諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

 “田園”冬物語

2013-01-22 11:14:31 | 日記・エッセイ・コラム

 “雨水も赤くさびゆく冬田かな”(太 祇) ▼ 直線的な舗装道路である。左右に冬田が広がる。木枯しが吹き抜ける一直線の道路は沼まで続く。

側溝の まっすぐ過ぎる 道寒し 枯れ伏し乾く 草・土・人も  ー夢蔡ー

20130104_043 ▲ 「平均的田園風景」 コンクリート製の側溝は、深さが、80cm程である。(←立ちこむと人の腰くらいの深さ)  側溝の深さは、田の表土に厚みをもたせ、乾燥させるためである。大型の農耕機が自在に動き回れる為の均一の強度を保つ設計である。大型機械化によって稲作の効率化、労働生産性はあがった。(←農家はきつい労働から開放されたのはいい。農耕機による苗の植え付け本数は、あらかじめ機械的に決定されている。施肥・農薬の投入量、反収もほとんど計算されている。)▼ しかる後に減反だってーー

農業の基本に、「自然環境機能の維持増進」と言ったスローガンが掲げられてはいるが、「水田生態系」は、他の生態系とは切り離されてしまった。稲田の中を巡り、無数の微生物などの作用によって、養分を含んだ(他の生物の生きる糧) 水は、側溝に落ちるやアッ~と云う間に流れさる。▼ 「メダカの危機」(←メダカは、「絶滅危惧種」に指定)が、環境の危機だなんて‘新聞キャンペーン‘があったけ~

ーー< 写真先行で、「話」がややこしくなりましたので、‘田園風景‘から引き上げます。>--                                               

        ーー<・・・・>~~

水仙を 活(い)ける指先 かじかみて ー夢蔡

初達磨(だるま)買い 床の間に置く ー総代ー 

 *<詞書> 風の冷たい日であった。来客があるというので、陽だまりに早々と咲いている水仙を一茎採り、白磁の‘一輪挿し‘に挿す。客への心づくしである。彼女の白く細い指先はほのかに赤らんでいた。渡辺淳一風の‘小説‘の書き出しにありそうな情景であります。*発句は、そうした情景を想像したものです。(←フィクションであり、現実とは全く関係ありません)

20130116_003 ▲ 【水 仙 】 スイセン 1~2月の厳冬期に花をつけるので、別名<雪中花> 花言葉=<希望>*光・大地・大気・水の自然エネルギーを取り込み、自生する機能は、人間の科学を遥かにしのぎます。

ー自然は、絶対に静止する事のない生態系によって成り立っております。人間も、多くの生物群集の一員です。

空っ風 砂塵にまみれ 老農は 這うごと歩み 地を起こしけり ー夢蔡ー

ー  農は80歳半ばを過ぎております。足腰も萎え、耳もほとんど聞こえません。しかし、適作期なれば、這うようにして野菜作りをいたします。キツイ農作業にあけくれたのは、遠い昔のことです。やめてもいっこうに差し支えありません。しかし、彼自身が、大地の一部であるかのようにして、土を起こしております。

  

        ーーー<了>----


新春 荒れ草物語

2013-01-10 21:55:09 | 日記・エッセイ・コラム

“枯れ木に鴉が、お正月もすみました”<種田 山頭火> 「行乞流転の旅」に生きた俳人の破調の句であります。(←どこか取り残されいる感じがにじんでおりますが・・。)▼ 新年ゆえに騒々しかった華やぎも去りました。世の中は、いつもの通りの日々に戻りました。皆々様は、多忙であります。当方は、自然の成り行きとおなじく急いではおりません。--

めじろ来て ちと日の延びて 冬なかば ー夢蔡ー

20130110_012 ▲ 【メ ジ ロ】 十羽ほどが、庭先の裸木に飛来しております。「繍 眼 児」(しゅうがんじ)なる異名があるほどに、黄緑色の顔に、眼の周りの白輪お化粧は見事であります。(←季語は「秋」ですが、吾が窓前では、1~3月に目立ちますので、「春浅し」的であります。)

ー 【冬至】 (2012年12月21日) 日の入り 16時32分→→2013年1月11日現在、日の入り 16時47分  ∴ 15分ほど、日が延びたことになります。---

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荒れ小屋の 落ち葉溜まりや すみれ草 ー夢蔡

20121222_048 ▲ 【ツボスミレ】 スミレは、日本では100種ほどあるうち、このツボスミレが最も早く開花する。五片の花弁のうち、下方の一花弁には、後ろに突き出た<距・きょ>(花の後ろが突き出ている部分ースイセンと同じ)を持っている。その形状が<壷>に似ていることから、ツボスミレ・・ではなく、<壷>=中庭(←この近郊でも「つぼにわ」といっていたっけ。)に咲くスミレ=庭スミレの意である。(牧野富太郎「植物の知識」より)

ー “茅花(つばな)抜く 浅茅(あさじ)が原のつぼすみれ 今盛りなり我(あ)が恋ふらくは” (訳ーつばなを抜く浅茅が原の “つぼすみれ”、そのスミレのように私は真っ盛りです。あなたに恋焦がれる気持ちはー)*<万葉巻8-1449 坂上大嬢の異母姉の歌>▼ 1cmに満たないスミレを見つめての恋歌、乙女心の琴線は、ふとしたことにも、ふるえるのであります。(←ただし、宮廷貴族のお嬢さんに許された贅沢ですが・・) スミレとの、千年のお付き合いの例です。

補注 茅花ー茅萱・チガヤの芽で抜いて食用とした。* 戦後間もない頃、土手に生えた茅の芽や芝芽ーシバメを、春先、農村の子供達も、オヤツ代わりにして食べておりました。「食の伝統」は以外に長々としております。劇的に変わるのは、高度成長期以降でしょうか。--

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花虻や 花芯に癒(い)えし 四温かな ー夢蔡

おひとりさまの 村はわびしき ー看生ー

20121229_009 ▲ 枯れ草の根元の奥に潜んで居た“ホソヒラタアブ”(ハナアブ科)。 「四温日和」に出て来て、‘フユシラズ’の蜜をなめとっていた。 (←数分後に庭木の根元に消えた。)

ー「どんな生物でも、外界からの影響のさまざまの条件に順じする性質を持っている。しかし、ある決定的な自立性を、あくまで放棄しない。」 (ゲーテ「箴言集」) ▼ その「自主性」に、人は平気で手を突っ込んで「DAN」を操作する。遺伝子操作の植物は、自主的再生産能力を剥奪されている。* SFの世界であれば、やがて彼等の復讐が始まる。先兵は、耐性を獲得したウイルス軍である。ーー

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オリオンは 凍てて三寒 せまりくる ー夢蔡ー

      -----< 了 >-----


1203年 序章

2013-01-04 22:03:57 | 日記・エッセイ・コラム

 “ 只の年 またくるそれで よかりけり ”<星野麦丘人> ▼「いかにねて おくるあしたに云う事ぞ きのうを“こぞ”と けふを“ことし”・・」 <後拾遺集>-ご案内の“去年今年”(こぞことし)の来歴であります。世の中は、あわただしく動いておりますが、日々は世事と疎遠の生活をしておりますと、去る年と来る年の境目が解らなくなります。(*注 今年は、神社に居る役目でしたがー夢蔡ー

ー0:00am 平成25癸巳年が明けました。ー

年玉の 多きを願う 娘(こ)ありて ー夢蔡ー

鈴緒(すずお)重きに 媼(おうな)は振れず ー甲斐伍ー

20130104_029_2 ▲ 郷 社 【雷 電 神 社】 建立は、西暦1215(順徳天皇ー建保6年)とされる。天正元年(1570)、正月25日 大雷が、神木を直撃するー。すると神木の裂け目から一条光り共に黄金像が現れた。村の守護神=【大 雷 神】となった。 ▼境内の杉の老木の皮を剥ぎ取り、ふところに入れておけば、雷除けの守護符となる。● なお、配祀神には、有名どころでは、スサノウ命・大国命・日本武尊・菅原道真命が祀られている。何を<願掛け>しても叶うでしょう。ー

<小泉稲荷にて・・>----

初みくじ 読み返しつつ 結びけり ー夢蔡ー

  “運命”の音 いかに響くや ー部糖弁ー 

20130104_017 ▲ 運勢 吉  ○ 一度思い定めたことはわきめもふらず一心になさい。何事も成功します。○ 願望 おそいが思う通りになる。 吉  ○ 学問 努力すれば よしーー

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五円玉 十個投げ入れ 初参り 来福あまた 欲張りし吾 ー夢蔡ー

“年立つやもとの愚がまた愚にかえる” <一茶> ▲ 一年の愚行がが終わったあとに、またも新しい愚行が始まりました。

20130104_050 ▲ 市民の森公園 「猿岩石」    なんとなく“哀愁”をおびた顔です。 (←立ち止まって見ておりますと、こちらを哀れんでいるようにも感じますーー) 

ー 「愚」 <会意文字> おろか。禺(←猿の形象)+心 から構成されている。*補注 現代の生物学では、チンパンジーと人類の遺伝子の差異は、2~3%とされております。「人間+心」で「ぐ」と言う<会意文字>が出来ないことを心がけるが大切でししょう。 (←「猿の惑星」伝言板より)

ー「衣装にしろ、思想にしろ、やたらと老人が流行を追いまわすのはみっともない。・・しかし、自分が何処に立っているか、人々がどこへ行こうとしているか、は知らねばならぬ。」<ゲーテ 箴言集> ▼ 「愚者も千慮をすれば、必ず一得あり」= (愚かな者でも、多くの事を考えていればうちに、たまには良い考えをだすものだ。ーー

  箴言を 肝に命じて 年新た  ー夢蔡

         ----序章ーー<了>ー