2023年、今年もよろしくお願いいたします
さて当ブログ、茨城だけでなく、近隣県の郷土食や、国内の郷土食にも触れながら、
茨城の郷土食をあらためて考えられたら・・・と考えております。
ということで、今回は、
埼玉県東部エリアの郷土菓子「塩あんびん」
についてです。
全く甘くなくて塩味とのことで、以前から大変興味がありました。
文献1によると、昔、砂糖が貴重だったころ、塩で味付けしていたものが
今に伝わっているとのこと。
砂糖が貴重だったのは全国的にそうだったと思われますが、
今でも塩味を伝えているというのが貴重だと思います。
他の土地では、どうして塩味の大福は残らず、砂糖味が多数派をしめたのか?実は甘い小豆餡が苦手な私としてはとても不思議。
そういうわけで、以前から気になっていた「塩あんびん」、
先日久喜方面に行く機会があり、道の駅で販売されているのを見つけて購入しました!
「塩味」といってもどの程度でしょう?
例えば、生地に塩味のお豆(大豆など)がちょっと混ざっていて、小豆餡は普通に甘い大福は
よく見かけますね。
ところが、この『塩あんびん』、見かけは普通の大福ですが、ばっちり塩味。
少しも甘い部分はありません。
生地も特に甘い味付けはされていません。
一般的な認識の「大福」のつもりで食べると、びっくりするかもしれません。
でも、全くの塩味の小豆餡も大変美味しい。
(個人的には、塩味の小豆餡の方が好きなくらいです)
先にも書きましたが、昔、砂糖が貴重だった時に塩を使って作ったのが始まりとのことで、
昔は砂糖が貴重だったのは全国どこも一緒なわけです。
でも、どうして塩味の小豆餡は、今は一般的でないのでしょう?
塩味の小豆餡、美味しいのに、一般的出ないのが不思議。
逆に、豆を砂糖で甘して味付けする料理は、世界的には珍しいようで、
外国の方は、日本で一般的な豆を甘く煮る料理が、苦手な人も多いと聞きます。
とすると、この塩あんびん、豆を塩味で調理する文化の外国の人には、より受ける和菓子ではないでしょうか♪
ところで『あんびん』というのは、多分『餡餅』と漢字で書くのかと思います。
中国語読みから『あんびん』と呼ばれてきたのかなと推察しています。
『餅』を『びん』と読むところから思い出されるのが、坂東市の夏の郷土菓子『みょうがまんじゅう』別名『やきびん』。
このブログでも紹介した
坂東市の夏の郷土菓子『みょうがまんじゅう』別名『やきびん』です。
どちらも『餅』を『びん』と呼んできたところに、中国からのお菓子の流れがあるのでは?
と勝手に思っています。
例えば、古くに伝わった仏教のお菓子(仏さまにお供えするお菓子)などが、時代を経て姿を変えて、
庶民に伝わっきたのが、『塩あんぴん』だったり『やきびん』だったりするのでは??
…と想像をたくましくしてしまいます。
中国大陸や台湾に近く、古くから交流がある九州など、郷土料理もお菓子も大陸の影響があるのは分かるのですが、
ちょっと離れたここ関東地方にも、もしかすると細く長く伝わった、忘れられた人々の交流があったのかも
しれないなぁと、ロマンを感じています。
真相はいかに
【参考文献】
1.『別冊うたかま 伝え継ぐ日本の家庭料理 米のおやつともち』 (一社)日本調理科学会 企画・編集 (一社)農山漁村文化協会 発行
【参考サイト】
農林水産省 うちの郷土料理 埼玉県 塩あんびん(しおあんびん)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_5_saitama.html
(市川)