいません。法定休日労働は3割5分の、法定外休日労働は2割5分の割増賃金を支払うと規定する会社もあります。

また、法定外休日労働は時間外労働になるため、36協定上では月45時間・年間360時間などの時間外労働の上限に関係することも注意が必要です。

(補足)

行政は法定休日を特定することを求めています。たとえば、「休日のうち日曜日を法定休日とする」のように定めることです。

法定休日がいつなのかわかれば、管理やしやすくなります。しかし、日曜日に出勤させて振休を与えないときは、3割5分の割増賃金を支払う必要があります。もう一つの休日である土曜日は休ませていて週1日の休日を確保していてもです。

一方、法定休日を特定しない場合、この例では1週1日の休日は確保していますので、日曜日の出勤に対して3割5分の割増賃金は不要となります。週40時間を超えれば時間外労働として2割5分の割増賃金を支払えば労基法上はOKです。

しかし、休日の管理は煩雑となります。1週1日または4週4日の休日を確保しているかどうかを把握する必要が生じます。

特定する場合としない場合、それぞれのメリットとデメリットを比較て検討して決めることになるでしょう。

 

2.時間外労働より休日労働の方が安い

1カ月の時間外労働が60時間を超えると、大企業では5割の割増賃金を支払う必要があります。

一方、法定休日労働の割増は3割5分。時間外の割増より低くなっています。したがって、時間外が60時間を越えたら時間外労働(残業)はさせないかわりに法定休日に労働させた方が、コスト的には安く済むことになります。

実際にこのような運用を行っている会社は聞いたことがありません。しかし、法の盲点の一つではないかと思っています。

 

 


労働時間の話

2021-11-08 21:00:00 | 労働法

みなさん、こんばんは。hkです。

先々週と先週の月曜日は休日と休暇のお話をしました。今日は労働時間について書かせていただきます。

労基法では休憩時間をのぞき、1週間の労働時間を40時間以内、1日は8時間以内にするよう求めています。法律で決まった時間なので、法定労働時間といいます。

一方、会社は法定労働時間以内であれば、働くべき時間を自由に設定できます。例えば、Aという会社は始業が9時、終業が17時、1時間の休憩をのぞいて1日7時間、といった具合です。この、会社が決めた労働時間を所定労働時間といいます。

一定の手続きをとれば、会社は法定労働時間を上回って働かすことができます。労使協定で上回る労働時間を定め(上限があります)、監督署にその旨を届け出て、就業規則などに働かすことができる旨を定めればよいのです。

法定労働時間を上回る労働、いわゆる時間外労働ですね。これをさせたときには2割5分の割増賃金を支払う必要がります。さらに大企業では、法定労働時間を60時間を超えて働かせる場合、60時間超の労働に対しては割増が5割となっています。

では、A社で19時まで働かせた場合はどうなるのか。17時から19時までの賃金を支払わなければなりませんが、18時までは8時間以内の労働時間ですので割増賃金は不要です。通常の1時間分の賃金を支払えば違反にはなりません。この8時間以内の残業を法内残業と、また、17時以降の残業を所定時間外労働といったりします。もちろん、17時以降をすべて割り増しても構いません。

ところで、10月25日のブログでは振替休日の話をさせていただきました。休日と労働日を入れ替えるものですね。

例えば、A社では1週40時間の起点となる曜日と法定休日が日曜だったとします。今月の11月14日にシステム変更があるから出社させる代わりに、翌週の月曜日である22日に振休を取得させる予定です。また、14日から金曜日の19日まではすべて7時間、つまり1日単位でみれば所定時間外労働はなしだったとします。

しかし、1週間をとおすとどうなるでしょう。7時間×6日=42時間となり、週の上限である40時間を2時間超えてしまいます。このときは、2時間分について割増賃金を支払う必要が生じるのです。これはよく忘れていることですので、ご注意ください。

基本的に、労働法では時間外労働といったら1週40時間、1日8時間を超す労働のことです。会社で時間外労働というときに、労働法上のことをいっているのか、それとも所定労働時間外のことをいっているのか、注意が必要です。

 


今日は休暇のお話を

2021-11-01 21:00:00 | 労働法

みなさん、こんばんは。hkです。

先週の月曜日は振休取得日だったので、休日について書かせていただきました。今日は似てるけど違う「休暇」について書かせていただきます。

労働法上の「休暇」とは、「労働義務が免除された日」。働かなければならないんだけど、何かしらの理由によって働かなくてもよくなった日のことです。そのうち、法律で決められた休暇を法定休暇、そうでないものを法定外休暇と言ったりします。

法定休暇の代表的なものは、年次有給休暇でしょう。フルタイムの者が入社してから6カ月間で8割以上出勤したら10日の年休が与えられます。そこから1年間で8割以上出勤したら11日、さらに1年間で8割以上出勤したら12日、と勤務年数が長くなれば与えられる日数が増えていきます(最大20日)。しかも、普通に働いたなら貰える賃金が、休んだにもかかわらずもらえます。だから、「有給」休暇なんですね。

「フルタイムの者が」と書きましたが、パートやアルバイトの人たちも働く日数や時間に応じて与えられます。「パートやアルバイトだから年休はない」というのは嘘ですよ。

そのほかの法定休暇は、女性の出産前後に与えられる産前産後休暇、子どもの看護が必要となったときに与えられる看護休暇、家族の介護が必要となったときに与えられる介護休暇などがありますね(介護休暇と介護休業は別なものです)。

一方、法定外休暇は慶弔休暇(結婚や出産したとき、身内に不幸があったときに与えられる休暇)や夏季休暇などが一般的でしょうか。

法定休暇にしても法定外休暇にしても、法律で定められたもの以外は有給でも無給でもかまいません。やはり、大企業ほど有給の休暇を与えるところが多いでしょう。一方、同じ会社内で正社員は〇〇休暇を有給で、契約社員には無給で、というのは同一労働同一賃金の観点で問題が生じるかもしれません。

ところで、年休の説明で「8割以上出勤したら」と書きました。分母は働くべき日数ですので、労働義務がない休日は含まれません。一方、分子は働いた日はもちろん、年休や産前産後休暇の日数も含まれることになっています。

ただ、全部の休暇を分子に含ませてよいわけではありません。慶弔休暇や夏季休暇は法定外休暇なので、分子に含めろと法律では決まっていません。除外してもいいですし、含めてもいいのです。会社次第ですね。

休日と休暇の違いは、時間外労働手当にも関係します。それは、時間外労働についてお話しするときに触れさせていただきます。


今日は振休

2021-10-25 18:00:00 | 労働法

みなさん、こんばんは。hkです。

今日は、システム変更の立ち合いで出勤した昨日の振替休日(振休)でした。あいにく曇っていて富士山は見えませんでしたが、しっかりと体を休めることはできました。

ところで、「休日」とはどのようなものでしょうか。労働法の観点では「労働の義務がない日」、つまり誰からの許可を得なくても堂々と休める日のことです。

労働基準法(労基法)では1週で1日または4週で4日の休日を労働者に与えることを会社に義務づけています。そして、休日をいつにするかをあらかじめ決めておく必要があります。

休日に働かせるためには所定の手続きが必要となるとともに、3割5分の割増賃金を支払わなければなりません。たとえば、1時間あたりの賃金が1,000ならば1,350円を支払うこととなります。

割増賃金の支払いをさける意味でも、振休を与えることが労務管理の基本の一つになっています。

振休とは、休日と入れ替わった平日(労働日)のことです。たとえば日曜日を休日としている会社が、今年の10月24日にある労働者を働かせる必要があったとします。その際、「月曜日の10月25日を休日に振り替える代わりに、24日に出勤してほしい」と指示したとします。すると、24日は日曜ですが平日扱いに、25日は月曜ですが休日扱いとなります。大切なのは、あらかじめ振休となる日を指定することです。

振休に似たものとして代休があります。代休とは休日に出勤させた労働者に対して後日、都合の良い日に与えた休みです。あらかじめいつ休ませるかを決める必要はありません。そもそも代休を与える義務は、法律上ありません。

振休と代休とでは、休日勤務に対する割増賃金の扱いも異なります。たとえば所定労働時間帯が9時から18時、途中の休憩が1時間の会社の社員が、10月24日に9時から19時まで働いたとします。

振休を与える場合、24日は平日扱いになりますので休日勤務に対する割増賃金は不要です。必要となるのは18時から19時までの時間外労働に対する割増賃金だけです。

一方、代休を与えた場合はどうなるか。まず、9時から19時までの実働9時間に対して3割5分の割増賃金を支払う必要があります。代休を与えた場合、その日の賃金をどうするかは会社の決めごとによります。もし無給とするならば、9時から18時までの通常の賃金を控除することになります。

1時間当たりの賃金が1,000円の場合、結果的に1,350×9ー1,000×8=4,150円を支払う必要があるわけですね。ちなみに振休を与える場合は、1,250×1=1,250円の時間外割増賃金が必要となります。

ところで、多くの会社は土曜日と日曜日を休日とするなど、週休2日制となっていると思います。先に書いたように、労基法では週1日の休日しか要求していません。したがって、労基法上の休日に該当する日を「法定休日」、それ以外の休日を「法定外休日」と呼んだりします。

労基法上、「法定外休日」は時間外労働に該当します。ちなみに、労基法上の時間外労働とは「1週40時間または1日8時間を超える労働」のことです。たとえば所定労働時間が7時間の会社で8時間働いた場合、8マイナス7の1時間は労基法上の時間外労働にはなりません。

休日労働とか時間外労働ということばが出てきた場合、労基法上のものなのか、会社の決まりによるものなのか、正確に読み取る必要があります。

以上、今日は堅苦しい内容になってしまいました。