白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

10月の情報会員解説

2019年10月29日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
本日は横浜の宇宙棋院にてイベントを行いました。
お越しくださった皆様、ありがとうございました。
来月は通常通り第4火曜日に行います。



皆様こんばんは。
もうすぐ今月が終わってしまいますが、本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
具体的な解説内容については、↓の過去記事を参考にしてください。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は
棋聖戦
Bリーグ 寺山怜五段-王銘エン九段
十段戦最終予選決勝 首藤瞬七段-坂井秀至八段
の2局を解説しました。
対局の模様を、軽くご紹介していきましょう。

 

1図(寺山-王1)
寺山五段の黒番です。
中継でこの手を見た瞬間、即採用を決めました(笑)。



2図(寺山-王2)
この手も実に良いですね。
見ているだけで楽しくなってきます。



3図(寺山-王3)
白△のハサミツケ!
THE・手筋といった感じですね。



4図(寺山-王4)
このツケも格好良いですね。
昨日の日記でも、同じ系統の手筋をご紹介しました。

本局は派手な布石でスタートしましたが、最後は細かい碁になりました。
前回も申し上げた通り、細かい碁は苦手なのですが、何度後悔してもつい採用してしまいます(笑)。



5図(首藤-坂井1)
首藤七段の黒番です。
白△とノゾキを打ちました。
俗に、ノゾキにつがぬ何とやらと言いますね。



6図(首藤-坂井2)
・・・あれっ?



7図(首藤-坂井3)
ノゾキにつがぬ・・・。



8図(首藤-坂井4)
・・・。
本当、プロはわからずやですね(笑)。

本局、途中で敗勢になった坂井八段の必死の頑張りに感銘を受けました。
坂井八段は既に長期休場を決意しており、本局は消化試合のようなものでしたが、それでも全力を尽くすのが勝負の世界の掟なのですね。


来月は第4回夢百合杯本戦から、
一力遼八段-丁浩六段
李軒豪七段-仲邑菫初段
の2局を解説します。

ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター
・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は10月11日(金)、11月15日(金)、12月13日(金)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!


9月の情報会員解説

2019年09月07日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
台風15号が来ているようですね。
安いアパートに住んでいるので、強風時は結構凄い音がします。
耳栓を買った方が良いでしょうか。


 
皆様こんばんは。
本日は久しぶりに日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
なお、今回からはどんな対局だったかをざっとご紹介していく形になります。
具体的な解説内容については、↓の過去記事を参考にしてください。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は、
国手山脈杯 山下敬吾九段(41)-朴廷桓九段(26)
十段戦予選 上野梨紗初段(13)-風間隼三段(28)
の2局を解説しました。
それではご紹介していきましょう。

1図(山下-朴戦1)
山下九段の黒番です。
いかにも山下九段らしい、勢いの良い攻め方ですね。

しかし、山下九段の碁の本質は、攻め重視というより力碁なのでしょう。
攻める時も全力ですが、攻められても全力で迎え撃ちます。
他の人との比較で言えば、むしろ後者の展開の方が山下九段らしさが出ていると思います。



2図(山下-朴戦2)
例えば、白△と仕掛けられた場面で・・・。



3図(山下-朴戦3)
猛烈なパンチを打ち返していきました。
捌きでも凌ぎでもなく、逆に相手を打ち倒そうとしているかのようです。



4図(山下-朴戦4)
その後、白が中央一帯の黒を狙ってきた場面ですが・・・。



5図(山下-朴戦5)
ここも目一杯に戦いました。
1目も損をせずに凌いでいます。
なんと言っても、この接近戦の強さが山下九段の魅力でしょう。
本局は山下九段らしさがよく現れた1局だったと思います。



6図(上野梨紗-風間隼戦6)
こちらの2人も好対照でした。
どんどん行く上野初段に対し、風間三段は隙を作らずじっくりと打ち進めていきました。
この手堅い白△なども、風間三段らしい手ではないでしょうか。



7図(上野梨紗-風間隼戦7)
白1に対して、黒2、4とは積極的ですね。
山下九段とは大分タイプが違いますが、上野初段も戦う碁です。



8図(上野梨紗-風間隼戦8)
本図は戦略的な進行でした。
お互いに相手の裏をかこうとしています。
両対局者がどんなことを考えて打っていたのかについては、解説で詳しく分析しています。



9図(上野梨紗-風間隼戦9)
この白の打ち方は堂々たるものですね。
これ以上無くがっちりとした打ち回しです。
プロが10人いれば10通りの打ち方をしそうな場面でしたが、こういう所で個性が表れます。



10図(上野梨紗-風間隼戦10)
中央黒を脅かされているにもかかわらず、黒△と打って逆に白の薄みを狙いました。
こういう手を躊躇わず打てるところは上野初段らしいですね。

ちなみに、本局は半目勝負になりました。
ここだけの話、半目勝負の解説はなるべく避けたいです(笑)。
普段は素通りできる細かい所も、詳しく検証しなければいけませんからね。
本局の終盤も、寄せの想定図を作って計算して、さらに実戦との比較検討をするということをひたすら繰り返していました。
そういうことばかりやっていると、仕事にならなくなります。

それでも、やはり注目の対局はぜひ皆様にご覧頂きたいのです。
お楽しみ頂ければ幸いです。


ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志七段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター
・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は10月11日(金)、11月15日(金)、12月13日(金)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!


12月の情報会員解説

2018年12月28日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ
<本日の一言>
今年の最多勝などの記録はこのようになりました。
手番別の勝率データも興味深いですね。
棋力が高いほどコミが重くなるということの裏付けになっているかもしれません。
もっとも、断定するにはこれだけでは数が少なすぎるでしょうが・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行います。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回

今月は
第43期棋聖戦Cリーグ、伊田篤史八段-寺山怜五段
第37期女流本因坊戦挑戦手合第1局、藤沢里菜挑戦者-謝依旻女流本因坊
の2局を解説しました。
今回は藤沢-謝戦の解説の一部をご紹介しましょう。

ちなみに、普段は自分で選局しているのですが、藤沢-謝戦は初めて依頼されました。
対局当時はタイミングが悪く、幽玄の間での中継
に解説が付かなかったのです。



1図(テーマ図)
Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。





2図(実戦進行)
このように進みました。
支離滅裂な進行と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
こんな場面も分かりやすく解説しています。





3図(実戦)
黒1「切りが常用の手筋です。」
白4「黒2子は捨て石です。
外側に利き筋を作り、上辺白への攻めに役立てる目的です。
一種のモタレ攻めですね。」
黒5「そして、きついツケを放ちました!
A周辺に利き筋を抱えた白は、動きが不自由になりました。」


黒の利き筋を生かした狙いとはどのようなものでしょうか?
それを参考図を2つ使って解説しています。





4図(参考図)
参考図その1です。

「例えば、このようなことになると黒の技が決まってしまいます。」

典型的ハマリで、上辺白がピンチになります。
つまり白1とは打てません。





5図(参考図)
参考図その2です。

「白1と伸びる手も考えられましたが、黒2から強引に切ってくる手が心配です。
この後は難解ですが、一例として黒16までを示しておきます。
黒Aが残っており、もしこうなれば黒が良いです。」


長手順の図なので画像では見づらくなってしまいますが、ソフトでは一手ずつ進められるのでご安心ください。
白1は成立するかギリギリでしたが、リスクが大きいのでやはり実戦では打ちづらかったということです。





6図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「そこで、黒からの様々な利き筋を消しました。
本手です。」
白3「すぐに黒Aと切ることはできません。」


なぜ切れないのでしょうか?
それは次の参考図で解説しています。





7図(参考図)
「AとBが見合いになり、これは黒が困ります。」

黒1と切った場合の図です。
どちらかの黒が取られてしまいますね。





8図(実戦)
実戦に戻ります。

黒1「そこで、黒は先にこちらを利かしにいきました。」
白2「ハネに受けていると潰れてしまうので、この守りは止むを得ません。」


黒1のハネが利くと何が違うのでしょうか?
それを次の参考図で示しています。





9図(参考図)
「今度は白Aと切ることができません。
これは白潰れです。」


こういうからくりがありました。
ダメ詰まりは恐ろしいですね。





10図(実戦)
黒1「手厚い2子取りです。
白Aの三々入りの味も無くなっていることが大きいです。
ただ、白も全体がつながったので、良い勝負の分かれでしょう。」


結局、難しいことをやっているようでも、必然性のある進行だったということですね。


このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志七段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!

10月の情報会員解説

2018年10月07日 23時55分21秒 | 日本棋院情報会員のススメ
<本日の一言>
現在、関東の大学囲碁部のリーグ戦が行われています。
母校の中大は、3連勝で1部昇格に向けて好スタートを切ったようです。
良い結果が出ることを祈っています。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。

年を取ると、月日の流れが早く感じるようになると言いますね。
前回からずいぶん間が空いたように感じるかもしれませんが、たぶん気のせいでしょう。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回

今月は
第8回マスターズカップ準決勝、王立誠九段-依田紀基九段
第43期棋聖戦Cリーグ、六浦雄太七段-伊田篤史八段
の2局を解説しました。
ここでは王-依田戦の解説の一部をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
Kiin Editor」キャプチャー画面です。
この局面から・・・。





2図(実戦進行)
このように進みました。
意外と感じられる方が多いでしょう。
なぜこうなるのか、分かりやすく解説しています。





3図(実戦)
白1「まずノゾキを利かしました。」
黒2「いわゆる「外側と内側」の交換であり、白の打ち得です。」
白3「それから滑っていきました。」
黒6「右辺は黒石の多い所なので、動き出しても苦しい戦いになります。
そこで、白は小さく捨てる作戦を採りました。」


幽玄の間で解説する際と同様に、まず文章でしっかりと解説することを心がけています。
全ての解説図を見るのはしんどいという方もいらっしゃるでしょうからね。
さて、ここで参考図が入ります。





4図(参考図)
「白1と動き出すのは無理です。
全部取られてしまうかもしれません。」


3図白1で、右辺白を動き出した場合の図です。
これでは白は幸せになれないので、捨てる作戦を採ったわけです。





5図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「その代わり、こちらで戦いを仕掛けました。」
黒2「黒は反撃する一手ですが・・・。」


白1に対して、別の対応を思い浮かべる方も多いでしょう。
それが次の参考図です。





6図(参考図)
「このように中央を止めるのが白の狙いです。
これは黒がつらすぎます。」


中央が真っ白になってしまいますね。
こうなっては黒がいけないので、5図のように反撃する一手というわけです。





7図(実戦)
実戦に戻ります。

白1「要石を助けて、黒の退路を断ちました。」
白3「左方に白の壁が控えているので、ここでなら戦えると判断しています。
戦場選びは非常に大切です。」


4図と比較してみましょう。
お互いの立場が全く違いますね。
プロは難解な手を打つイメージがあるかもしれませんが、こういった考え方は皆様にも真似できます。
ぜひ上達に役立てて頂きたいですね。


このような形で、序盤から終盤まで丁寧に解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!

7月の情報会員解説

2018年07月27日 22時55分37秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。

なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回

今月は
女流名人戦予選 杉内寿子八段-新海洋子五段
LG杯本戦1回戦 芝野虎丸七段-唐韋星九段
の2局を解説しました。
今回はいつもと趣向を変えて、ダイジェスト版で2局をご紹介しましょう。



1図(杉内-新海1)
現役最年長の杉内八段が、91歳になってからの初勝利を挙げた1局です。
白△に対して、黒の杉内八段はどう対応したでしょうか?





2図(杉内-新海2)
白△と、黒の急所に迫った場面です。
黒はどう対応したでしょうか?





3図(杉内-新海3)
白△と引いた場面です。
Aの切りがありますが、黒はどうするべきでしょうか?





4図(芝野-唐1)
黒△と、取られている石を動きました。
一体どんな意味があったのでしょうか?





5図(芝野-唐2)
白△と二段バネした場面です。
黒はどう対応したでしょうか?





6図(芝野-唐3)
戦況の分かり難い場面です。
しかし、ここから黒の有利が明らかになっていきます。
黒はどこから仕掛けたでしょうか?

注目の場面をいくつかご紹介しましたが、全局を通して分かりやすく解説しています。
なお、鶴山淳志七段も2局を解説しており、毎月の棋譜解説は計4局となっています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!

来月は
扇興杯女流囲碁最強戦予選 万波奈穂三段-吉原由香里六段
王座戦予選 金子真季初段-奥田あや三段
の2局を解説します。
お楽しみに!