諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

著莪(シャガ)観察記

2012-05-12 22:14:20 | 日記・エッセイ・コラム

 庭の小暗がりに、“著莪の花”が咲いております。(盛りは過ぎましたがー) ▼ 5月の連休頃、よく咲いておりました。しかし、写真の対象には致しませんでした。(撮っても、「“花の中心”が、“白ハネ”してしまって、写真にならない。」と思っておりました。)▼ とは言っても、柘植の根元にかたまって咲いたりすると、やはり気になります。

著莪咲いて 木暗き庭に 白明かり 夢蔡

20120512_024 ▲① 『 紫の班(ふ)の佛めく著莪の花 」ー虚子ー ▲ 「蝶が風に乗って花に来て、飛び舞う。婦人これを手折りて飾りとする」 (「三才図会」意訳)

20120507_034_2 ▲② 何枚か撮っておりました。すると、派手な花弁の部分に、ハエがもぐり込んで、しきりにそこをなめているおります。「~これってナニ~?」(蝿がいた部分を舐めて見ましたが、苦い味でした。)

20120509_012 ▲③ 別の著莪をマクロで撮りました。すると、濃い紫とオレンジ色の派手な花弁と、先端がギザギザした小ぶりの花弁が、花の中央から立ちあがって、一対のなっております。*「花の真ん中には、“雄しべ雌しべ”が鎮座しているものと決めてかかておりました。

 著莪の花の基本形ーー

20120512_023 ▲④ 派手な花弁(外花被片)と、ギザギザ花弁(内花被片ー先端2裂)の組み合わせが、三対あります。模様のない白い部分は萼片。これが、通常に見る「シャガの花一個であります。

 ー【 シャ ガ 】(アヤメ科) Iris  Japonica   ▼ ヒオウギの漢名「射干」からとった名。中国原産。本州から九州に分布。湿った林下に群生する常緑多年生草。根茎を地下に這わせて繁殖する。アヤメ科はすべて属名「Iris」(アイリスー「虹の精」)がつく。種名は Jponica(日本)

20120510_005 ▲⑤ 派手色の外花被片と2裂した内花被片の隙間から棒状突起が見えている。これが“♂雄しべ”。“♀雌しべ”は、ギザギザ(花柱)の直ぐ下の内側にある。

20120510_007 ▲⑥ 横から見た「著莪の花」  オレンジ色を更に目立つように先端を鶏冠(トサカ)状に大きくして、蝶などを誘っている。シャガは、「胡蝶花」とも漢字を当てます。

20120512_007 ▲⑦ 著莪の花の思惑どおりにモンシロ蝶がやってきました。

20120512_021 ▲⑧ 日本にあるシャガは、「結実」することがない。“雄しべ雌しべ”による“有性生殖”が出来ない種である。総てが、根を派生させてクローン化で増殖する。

 *花の巧妙な仕掛け=トサカ状の案内看板は、美しく見事である。客はそれにつられて蜜を飲む。しかし、その行為も、悲しいかな無に帰してしまうのである。▼ この花容は、人を癒すには十分である。

ほの白く 垣間に咲きし 著莪の花 訪(おと)なう人に た折りて一輪  夢蔡ー

    ーー著莪観察ーー了ーーー