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小さき花-第3章~1

2021-09-05 07:23:23 | 小さき花
 小さき花-第3章~1
 
 姉レオニアが学校の寄宿舎を出た時、私は8歳6か月でしたから、すぐに代わってリジューのベネディクト会の修道女院に入りました。同じクラスの生徒はみな私よりも身体が大きく、そのうち14歳になる一人の生徒は、知恵が鈍いにも関わらず、いつも他の生徒の頭領となって腕白を極めていました。私はいたって幼く、また試験の成績がいつも一番で、先生(童貞)達にも可愛がられていましたので、絶えず彼女たちにねたまれ、いろいろな方法で苦しめ困らされていました。
 私は内気な性格の上に、身体も弱いほうでしたから、抵抗する事も、言い訳する事も出来ずに、ひそかに泣いていました。その憂いを、セリナや姉達にも告げませんでした。このような些細な事を耐えるのに充分の善徳を持っていませんでしたから、私の心は大いに苦しんでいたのです。
 
 幸いにも、私は毎晩家に帰っていました。その時萎れた霊魂が咲いたように愉快になり、すぐ父の膝の上に躍り上がって、その日の成績を告げますと、父は私を抱いてくださるので、その時は一日中の不愉快を忘れてしまいます。私は一番初めの試験の成績を父に告げたその時の喜びはいかほどでありましたでしょう? 満点を得たので褒美として綺麗な小さい白い銀貨を貰いましたので、私はこれを貧しい人に施そうと、自分の貯金箱に入れました。この貯金箱には褒美として貰った銀貨が、大抵木曜日ごとに1枚ずつ入っています。実際、その頃の私に対して、良い勧め励みを与えるには、褒美を応用することが必要でした……。この『小さき花』は、他に滋養分を取るところがありませんでしたから、柔らかな根を家庭の温かい選り抜きの地に度々浸み込む必要がありました。


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