郷土食研究会 うまかっぺ!茨城 

茨城の郷土食に関するあれこれ。また、そこから、「食」だけではない、た~~~くさんの、よもやま話などなど・・・

がりがりなます(霞ヶ浦のわかさぎを使って)

2021-01-03 15:27:53 | グルメ

2021年、新年あけましておめでとうございます。

昨年2020年は新型コロナで大変な年になりました。引き続き先が見えない状況ですが、とにかく感染予防を徹底して、頑張りましょう

当ブログ、ゆっくりですが更新を続けていく所存です。

よろしくお願い申し上げます

 

さて、お正月ですので、正月料理ということで「がりがりなます」です。

霞ヶ浦沿岸、茨城県南から鹿行地域の郷土食です。

 

「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(発行:社団法人農山漁村文化協会)によると、

南部水田地帯の食として、がりがりなますは、正月になくてはならない料理である

とのこと。そして

大根を目の粗い『がりがりおろし』でおろして、焼いた小ぶなの身を入れ、であえる」とのことで、材料は大根、焼いた小鮒、酢が基本のよう。

「こぶなのかわりにわかさぎを用いることもあるが、小ぶなのほうがおいしい」

とのことです。

 

また以前、当研究会で郷土食アンケートをした時に、神栖にお住まいのNさんからも「がりがりなます」を教えて頂きました

Nさんによりますと、「がりがりなますは、冠婚葬祭に出される」とのこと。

材料は、「だいこん、にんじん、フナ(酢漬け)」で、「フナはタコなどで代用」し、

「だいこんとにんじんは、鬼おろしでおろし、フナの酢漬けを加え、合わせ酢(酢、砂糖、塩)と混ぜ合わせる」

とのことでした。大根の他に人参も入れるのですね。

 

上記の本にある「がりがりおろし」は「鬼おろし」のことのようですね。

すみつかれを作る際に大根をおろすのも、鬼おろしが必須ですので、茨城では鬼おろしは必須アイテムです(^^)

写真は我が家の鬼おろし。鬼おろしは竹製です。

 

伝統的には鮒(ふな)を使うようです。

冬のこの時期の鮒(寒鮒)は非常に美味しいものと聞きますが、残念ながら、私の住むつくばでは、なかなか手に入りません

 

使う魚については、別の文献「食彩百景 いばらきの味 郷土料理献立集」(発行:茨城県衛生部成人病対策課)では、「酢漬けの魚」」となっています(こちらのレシピでは味噌も少々使用)。

 

更に別の文献「いばらきのおかず 郷土の食材と料理」(協力:茨城県食生活改善推進団体連絡協議会、発行:開港舎)では、鹿嶋市の協議会のレシピとしてタコを使っています(こちらのレシピでも人参が入ります)。

神栖のNさんも「タコでも代用」とのことでしたので、手に入りやすいタコもよく使われるようですね

 

今回、私は、「聞き書 茨城の食事」にある「わかさぎでも作る」ということと、わかさぎはつくばでも手に入りやすいということから、「わかさぎ(煮干し)」を使って作ってみました。

また彩りと栄養も加わるので、人参も入れてみました。

※霞ヶ浦の「わかさぎの煮干し」は、煮干しと言っても柔らかい塩ゆでされたわかさぎです。

 

  • 煮干しのわかさぎを、味醂と酢を合わせたものに漬けておきます。

煮干しなので既に塩味が強めについていますので、基本的に塩を加えませんでした。もし味見して足りなければ少しだけ塩を加える程度で良いと思います。

 

  • 大根と人参を、「鬼おろし」(これが絶対のキ-ポイント)でおろし、①を和えて出来上がり。

 

さっぱりして、滋味豊かで、美味しいです

「正月に欠かせない」とのことですが、おせち料理で疲れた胃にはとても優しいですし、優しいだけでなく旨味のあるなますです。

「わかさぎより小ぶなの方が美味しい」とのことですが、わかさぎでも大変美味しい

…そうすると、小ぶなを使うとどれだけ美味しいのでしょう 小ブナ(それも寒ブナ)が手には入ったら作ってみたいと思っています。

 

おまけ。

人参を入れたバージョンと入れないバージョンの比較。

赤い人参が入るとやはり鮮やかですね

 

 

 

(市川)

 


煮うなぎ (うなぎの大和煮・うなぎの佃煮)

2020-08-09 20:32:31 | グルメ

「うなぎ」といえば、やはり「蒲焼き」が一般的。

その「うなぎの蒲焼き」も関西と関東では、調理の方法が少し違うそうで。

 

ところが、霞ヶ浦沿岸地域では、伝統的に、うなぎは「煮うなぎ」、煮て食べる方法が一般的だったと、聞いたことがあります。

 

「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(文献1)では、

うなぎ料理は、県央地区と鹿島灘沿岸地区の調理方法が簡単に紹介されています。

・県央(涸沼沿岸か)では、「いろりで焼いてから、醤油で煮る

・鹿島灘沿岸では、「強い遠火で素焼きにし、身をほぐして、砂糖・醤油で煮る

 

どちらも、

① 焼いてから、

② 醤油(と砂糖)で煮る

のが、伝統的な食べ方で、やはりごちそうだったようです。

(文献1では「うなぎはいったん焼いた方が美味しい」と耳より情報も)

 

さて別の文献「食彩百景 いばらきの味―郷土料理献立集」(文献2)では、

出島村(現在のかすみがうら市出島地区)の食生活改善推進協議会が、「うなぎの帆引き煮」というレシピを紹介しています。

こちらのレシピでは、焼かずに醤油・砂糖・酒で作ったタレで煮ます

 ※こちらの詳細なレシピは、農林水産省公式ホームページの中の「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」で紹介されています(参考サイト1)

 

どちらにしても、全国一般的な「うなぎの蒲焼き」(関東風は蒸してから焼く、関西風は蒸さずに焼く)とは違う調理法ですね。

 

実際、「うなぎの大和煮」「うなぎの佃煮」が、霞ヶ浦周辺エリアの名物になっていますし、例えば、石岡市のふるさと納税の返礼品の中に「うなぎの大和煮」もあるのです(2020年現在)。

 

写真は、土浦市の常磐商店さんの「うなぎのやまと煮」

歯ごたえがあって、噛むと、蒲焼きとはまた違う味わいのうなぎの旨味が、甘辛味とともに口に広がります

ご飯にも日本酒にも合います

 

同じ「うなぎの大和煮」「うなぎの佃煮」も、地域やお店で少しずつ違うかもしれませんね。

食べ比べも楽しそうです

 

●参考文献

1.「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」 農文協

2.「食彩百景 いばらきの味―郷土料理献立集」 茨城県衛生部成人病対策課 編集・発行

●参考サイト

1,農林水産省 「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」    茨城 うなぎの帆引き煮

    ※ レシピは文献2が引用されています。

 

(市川)


茨城はこの”そば”が!秋~冬の「けんちんそば」そば編♪ その2 

2019-12-27 06:34:25 | グルメ

2019年・令和元年も、いよいよ年の瀬。あと数日で大晦日。


大晦日といえば、年越し蕎麦ですね。


ということで、先に江田さんが書いてくれた、つくば市の土浦野田線沿いにある日東農場さんの「けんちんそば」の話の続きです(^^)。


江田さんが既に詳細に書いてくださっているので、特に私から加えることはないのですが、やはり、こちらのお店の「けんちんそば」の特色は、


1.味噌味ベース


2.こんにゃく


かなと思います。



 


江田さんと一緒に食べに行ってますので、写真は前回の記事と同じです。


 


私は「けんちんそば」には詳しくはありませんが、醤油仕立てのお汁が多いと思います。今までいくつかのお店で食べたものがそうだったので。


ところが、こちらは味噌仕立てのお汁


味噌味も美味しいですね!


 


そして、市川が一番気になっている、そして気に入ったのが、こんにゃく



 


食べてみると分かるのですが、これ、


凍みこんにゃく


だと思います!


茨城県北が誇る、伝統食材の「凍みこんにゃく」


生産者さんが激減して、今や希少な食材。それが使われいる


ただこんにゃくを冷凍して解凍しただけでは、この歯ごたえと風味は出ません。


(自分で試したことあります


 


独特の歯ごたえ、そして、凝縮された「こんにゃくの旨味」


味のないこんにゃくにも、ほのかに旨味が感じられるのが、この「凍みこんにゃく」だと感じます。 


 


こちらのお店の、「けんちんそば」は、伝統商材「凍みこんにゃく」も使っている、


堂々の


茨城のそば


だと思いました!


 


【追記】


先の記事は、11月上旬の時のものです。その後、12月下旬に再訪して食べた時は、具にはキノコ類はなく、ゴボウ、大根、人参の根菜類と里芋がたっぷりでした。


多分、季節によって具も変わるようですね


 


ただ、こんにゃくは残念なことに普通のこんにゃくでした


凍みこんにゃくが在庫切れか、はたまた味の分からない客が『こんにゃくが変だ』と言ったのか(違うと信じたい)。


貴重な食材なので、なかなか難しいかとは思いますが、凍みこんにゃくの復活を祈ります


 


(市川)


茨城はこの”そば”が!秋~冬の「けんちんそば」そば編♪  

2019-12-16 00:02:17 | グルメ

皆様、こんにちは♪

久しぶりの江田の投稿です♪ いつもパートナーの市川さんに”おんぶにだっこ”(この表現ふるっ??)で、このブログが成立しております(心から感謝です<(_ _)>)が、今回は江田が♪

ただし、ご紹介するお店にはご一緒に伺いました。

寒くなってくると温かい汁物が欲しくなりますが・・・

嬉しい事に茨城の土料理に「けんちん汁」があります

そこで、蕎麦の季節にもなったしと、パートナーの市川さんと「けんちんそば」を食べに行く事にしました

それはもう、うきうきで・常陸秋そばのお店、日東農場さんに行きました。お店に入ると学食みたいにお盆をもってカウンターを進んでいきながら、注文をしていく作りで、左右2レーンあり、左がわがそば、うどん。右のレーンは中華料理となっていました。

 

けんちん汁の始まりは、中国の普茶料理(ふちゃりょうり)の巻繊(けんちん)が起源とされていて、巻繊(けんちん)とは、根菜類(大根、人参、ごぼう)や豆腐などを油で炒めて、湯葉などで巻いてあげた料理だったらしい。

メニュー様々ある中、選んだのはもちろん「けんちんそば」ですが、温かいかけそばのけんちんそばと、冷やし麺を温かいけんちんのつけ汁につけて食べる2種があり、両方食べてみたいので、市川さんが冷やしのつけ、江田が温かいかけとしました。

レーンで注文する時、「みそ?しょうゆ?」と聞かれ、「え!!けんちんに、味噌味があるんだ」と内心ちょっと驚き、そちらを注文

呼ばれて取りに行ったのが写真のこの2つ! 待ってました♪

上の画像1枚目が、温かいおそばで、「おいしい!!!」温かい蕎麦はお汁の味がしっかりついて、けんちんのたくさんの具との組み合わせが、バランスが良く・・・

そして2枚目は冷たいおそばです。これはつけて頂くわけですが、こちらは、おそばそのものの香りや美味しさが、全面にでてきます。蕎麦好きにはたまりません

なお具材はどちらも同じで、大根、にんじん、きくらげ、ごぼう、ねぎ等を小さく切ったものになります。こんにゃくはかなり、小さく、薄く(写真)・・きのこの香りがとても効いていたのですが、入っていたきのこはなんと、なめこ(写真)でした。一瞬ではなめことわからないくらい大きいのが・・・

             


ということで

あ~美味しかった!ごちそうさまでした

是非、茨城ならではのけんちんそば♪ 皆様も(^^♪


(文:江田)






 

    

 





 

 

 

 


昔話と地元食材のコラボ「女化巻」

2019-10-24 18:45:06 | グルメ

「女化巻」と名付けられた太巻きを見つけ、購入しました。

 

牛久の女化(おなばけ)神社に伝わる伝説をモチーフにした太巻きで、包み紙には

「こだわりのお米、豆富屋の油揚げ、地元の野菜、原木のしいたけ、海藻卵を使用し毎朝焼き上げる厚焼き玉子焼きを使った太巻き寿しです」

と書かれています。

これは、めっちゃ食欲をそそります

 

包み紙の裏には、女化神社に伝わる伝説「女化物語」のあらすじが書かれています。(影が映り込んだ写真でごめんなさい

地元に伝わる伝説と、地元のこだわりの食材で作った太巻き(和食)、素晴らしいアイディアですよね

 

 

大きな卵焼きとキュウリと椎茸の煮物を、味付けした油揚げで巻いて、更に酢飯で巻いた太巻き。

いよいよ実食

美味しい!

キュウリの爽やかな風味と歯ごたえとともに、卵焼きと椎茸と油揚げのうま味が口の中いっぱいに広がります。

そして酢飯の旨さ! さすがお米農家の自慢のお米。

キュウリは「かっぱ巻き」で、牛久の河童もモチーフにしていると思われます。包み紙にも狐と一緒に太巻きを担ぐ河童の絵が描かれてますから

ある意味、隠れキャラとしての「牛久の河童」ですね! これまた憎いね

 

 

こちらの太巻き、地元農産物販売所「みずほの村市場 」牛久店と、龍ケ崎市で無農薬栽培にこだわる米農家さんご夫妻のコラボで生まれた商品とのこと。

女化神社に伝わる 温かくも切ない伝説を思い浮かべながら、そして牛久の河童伝説にニヤリとしながら、食材王国茨城の味を堪能できる逸品だと思いました

このような商品がもっと生まれると良いなぁと思います

(市川)