三木羅風 修道院雑筆(大正14年)より 抜粋 (国会図書館デジタルより、著作権終了)
聖小さきテレジアの詩
今日の歌
わが命は、過ぎ去る一刻である。
わが命は、逃げ去る一瞬である。
主よ! この地上に生きながらえて
主を愛し奉るには、
今日一日のみ
ああイエズス! 主を愛し、主を熱望す。
我がために、甘味なる救い主として、
今日わが心にあまくだり、
その微笑みを与えよ、
今日一日の為、
主よ!「明日」は暗く閉ざさるるもよし、
「明日」の為に祈ることは出来まじ、
主よ! 御手を以って我を覆い、
我が心を清浄に保たしめよ。
今日一日の為。
「明日」を思わば、我が心変わり易き事を感じ、
我が心に憂い悶えの生ずるのを恐る。
されど主よ! 我は甘んじ喜びて、
誘惑と苦難とを迎えん、
今日一日の為。
やがて、永遠の岸に於いて主に見えん、
我が水先案内者なるイエズス!
荒波に漂う、我が小さき船を、
平和の中に導けよ、
今日一日の為。
主よ! 我を主の面影の中に隠せ、
そこには、世の空しき騒ぎ聞こえず。
主よ! 我にその愛を与え、
絶えず聖寵に満たさしめよ、
今日一日の為。
主の聖心に近づき、世の儚きを忘れし我は、
最早敵の攻撃をも恐れず。
ああイエズス! 主の聖心の中に、
我が席を与えよ、
今日一日の為。
生ける天のパンなる聖体!
聖体の中に在す主よ!
我が心にあまくだり、宿り給え、
白き「ホスチア」なるイエズス!
今日一日の為。
葡萄樹に譬えられしイエズス!
我を主に一致せしめよ。
さらば、わが弱き枝に実り
紫色の一房を献ぐるを得ん、
今日一日の為。
この愛の一粒は、人々の霊魂である、
我はこの霊魂を救う為には、
ただ今日のみ有っている、
ああ主よ! 使徒の愛熱を我に与えよ、
今日一日の為。
原罪なくして孕りし聖母よ!
主の光を複写し、我をして、
主に一致させる、柔らかなる星よ!
御身の被布の中に我を隠せ、
今日一日の為。
守護の天使よ! 汝の翼にて我を覆え、
我が親しき友なる天使よ!
汝の輝く光を以って我が道を照らし、
我が足を導き、我が身を助けよ、
今日一日の為。
我は雲なく覆いなくして、
主を仰がんと望む。
主は下界に於いて我が側に在し、
その愛すべき御顔を隠さるは、
今日一日の為。
やがて暮れなき日が近づき、
我が霊魂の上に輝きし時、
我は主を讃美するが為に飛び、
天使の七弦琴を以って歌わん、
永遠なる今日を……。
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