放っておいても起こるのは悪いことばかりである。
いいことは計画しなくてはならない。
正確にいうと、いいことは意思決定しなくてはならない。
ドラッカーの意思決定とは計画して実行してフィードバックすることまでをいう。
現実的には、計画して実行して成功や失敗の中から原因を探求して次にチャレンジする。
組織が大きくなってくると計画する人と実行する人が分かれてくる。
ここで大切になることが、計画は仕事の論理に基づいて行い、実行は労働の力学を考慮して行うということである。
組織が大きくなるとその傾向はどんどん強くなり、大組織病に罹患する。
大組織病とは、仕事の論理と労働の力学のバランスが崩れた状態をいう。
マネジメントを機能させるにはバランスを取らねばならない。
トップ層が仕事の論理で進めるのに対して、現場は労働の力学を考慮して実行する。
間の中間管理層はバランスをとるために苦戦する。
上には仕事の論理で対応せざるを得ない。
下には仕事の論理に加えて、労働の力学を考慮して対応せざるを得ない。
仕事の論理においては、誰でもが概ね意識合わせをすることはできる。
しかし、労働の力学においては、ケースバイケースであり、現実が理解できなければならない。
マネジメントを機能させるためには、仕事の論理を活用しなければならない。
今、大組織の中間管理層は仕事の論理と労働の力学の間で多大なストレスを抱えている。
この課題は現場に期待するのは難しい。
トップ層がマネジメントを学びマネジメントを機能させる必要がある。
しかし、トップの地位についた方法を身に着けている人間がその方法を捨ててまでマネジメントを学ぶことは容易ではない。
組織がJALのように存続の危機が起こらない限り今までの方法を変えることは不可能に近い。
マネジメントを10年以上学び、マネジメントは学ぶよりも機能させることが大切だと気付いた。
2年近くマネジメントを機能させることばかり考えた結論として「一緒にやれば、もっとできる!」に行き着いた。
どんなに嫌いな上司と、どんなに合わない部下とどうやったら「一緒にやることができるか?」それを考え続ける。
どんなに嫌な思いをしてもどんなに苦労しても、一人よりも二人以上の方が必ず成果があがるという確信をもって行動することである。
ドラッカーは先進国と発展途上国の違いは、マネジメントの違いであると言った。
人類の歴史はマネジメントを機能させた歴史である。
人類の歴史はマネジメントを理解していなくても、マネジメントを機能させた人物によって創られた。
彼らは自分の夢を果たすためにマネジメントを機能させた。
自分の夢を果たすために、多くの犠牲を払った。
その犠牲とは、夢を実現するために必要と思われるあらゆる人達と一緒にやるために成したことである。