“雨水も赤くさびゆく冬田かな”(太 祇) ▼ 直線的な舗装道路である。左右に冬田が広がる。木枯しが吹き抜ける一直線の道路は沼まで続く。
側溝の まっすぐ過ぎる 道寒し 枯れ伏し乾く 草・土・人も ー夢蔡ー
▲ 「平均的田園風景」 コンクリート製の側溝は、深さが、80cm程である。(←立ちこむと人の腰くらいの深さ) 側溝の深さは、田の表土に厚みをもたせ、乾燥させるためである。大型の農耕機が自在に動き回れる為の均一の強度を保つ設計である。大型機械化によって稲作の効率化、労働生産性はあがった。(←農家はきつい労働から開放されたのはいい。農耕機による苗の植え付け本数は、あらかじめ機械的に決定されている。施肥・農薬の投入量、反収もほとんど計算されている。)▼ しかる後に減反だってーー
ー農業の基本に、「自然環境機能の維持増進」と言ったスローガンが掲げられてはいるが、「水田生態系」は、他の生態系とは切り離されてしまった。稲田の中を巡り、無数の微生物などの作用によって、養分を含んだ(他の生物の生きる糧) 水は、側溝に落ちるやアッ~と云う間に流れさる。▼ 「メダカの危機」(←メダカは、「絶滅危惧種」に指定)が、環境の危機だなんて‘新聞キャンペーン‘があったけ~
ーー< 写真先行で、「話」がややこしくなりましたので、‘田園風景‘から引き上げます。>--
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水仙を 活(い)ける指先 かじかみて ー夢蔡
初達磨(だるま)買い 床の間に置く ー総代ー
*<詞書> 風の冷たい日であった。来客があるというので、陽だまりに早々と咲いている水仙を一茎採り、白磁の‘一輪挿し‘に挿す。客への心づくしである。彼女の白く細い指先はほのかに赤らんでいた。渡辺淳一風の‘小説‘の書き出しにありそうな情景であります。*発句は、そうした情景を想像したものです。(←フィクションであり、現実とは全く関係ありません)
▲ 【水 仙 】 スイセン 1~2月の厳冬期に花をつけるので、別名<雪中花> 花言葉=<希望>*光・大地・大気・水の自然エネルギーを取り込み、自生する機能は、人間の科学を遥かにしのぎます。
ー自然は、絶対に静止する事のない生態系によって成り立っております。人間も、多くの生物群集の一員です。
空っ風 砂塵にまみれ 老農は 這うごと歩み 地を起こしけり ー夢蔡ー
ー 老 農は80歳半ばを過ぎております。足腰も萎え、耳もほとんど聞こえません。しかし、適作期なれば、這うようにして野菜作りをいたします。キツイ農作業にあけくれたのは、遠い昔のことです。やめてもいっこうに差し支えありません。しかし、彼自身が、大地の一部であるかのようにして、土を起こしております。
ーーー<了>----