何年か前からトラキア人の墳墓に魅かれていた。ゴールデンウィーク明けにCちゃんと会った時、夏はどこに行く予定かという話題からあっという間に話がまとまったのだった。
8日間の旅をいくつかに分けてお届けします。旅の序盤では、以下の地図の➊・➋を訪れました。なお、ルセとイヴァノヴォは近いため➋にまとめています。
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1 (イスタンブール経由)⇒ブカレスト (2024年8月19日)
成田での離陸が50分遅れた。もともとイスタンブールでの乗り継ぎは1時間20分しかないスケジュールだったので、先が思いやられる
乗継便も同じ航空会社なので、うまく調整してくれると期待するしかない・・・
結局、15分遅れでイスタンブールに到着。かなり巻いて飛んでくれたのだろう。
今回チョイスしたト〇コ航空はソフィア便もあるのだが、旅程の都合上 ブルガリアの隣国ルーマニアに飛んで「一筆書き」にまわったほうがよいと判断。イスタンブールからブカレストへ向かうことになっていたのだが、今度は乗継便が1時間20分のdelay。そもそもが夜入国というハイリスクな予定だったが、到着が一体何時になるやら・・・
結局、きっちり1時間20分遅れて21時35分に着陸。イスタンブールからは1時間足らずで、かつてこの国がトルコ領だったことを想起させた。
この日の宿はブカレスト・ノルド駅の近く。空港を出てすぐ目の前に乗り場を構えるエアポート・トレインに飛び乗って向かう。
車両もホームも真新しい感じ。
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30分弱でノルド駅に到着。が、あろうことに反対方向に歩き出してしまい、全然たどり着かない。
さまよっている最中に見かけたSL車両
ガイドブックには鉄道博物館などと書かれてはいなかったが。
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地図を見直して、正しい方向に歩き出してみれば何のことはない、駅から5分もかからない至近のホテルだった。23時30分にチェック・イン。
決して治安の良くないエリアをこんな遅い時間帯にウロついて何も問題が起こらないのは、一人じゃないからだろうなぁ・・・
順番にシャワーを浴び、軽く晩酌。Cちゃんは機内で飲まずに取っておいたワインを、私はホテルのフロントで売っていたビールを。
翌朝には国境越えが待っているので、2時前に就寝
十分遅いけど・・・
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1・2 ブカレスト ⇒ルセ ⇔イヴァノヴォ (2024年8月20日)
10時に車が迎えに来ることになっていたので、逆算して7時半に起床。
朝食ビュッフェはパンだけでも何種類もあり迷うほどで、おかずから果物まで相当豪華だった。
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野菜が豊富なのもうれしい
旅は始まったばかり、体力がもつようにとガッツリ摂る。
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出発の支度をすませたらpick upまで少しだけ時間があったので、前夜暗い中だったブカレスト・ノルド駅周辺を探索することにした。外観はこんな感じ。
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昔ながらの駅の名残りがあるエリア。
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が、そこを離れるとショップがならび完全に現代化している。
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始発駅であり終着駅であるので、線路には車止めがある。
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横の出入り口は落書きが目立つ。
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駅の斜め向かいのビルは古いながらモダンな造り。が、上階など使用していないエリアもありそう。
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時間より少し前にドライバーがやって来た。Cちゃんが探して予約してくれたブルガリアのタクシーで、ここブカレストから国境を越えてブルガリアはルセに入り、ホテルにチェック・インした後にイヴァノヴォまで往復してもらうことになっていた。ドライバー君はハ〇ー・ポッターと同名で小太り、30代くらいと思われた。
1.5kmほど進んだところでドライバー君が車窓を見やりながら、国民の館だよと紹介してくれた。
【国民の館; 故チャウシェスク大統領が造らせた宮殿。地上10階・地下4階の建物はアメリカの国防総省(ペンタゴン)に次ぐ規模で、3,100以上の部屋数を誇る。ユニオン・ホールは天井・壁・窓枠に至るまで純金の装飾をほどこす。共産主義政権の崩壊後は各政党のオフィスとなり、国際会議やコンサートにも使用されている】
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ブルガリアとの国境へは50kmほど。その道すがら、私たちの目を釘付けにしたのは車窓に広がるヒマワリ畑
停車できるような道路状況ではなかったので走行中に撮っては納得がいかず、ピンボケの画像を大量に生産してしまった
1時間あまりで国境の町ジョルジュに到着。何より驚いたのは、国境越えを待つトラックの列。が、一般車両はスルスルと通してもらえるらしく、見た感じ6㎞ほど続く壁のような車列を通り越していく。
目を白黒させている私たちに、ドライバー君が「以前にトラック運転手をしていてブルガリアとルーマニアを往復していたけど、本当に過酷だったよ。待ち時間が長くて、トイレにも行けないんだ」、ボソリとつぶやいた。だよね・・・書類審査とかで果てしなく待たされそうだなぁ
国境となっているドナウ川に架かる橋を渡って進む。欄干に垣間見えているのがそれ。中欧を訪れたことがなく空白地帯となっている自分にとって、初めて目の当たりにするのだった。
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車内から。
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橋を渡り終える直前に、ルセ側からパシャリ
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1952、1954と刻まれたブルガリアのゲートが迎えてくれる。左右で建立年代に差があるのか・・・
ブルガリアの国旗がたなびいている。
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遠目にゲートを望む。
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橋から2㎞ほどのホテルに着いたのは11時半前。ジョルジュから20分弱、近いなぁ。
チェック・インして部屋に荷物を置きに行く等で、ドライバー君にはホテル前で30分間待ってもらっていた。勿論その間、待機代がかさむのだけども(30分で20レヴァ≒1,682円)。
正午にホテルを出発。まずはブルガリアの通貨を入手するため、両替所へ。ガイドブックに情報はなく、それと分かるような看板が出ているでもなし、自力で見つけるのは骨が折れただろう。ドライバー君に感謝
イヴァノヴォはルセから南へ20㎞の道のり。とある所で左折すると、どんどん森の中に入っていき周囲は鬱蒼としている。世界遺産だから観光の便宜をはかって道路が整備されたんだろうけど、よもや教会があるとは思えないような場所だよね。発見した人はすごいなぁ・・・
【イヴァノヴォの岩窟教会群; 13世紀前半、第2次ブルガリア帝国の皇帝イヴァン・アセン2世の師であるヨアキムによって基礎が築かれた。当時の首都タルノヴォから招かれた画家たちが描いた13~14世紀のフレスコ画は当時の主流であったビザンツ美術とは一線を画し、中世ブルガリアのキリスト教美術の傑作とされる。一帯は300以上の施設を擁する一大宗教センターとして繁栄したが、14世紀のオスマン帝国による侵攻後 しだいに荒廃し放棄された】
40分ほどで岩窟教会の真下に到着。これまた整備された石段をのぼって行く。
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聖母教会の入口に到着。画像右の岩の割れ目がそれである。
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岩窟に入ってすぐの右手は一段低くなっていた。明らかに壁を補修している。
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いったん下りて見上げると、こんな感じ。
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ここからがメインのパートである。故意にか自然にか剥落している部分があるものの、天井や壁のフレスコ画が外から射し込む光に照らし出されている。
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イエスの生涯が所狭しと描かれている。
肝心な部分が割れてしまっているが、上段はヨルダン川で洗礼を受けるイエス、下段は聖母マリアへの受胎告知と思われる。
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弟子の足を洗うイエス(画像左端中央)。
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最後の晩餐(画像左端がイエス)。
1つ上下に載せた絵もそうなんだけど、手前の人物たちよりも背景に目が留まる作風なんだよなぁ・・・そう思うのは私だけ
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ユダの裏切りにより、イエスが逮捕される場面(画像中央の後光がさす人物がイエス、その右がユダ)。
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イエスの変容【新約聖書(マタイ、マルコ、ルカによる3つの福音書)に記載されている出来事。十字架で処刑される前に、イエスは3人の弟子(ペテロ、ヤコブ、ヨハネ)を連れて山に登った。するとイエスの顔が太陽のように輝き、衣は光のように白くなり、預言者のモーセとエリヤが現れてイエスと語らった。また、天上から神の声が下った。曰く、「これは私の愛する子、私の心にかなう者。これに聞け」と。弟子がイエスの神性を理解する契機となったエピソードとされる】。
楕円形の光背の中に描かれているのがイエス、その左右がエリヤとモーセ、恐れのあまり転び伏した姿で下部に表されているのが弟子たち。
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この教会にはバルコニーがある(下の画像、中央奥)。
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バルコニーから周囲を望む。高所恐怖症気味の自分、足元がスース―するのを感じつつ
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教会を後にして のぼってきたのとは別の道をしばらく進むと、展望所に出た。
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先ほどまでいた聖母教会を見晴らすことができる(画像左端中央、丸で囲んだ部分がそれ)。
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付近で見かけた植物たち。
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結局 小1時間で駐車している場所まで戻り、傍の売店をのぞいた。ハガキを期待していたが、シーズンオフにつき売り切れとのことだった。欧州旅行のハイシーズンはざっくり夏だと思っていたが、7月ということか? 8月下旬はもはやノーカウントなのか・・・ともあれ、残念
14時半前、ホテルに送り届けてもらってドライバー君とはお別れ。
隙間時間を活用し、部屋で洗濯にいそしむ。今回の旅は基本的に1泊で各地を転々とするため、時間が空いたタイミングで洗って干すしかないのだった。
とはいえ、翌日には発つので洗濯で終わるわけにはいかない。16時過ぎ、ルセの街歩きに出かける。
町の中心スヴォボダ広場へ続く通り。カフェのテラスは人でギッシリ。
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ペロリと出た舌が可愛い猫。美味しいものでも食べた後のなのかな
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自転車少年たちがたむろしていた。
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聖トロイツァ大聖堂に到着【17世紀前半築、ルセで最も古い建造物のひとつ】。
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入口の上には三位一体(神・神の子イエス・精霊)の絵が掲げられている。
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教会は地下にあり、階段を降りていくスタイルになっていた【建立時はイスラム教のオスマン帝国支配下だったため高さ制限があり、このような構造になったらしい】。
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階段の途中、踊り場で見上げる。自分が降りたのもあり、尖塔部分がかなり高く感じられた。3枚上の画像中央の白いのがそれ。
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階段を降りて来し方を振り返ると、遠くの天使と目が合った
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教会の内部。
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何ともいえない風情の聖母子のイコン。
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創建以降 何度も修復の手が入っているのだろうけど、レンガがむき出しになっている部分が古いと思われる。
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別の角度からもパシャリ
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教会を出て、神殿へ向かう【19世紀、オスマン帝国による支配に抵抗した英雄ステファン・カラジャを祀る廟。各地で転戦したものの、敗れてここルセで処刑された】。
周囲には人がおらず、閉まっているのかな~と思いつつ近づく。扉の手前3mくらいにさしかかった時、ガチャリと開錠する音がして中から出てきた人に無言で一瞥された私たち。彼の表情から、遊び半分で観光できるスポットじゃあないと察してクルリと踵を返した。
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神殿の前から伸びるペトコフ通りを歩き、ふたたびスヴォボダ広場方面へ進む。目抜き通りの両側にはショップが建ち並んでいた。角に立つアイスクリーム屋さん。
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撮ろうと近づいても、微動だにしない犬。中に愛しい人か犬がいるのかな
長めの胴に短いおみ足、可愛いが過ぎる・・・犬派にはたまらない
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広場にて、この外枠にビックリ。後にドナウ川沿いでも見かけたので、ルセの観光課が設置しているのだろうか。そんな部署があるのか知らんけど
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銅像にズームアップ。左に剣を携え勇ましい立ち姿は軍神のように見えるなと思った。が、この記事を書くにあたり調べたら自由の女神だった、トホホ
【そもそも、広場名のスヴォボダ =自由の意。一説によると、像の右手はロシアの方角に伸ばしているという。露土戦争(1877~1878年)でロシアが勝利したことにより、ブルガリアがオスマン帝国から自治権を得たことを象徴しているらしい】
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噴水を前に語らうおばちゃま達。
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ホテルを出る前にCちゃんと相談して、夕食はドナウ川沿いのレストランにしようと決めていた。広場を背に、北上する。
その途中に見かけた民家の前で立ち止まる。前庭にブドウの木が生い茂っているのだった。
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なんて素敵なの
フェンスの隙間から撮影。
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ドナウ川に出た。対岸はルーマニアである。
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川沿いに遊歩道が整備されていて、旅行者の観光や住民の散歩に格好の場を提供しているようだった。
またまたアイスクリーム屋を発見。シロクマのオブジェはテンプレートなのかなぁ・・・
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列車も走っている。
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何がしかの果物と思われる実をつける木もあり。
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予約なしで飛び込んだので、川に臨む席には座らせてもらえなかった
私たちの席からの眺めがこれ
なお、画像右手前の席には後ほど団体客が座った。
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ちなみに、テラスの外に出るとこんな感じ。
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前菜は羊飼いのサラダ。トマトにキュウリ、玉ねぎ、黒オリーブ、チーズ・・・トルコでも同名のサラダがあったな。かつて領地だった名残りかも。
(自分がトルコを訪れたのは二十数年前。記憶があやふやだったので今回調べてみたところ、トルコのには基本的にチーズがかかっていないようだ。乳製品を用いるのがブルガリア流アレンジなのだろう)
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メインは鯉のフライにした。ドナウ川で釣られたという。
初めて口にするコイの骨の多さに驚く。川魚ゆえドジョウ並みに癖がある味と思いきや、そうでもなく。
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メインに合わせて、ワインは白をチョイス。リストには何種類も載っていたが、懐具合の問題もあるので値段をにらみ、無難にシャルドネにした。
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お腹に余裕があったので、ポテトフライを追加オーダー。フェタチーズがこれでもかと乗っかっている。
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日暮れに目ざとく気づき、席を立ってテラスに出る。行儀悪いかも・・・でも、人生初のドナウ川夕景だもんね。←しつこくてスミマセン
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21時少し前に去ったレストランの遠景。
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ホテルに戻り、Cちゃんと交互にシャワーを浴びた後に晩酌。
珍しく贅沢して、部屋の冷蔵庫に備え付けのビール(ザゴルカ)を飲む。細かなイラストが印象的な缶だった。
【ザゴルカ; 1902年、ブルガリア中部の都市スタラ・ザゴラで創業。カメニツァ、シューメンスコと並んでこの国の3大シェアに名を連ねる】
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★ 中締め ★
一瞬で通り過ぎてしまったルーマニア。実は、ブルガリアを思うよりも更に何年も前から訪れてみたいと思っていた国のひとつである。
エアポート・トレインの運賃とビール代はカードで支払い、ルーマニアの通貨さえ手にすることがなかった今回。いつか行きたいと思いは募る・・・
さて、次回はスヴェシュタリにあるトラキア人の墳墓に足を運んだ後、東へ進み黒海沿岸の都市をまわります。お楽しみに
8日間の旅をいくつかに分けてお届けします。旅の序盤では、以下の地図の➊・➋を訪れました。なお、ルセとイヴァノヴォは近いため➋にまとめています。
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1 (イスタンブール経由)⇒ブカレスト (2024年8月19日)
成田での離陸が50分遅れた。もともとイスタンブールでの乗り継ぎは1時間20分しかないスケジュールだったので、先が思いやられる
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結局、15分遅れでイスタンブールに到着。かなり巻いて飛んでくれたのだろう。
今回チョイスしたト〇コ航空はソフィア便もあるのだが、旅程の都合上 ブルガリアの隣国ルーマニアに飛んで「一筆書き」にまわったほうがよいと判断。イスタンブールからブカレストへ向かうことになっていたのだが、今度は乗継便が1時間20分のdelay。そもそもが夜入国というハイリスクな予定だったが、到着が一体何時になるやら・・・
結局、きっちり1時間20分遅れて21時35分に着陸。イスタンブールからは1時間足らずで、かつてこの国がトルコ領だったことを想起させた。
この日の宿はブカレスト・ノルド駅の近く。空港を出てすぐ目の前に乗り場を構えるエアポート・トレインに飛び乗って向かう。
車両もホームも真新しい感じ。
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30分弱でノルド駅に到着。が、あろうことに反対方向に歩き出してしまい、全然たどり着かない。
さまよっている最中に見かけたSL車両
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地図を見直して、正しい方向に歩き出してみれば何のことはない、駅から5分もかからない至近のホテルだった。23時30分にチェック・イン。
決して治安の良くないエリアをこんな遅い時間帯にウロついて何も問題が起こらないのは、一人じゃないからだろうなぁ・・・
順番にシャワーを浴び、軽く晩酌。Cちゃんは機内で飲まずに取っておいたワインを、私はホテルのフロントで売っていたビールを。
翌朝には国境越えが待っているので、2時前に就寝
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1・2 ブカレスト ⇒ルセ ⇔イヴァノヴォ (2024年8月20日)
10時に車が迎えに来ることになっていたので、逆算して7時半に起床。
朝食ビュッフェはパンだけでも何種類もあり迷うほどで、おかずから果物まで相当豪華だった。
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野菜が豊富なのもうれしい
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出発の支度をすませたらpick upまで少しだけ時間があったので、前夜暗い中だったブカレスト・ノルド駅周辺を探索することにした。外観はこんな感じ。
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昔ながらの駅の名残りがあるエリア。
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が、そこを離れるとショップがならび完全に現代化している。
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始発駅であり終着駅であるので、線路には車止めがある。
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横の出入り口は落書きが目立つ。
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駅の斜め向かいのビルは古いながらモダンな造り。が、上階など使用していないエリアもありそう。
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時間より少し前にドライバーがやって来た。Cちゃんが探して予約してくれたブルガリアのタクシーで、ここブカレストから国境を越えてブルガリアはルセに入り、ホテルにチェック・インした後にイヴァノヴォまで往復してもらうことになっていた。ドライバー君はハ〇ー・ポッターと同名で小太り、30代くらいと思われた。
1.5kmほど進んだところでドライバー君が車窓を見やりながら、国民の館だよと紹介してくれた。
【国民の館; 故チャウシェスク大統領が造らせた宮殿。地上10階・地下4階の建物はアメリカの国防総省(ペンタゴン)に次ぐ規模で、3,100以上の部屋数を誇る。ユニオン・ホールは天井・壁・窓枠に至るまで純金の装飾をほどこす。共産主義政権の崩壊後は各政党のオフィスとなり、国際会議やコンサートにも使用されている】
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ブルガリアとの国境へは50kmほど。その道すがら、私たちの目を釘付けにしたのは車窓に広がるヒマワリ畑
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1時間あまりで国境の町ジョルジュに到着。何より驚いたのは、国境越えを待つトラックの列。が、一般車両はスルスルと通してもらえるらしく、見た感じ6㎞ほど続く壁のような車列を通り越していく。
目を白黒させている私たちに、ドライバー君が「以前にトラック運転手をしていてブルガリアとルーマニアを往復していたけど、本当に過酷だったよ。待ち時間が長くて、トイレにも行けないんだ」、ボソリとつぶやいた。だよね・・・書類審査とかで果てしなく待たされそうだなぁ
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国境となっているドナウ川に架かる橋を渡って進む。欄干に垣間見えているのがそれ。中欧を訪れたことがなく空白地帯となっている自分にとって、初めて目の当たりにするのだった。
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車内から。
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橋を渡り終える直前に、ルセ側からパシャリ
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1952、1954と刻まれたブルガリアのゲートが迎えてくれる。左右で建立年代に差があるのか・・・
ブルガリアの国旗がたなびいている。
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遠目にゲートを望む。
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橋から2㎞ほどのホテルに着いたのは11時半前。ジョルジュから20分弱、近いなぁ。
チェック・インして部屋に荷物を置きに行く等で、ドライバー君にはホテル前で30分間待ってもらっていた。勿論その間、待機代がかさむのだけども(30分で20レヴァ≒1,682円)。
正午にホテルを出発。まずはブルガリアの通貨を入手するため、両替所へ。ガイドブックに情報はなく、それと分かるような看板が出ているでもなし、自力で見つけるのは骨が折れただろう。ドライバー君に感謝
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イヴァノヴォはルセから南へ20㎞の道のり。とある所で左折すると、どんどん森の中に入っていき周囲は鬱蒼としている。世界遺産だから観光の便宜をはかって道路が整備されたんだろうけど、よもや教会があるとは思えないような場所だよね。発見した人はすごいなぁ・・・
【イヴァノヴォの岩窟教会群; 13世紀前半、第2次ブルガリア帝国の皇帝イヴァン・アセン2世の師であるヨアキムによって基礎が築かれた。当時の首都タルノヴォから招かれた画家たちが描いた13~14世紀のフレスコ画は当時の主流であったビザンツ美術とは一線を画し、中世ブルガリアのキリスト教美術の傑作とされる。一帯は300以上の施設を擁する一大宗教センターとして繁栄したが、14世紀のオスマン帝国による侵攻後 しだいに荒廃し放棄された】
40分ほどで岩窟教会の真下に到着。これまた整備された石段をのぼって行く。
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聖母教会の入口に到着。画像右の岩の割れ目がそれである。
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岩窟に入ってすぐの右手は一段低くなっていた。明らかに壁を補修している。
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いったん下りて見上げると、こんな感じ。
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ここからがメインのパートである。故意にか自然にか剥落している部分があるものの、天井や壁のフレスコ画が外から射し込む光に照らし出されている。
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イエスの生涯が所狭しと描かれている。
肝心な部分が割れてしまっているが、上段はヨルダン川で洗礼を受けるイエス、下段は聖母マリアへの受胎告知と思われる。
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弟子の足を洗うイエス(画像左端中央)。
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最後の晩餐(画像左端がイエス)。
1つ上下に載せた絵もそうなんだけど、手前の人物たちよりも背景に目が留まる作風なんだよなぁ・・・そう思うのは私だけ
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ユダの裏切りにより、イエスが逮捕される場面(画像中央の後光がさす人物がイエス、その右がユダ)。
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イエスの変容【新約聖書(マタイ、マルコ、ルカによる3つの福音書)に記載されている出来事。十字架で処刑される前に、イエスは3人の弟子(ペテロ、ヤコブ、ヨハネ)を連れて山に登った。するとイエスの顔が太陽のように輝き、衣は光のように白くなり、預言者のモーセとエリヤが現れてイエスと語らった。また、天上から神の声が下った。曰く、「これは私の愛する子、私の心にかなう者。これに聞け」と。弟子がイエスの神性を理解する契機となったエピソードとされる】。
楕円形の光背の中に描かれているのがイエス、その左右がエリヤとモーセ、恐れのあまり転び伏した姿で下部に表されているのが弟子たち。
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この教会にはバルコニーがある(下の画像、中央奥)。
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バルコニーから周囲を望む。高所恐怖症気味の自分、足元がスース―するのを感じつつ
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教会を後にして のぼってきたのとは別の道をしばらく進むと、展望所に出た。
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先ほどまでいた聖母教会を見晴らすことができる(画像左端中央、丸で囲んだ部分がそれ)。
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付近で見かけた植物たち。
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結局 小1時間で駐車している場所まで戻り、傍の売店をのぞいた。ハガキを期待していたが、シーズンオフにつき売り切れとのことだった。欧州旅行のハイシーズンはざっくり夏だと思っていたが、7月ということか? 8月下旬はもはやノーカウントなのか・・・ともあれ、残念
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14時半前、ホテルに送り届けてもらってドライバー君とはお別れ。
隙間時間を活用し、部屋で洗濯にいそしむ。今回の旅は基本的に1泊で各地を転々とするため、時間が空いたタイミングで洗って干すしかないのだった。
とはいえ、翌日には発つので洗濯で終わるわけにはいかない。16時過ぎ、ルセの街歩きに出かける。
町の中心スヴォボダ広場へ続く通り。カフェのテラスは人でギッシリ。
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ペロリと出た舌が可愛い猫。美味しいものでも食べた後のなのかな
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自転車少年たちがたむろしていた。
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聖トロイツァ大聖堂に到着【17世紀前半築、ルセで最も古い建造物のひとつ】。
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入口の上には三位一体(神・神の子イエス・精霊)の絵が掲げられている。
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教会は地下にあり、階段を降りていくスタイルになっていた【建立時はイスラム教のオスマン帝国支配下だったため高さ制限があり、このような構造になったらしい】。
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階段の途中、踊り場で見上げる。自分が降りたのもあり、尖塔部分がかなり高く感じられた。3枚上の画像中央の白いのがそれ。
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階段を降りて来し方を振り返ると、遠くの天使と目が合った
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教会の内部。
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何ともいえない風情の聖母子のイコン。
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創建以降 何度も修復の手が入っているのだろうけど、レンガがむき出しになっている部分が古いと思われる。
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別の角度からもパシャリ
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教会を出て、神殿へ向かう【19世紀、オスマン帝国による支配に抵抗した英雄ステファン・カラジャを祀る廟。各地で転戦したものの、敗れてここルセで処刑された】。
周囲には人がおらず、閉まっているのかな~と思いつつ近づく。扉の手前3mくらいにさしかかった時、ガチャリと開錠する音がして中から出てきた人に無言で一瞥された私たち。彼の表情から、遊び半分で観光できるスポットじゃあないと察してクルリと踵を返した。
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神殿の前から伸びるペトコフ通りを歩き、ふたたびスヴォボダ広場方面へ進む。目抜き通りの両側にはショップが建ち並んでいた。角に立つアイスクリーム屋さん。
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撮ろうと近づいても、微動だにしない犬。中に愛しい人か犬がいるのかな
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広場にて、この外枠にビックリ。後にドナウ川沿いでも見かけたので、ルセの観光課が設置しているのだろうか。そんな部署があるのか知らんけど
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銅像にズームアップ。左に剣を携え勇ましい立ち姿は軍神のように見えるなと思った。が、この記事を書くにあたり調べたら自由の女神だった、トホホ
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【そもそも、広場名のスヴォボダ =自由の意。一説によると、像の右手はロシアの方角に伸ばしているという。露土戦争(1877~1878年)でロシアが勝利したことにより、ブルガリアがオスマン帝国から自治権を得たことを象徴しているらしい】
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噴水を前に語らうおばちゃま達。
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ホテルを出る前にCちゃんと相談して、夕食はドナウ川沿いのレストランにしようと決めていた。広場を背に、北上する。
その途中に見かけた民家の前で立ち止まる。前庭にブドウの木が生い茂っているのだった。
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なんて素敵なの
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ドナウ川に出た。対岸はルーマニアである。
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川沿いに遊歩道が整備されていて、旅行者の観光や住民の散歩に格好の場を提供しているようだった。
またまたアイスクリーム屋を発見。シロクマのオブジェはテンプレートなのかなぁ・・・
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列車も走っている。
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何がしかの果物と思われる実をつける木もあり。
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予約なしで飛び込んだので、川に臨む席には座らせてもらえなかった
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なお、画像右手前の席には後ほど団体客が座った。
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ちなみに、テラスの外に出るとこんな感じ。
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前菜は羊飼いのサラダ。トマトにキュウリ、玉ねぎ、黒オリーブ、チーズ・・・トルコでも同名のサラダがあったな。かつて領地だった名残りかも。
(自分がトルコを訪れたのは二十数年前。記憶があやふやだったので今回調べてみたところ、トルコのには基本的にチーズがかかっていないようだ。乳製品を用いるのがブルガリア流アレンジなのだろう)
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メインは鯉のフライにした。ドナウ川で釣られたという。
初めて口にするコイの骨の多さに驚く。川魚ゆえドジョウ並みに癖がある味と思いきや、そうでもなく。
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メインに合わせて、ワインは白をチョイス。リストには何種類も載っていたが、懐具合の問題もあるので値段をにらみ、無難にシャルドネにした。
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お腹に余裕があったので、ポテトフライを追加オーダー。フェタチーズがこれでもかと乗っかっている。
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日暮れに目ざとく気づき、席を立ってテラスに出る。行儀悪いかも・・・でも、人生初のドナウ川夕景だもんね。←しつこくてスミマセン
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21時少し前に去ったレストランの遠景。
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ホテルに戻り、Cちゃんと交互にシャワーを浴びた後に晩酌。
珍しく贅沢して、部屋の冷蔵庫に備え付けのビール(ザゴルカ)を飲む。細かなイラストが印象的な缶だった。
【ザゴルカ; 1902年、ブルガリア中部の都市スタラ・ザゴラで創業。カメニツァ、シューメンスコと並んでこの国の3大シェアに名を連ねる】
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★ 中締め ★
一瞬で通り過ぎてしまったルーマニア。実は、ブルガリアを思うよりも更に何年も前から訪れてみたいと思っていた国のひとつである。
エアポート・トレインの運賃とビール代はカードで支払い、ルーマニアの通貨さえ手にすることがなかった今回。いつか行きたいと思いは募る・・・
さて、次回はスヴェシュタリにあるトラキア人の墳墓に足を運んだ後、東へ進み黒海沿岸の都市をまわります。お楽しみに
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