

日ごろ食事に行ったりしても、めったに料理を作る人にお目にかかることはない。もし、シェフに「食事のお味はいかがでしょうか」と聞かれたなら、とっさに「結構なお味です」という事でしょう。
ちょっとしたきっかけで、料理人というより料理のまかないをする韓国人に話が聞けた。彼女は、年の頃は60歳代で日本に数十年暮らしている。彼女は、たどたどしい日本語をしゃべりその語尾に時々名古屋弁がまじる、ごく普通のおばさんであった。私は、話の中で「韓国に帰りたくないの?」と私の悪い癖であるズバリと相手の胸に突き刺さるようなことを言った。多少の沈黙がとても長く思えた。その後話題を変えてからは話が弾み、帰り際もっといてくれとせがまれた。それは、韓国ドラマの中でよくある、家に来てくださった方へのおもてなしの一場面とかさなった光景であった。
彼女自身は気がつかないと思うが、私は、昔ながらの韓国の礼儀作法がいまだに受け継がれれいることに感銘を受けた。