諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

紫陽花と遊ぶ

2013-06-27 22:04:54 | 日記・エッセイ・コラム

 “紫陽花の大一輪となりにけり”(嘯山) 気がつけば、夏至(6月21日頃)を過ぎておりました。水無月・夏の真ん中ー6月は終わろうとしております。

ーー①ーー

紫陽花の 葉先に光る 水玉に 幸(さき)はふ国の 言霊 (ことだま)(ひ)めしや ー夢蔡ー

20130612_036 ▲ 掲載短歌の、下段は、“言霊の 幸はふ国”(←言葉には霊・魂があり、言霊が奮い立って、言葉の内容どおりに実現させる良い国・←例 万葉巻5-894・好去好来の歌、山上憶良)を反転させただけでありますが、当世の“美しい国”が、透明な水玉の中に、言葉どおりに、写り宿っていないもかナア~と、思いをこめての、“原歌取り”であります。

ーー②ーー

水玉は 重きに耐えず 滴(したた)りぬ 宿る世界は 空(む) なし空(そら)にて ー夢蔡ー

201306_036 ▲ ガクアジサイ 【額紫陽花】中央に淡青紫色の両性花の集合。その周りは、萼(花びらを支えている部分。ふつう緑色の葉状 )が変形した“装飾花 ”。→普通見るアジサイの原種とされる。

201306_028 ▲ アジサイ (Otakasa Hydrangea)  学名表示は、オタカサ・ハイドロランジア。(「オタカサ」は、アジサイを西洋に紹介したシーボルトの現地妻「おたかさん」にちなんだと言う逸話があります。 正式学名にはなっておりません。ハイド(水)+ランジア(容器)

▼ 萼だけを集中的に咲かせるように改良した一般的にに見られる西洋アジサイ。花弁に見え、花芯も装飾のうちである。結実することはない。▼ ただし、有性生殖をしなくても、アジサイは、絶えることがない。挿し木をすれば、樹皮から根を再生させる能力を持っている。 (←←IPS細胞の研究とその成果が見え始めた昨今であるが、植物は、土と水と適温があれば、たちまち再生する。)

▼ 自然は、果てしない“循環能力”をもっている。人間は、その一部を、人工の直線的ものに変えてしまった。今日、特徴的なのは、変えた結果、生み出されたモノによって、悩ませられている。

「宇宙船地球号に関するきわめて重要な一事実がある。使用注意マニアルが、それに付いていなかった、ということである。」 (バックミンスター・フラー)

          ーーー<了>----


梅雨の合間に

2013-06-13 21:02:36 | 日記・エッセイ・コラム

ー 入梅(6月11日)=(雑節であります。実際の雨期とは必ずしも一致しておりません。) 農作業、特に田植えのためには重要な目安の日とされております。▼ 珍しく発生した6月の台風が小笠原付近で熱帯低気圧となって停滞して、雨の日が続いております。

ー雨間の公園はまことに静です。---

人影(ひとげ)なき 公園にただ 坐している 判断停止(エポケー)の吾(あ)に 頬白(ほおじろ)鳴くも ー夢蔡ー

20130612_014 ▲ 最近、“チンむくりん”なる言葉を手にいれました。このオノマトペの響きが、狭い範囲で、チンマリ固まって生きている我らの日々の生活に合っており、気に入っております。

ー「人間と自然の境界線が揺らいでいつしか一体となり、万物が交感する世界である。」 ーこれは、ある短歌人の傾向を評した文章の一部でありますが、マア~そんなモンかと思い、拙なる短歌を試み、上記掲載いたしました。~単なる言葉遊び、パフォーマンスにしか過ぎませんようですが。~

ー 何すると言うこともなく、一日が、また終わります。--

軒かげに 円網(えんもう)張りし おにぐもの 今宵(こよい)獲物は うすばかげろう ー夢蔡ー

20130612_005 ▲ おにーぐも 【鬼蜘蛛】 体長2~3センチ、全体強剛で暗褐色、歩脚が太い。軒下に巣を張る。*写真のオニグモは、我窓前に毎夜出没する。陽が沈むと同時に、網掛けの作業を始める。1時間程度かけて完成させる。丁度、窓の灯りめざして、蛾が飛び交う時間帯に間に合うのである。▼ うすばーかげろう 【薄羽蜉蝣】 翅が透明、一見トンボに似る。幼虫は「ありじごく」(←写真の中には登場しておりません。)

「うすばかげろう」→「薄馬鹿下郎」→「うすら馬鹿のおっさん」→故 北 杜夫が、ドクトル・マンボーのエッセイの中で、ギャグっておりました。

ー 物置小屋の軒下などで、乾燥してさらさらした土のある所には、「ありじごく」が幾つもありました。子供の頃にやってみました。蟻を捕まえて、すり鉢状の「ありじごく」に落とすと、蟻はサラサラした砂に足を取られ、登りきれません。もがいているうちに、「幼虫」が、サッと蟻の脚を捕らえて、引きずり込みました。▼ 最近は、「ありじごく」が、この近くでは、全く見つかりません。従いまして、当該の“オニクモ”の網に“ウスバカゲロウ”が引っ掛かる可能性はゼロであります。--

ー あえて申せば、「馬鹿なおっさん」が、オニグモの巣に興味を持って、写真撮ったり、短歌にして見たりして、ひっか掛かっている・・・ということで、今宵の“御開き”といたします。ーー

        ----<了>-----

   

  


水無月慕情

2013-06-07 22:05:57 | 日記・エッセイ・コラム

“みなーづき” 【水無月・六月】 (古くは清音。「水の月」で、田に水を注ぎいれる月の意。) (広辞苑」) ▼ 今年は、「梅雨入り宣言」が早すぎたのか雨がまったく降らない文字通りの「水 無 月」となっている。5月29日は、宣言通りの雨であってが、小ぬか雨が半日ほどで終わってしまった。

梅雨入りの 雨細く降り 水面(みなも)うつ   めだか浮き来て 泡沫(うたかた)ひとつ ー夢蔡

20130612_031 ▲ メダカの産卵時期と、田に水を張る時が丁度一致しているので、日本の稲作文化と共存してきました。「水田の魚」と言われる所以であります。が・・▼「今は、側溝で囲まれた四角形の田んぼで棲む所ありませんので~」ーーby メダカ

“ただ何事もかごとも 夢幻の水の泡 笹の葉に置く露の間に 味気なの世や(訳←ただ何もかもこの世の中は、夢まぼろしや水の泡とおんなじで,露のように消えやすく儚いものです~この世の中は)<「閑吟集」 岩波文庫・朝の健二校注> ▼ 中世の無常観の小唄のひとつであります。メダカにとっては、こんな気持ちでしょうか^~

ー 土堤は、すっかり夏草に覆われました。茅萱が、穂を立てております。葛が、“耕作放棄地”に蔓を伸ばし始めました。

野の花の 小(ち)さき褥(しとね)に はなむぐり 生命(いのち)受け継ぐ 性さが)の狂(くるお)し ー夢蔡 

201306_030 ▲ 野の花は、ヒメジオン 正確には、ひめーじょおん 【姫女菀】 北アメリカ原産の帰化植物。雑草として、田畑の畦、道端、何処でも見られる。初夏から秋まで花の時期は長い。▼はなーむぐり 【花潜り】 コガネムシ科ハナムグリ亜科の昆虫の総称。写真は、【コアオハナムグリ】 体長1・5cm 花粉やみつがを食べるのでこの名前。(「広辞苑」参)

▼ 植物=花粉の提供、昆虫=受粉の手伝い、【共生】の一断面を夏草群落の狭い空間に見つけました。

▼環境保全が叫ばれる一方で、農薬や除草剤散布は、日常的であります。昆虫類が、とみに少なくなっております。「こんなところで、秘かに~ がんばってる~」とか、生命力の絶妙さにを感じいりました次第です。

▼ 人間は自ら生み出した“文明科学技術”結果によって“滅亡”したとしても、生き残るのは、案外、彼らだったりして・・~

          ----<了>-----