皆様こんばんは。
現在、第40回全国高校選手権大会が行われています。
7/25(月)~27(水)の3日に渡っての戦いで、男女それぞれ団体・個人の頂点を目指します。
本日は午前中に団体戦の決勝と順位戦が行われ、午後から個人戦が始まりました。
少し様子を見に行きましたが、熱気が物凄い!
真剣勝負という点では私たちプロも負けていないはずですが、しかしあの熱気は出せません。
プロの勝負では負けたくないという意識が強く働き、どうしても暗くなってしまいます。
しかし高校生は純粋に勝ちたいという一心で頑張っており、見ているだけでそれが伝わって来ます。
私も3年間、一生懸命戦いました。
あれから、はや15年・・・すっかりオジサンになりました![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
さて、本題に戻りましょう。
男子団体の優勝は春日部高等学校でした。
34年ぶりの出場でいきなり優勝とは凄い!
1、2年生中心の若いチームで、勢いもあったのでしょう。
女子団体は戸山高等学校が連覇!
昨年は2年生3人だったので、さらにレベルアップしたチームでした。
とはいえ一度負ければ終わりですから、プレッシャーを撥ね退けての優勝は見事でした。
さて、それでは対局の模様を振り返って行きましょう。
まずは男子団体決勝、春日部高等学校(黒)対上宮高等学校戦です(主将戦?)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/03/a9dc31d898398ac8c8752716ab809735.jpg)
団体戦ならではのプレッシャーがあるのか、お互い非常に手堅い序盤戦でした。
しかし黒△と踏み込んだ手を打ち、ここから戦いが始まりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/f5/701e3dc8b540751d93221dae5e526bec.jpg)
黒△と打たれた場面です。
下辺白には黒Aで分断される弱点があります。
これを素直に守っているようでは後手を引きますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/11/2b3b08882c88ec9246317953664da942.jpg)
白1とは飛躍した着想で、素晴らしい!
実は歴史上の大名人、本因坊道策も似た着想の手を打っています。
さて、その心は?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/29/a9e28873201458318790f1be91be58b4.jpg)
当然黒1と取りに行きますが、調子で白2を打つ狙いでした。
黒3となって、後に黒Aと打って来ても白2が働いて白Bで繋がっています。
先手で傷を守る事が出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/04/b59654768263c7607d6f36036a4d1999.jpg)
1手稼いだ白は白1から仕掛けて白7までと、強引にコウで黒を分断!
やや闘志過剰気味ですが、それもまた良し!(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/17/944d581c1ff9f34846e5fa55a3c110cb.jpg)
勢い黒が下辺を突き破り、白は右辺の黒を分断する振り替わりになりました。
ここで実戦は白Aと生きを目指しましたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d0/4ffacb4716e79e51cca29530f51edb05.jpg)
ここは白1が必争点でした。
黒2と取りに来れば白3と大きく構えて勝負します。
下辺の白もまだ味残りです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/15/0fd4ffe21e43527509e0eaf05af3e5e4.jpg)
実戦は下辺を生きたものの、右辺での力関係が逆転してしまいました。
黒6と封鎖されて生きるのではつらい限りです。
この後、白は必死の頑張りを見せましたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/8d/4fe0814ca6cba52c470dd6324a6ebfa6.jpg)
白1の切りに黒2が手筋、決め手です。
これで白1の石が逃げられず、勝負も決しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/be/34ea134f80389bda87bf00e86a0dcdf5.jpg)
次は女子団体決勝、戸山高等学校(黒)対栃木女子高等学校戦です。
黒△と打たれた場面、白の石数が少ない状況なので・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/8b/959ecb02c51106f4f78337c94e726347.jpg)
白1、3と穏やかに打つ所です。
近年はあまり打たれない定石ですが、白△の活力も見てこの際は適切です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/4e/ef5e0c15880b79ea081352c2819e4514.jpg)
白1、3は打ち過ぎで、黒8まで△を切り離しては黒がポイントを挙げました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/d2/82cd1462660cab00765dd2d2ee1c8c32.jpg)
しかしここで白1と強く押さえたのは好手でした。
白△を腐らせない打ち方で、勝負はまだまだこれからです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/bb/ed8612637f1a5e384366b9669a7eda58.jpg)
黒△と押した場面、ここは分岐点でした。
つい白Aと引っ張りたくなりますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/bb/fa692da99ef1e6c31d53a3a5f8f77f33.jpg)
実戦も白1と打ち、さらに白3とくっついて行きましたがこれは少々重い打ち方です。
黒4と足元をすくったのが好手で、黒6となって3子が宙に浮いてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/81/375aab0e0e179b876a1e71cad339af82.jpg)
ここは白石の少ない場所なので、白1、3と軽快に動きたい所です。
傷が多いようですが、黒もAやBに断点があるのでそう乱暴は出来ません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/9d/a03e1756927a88aab798827acb0b1ae8.jpg)
黒2と切って来れば白7まで外回りになります。
これなら急な攻めはありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/81/b47393e20c1e4d72ae8a914e0ef0a78e.jpg)
その後、黒1と当てた場面です。
何でもない所のようですが、実はここが重大な場面でした。
白2と繋いだのは利かされで、絶好点の黒3に回られてしまいました。
白4に黒5と進み、左上白を脅かしながら左辺に地歩を進めています。
これで黒優勢がはっきりしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/e1/ef7dfd67decee37aa3d5203b9f6fb94b.jpg)
黒は強い石なので、そこからさらに1子抜かせてもどうという事はありません。
白2と大場に先行してしまえばこれからの碁だったでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/db/1ab5b3944e1bd537da223479da57c880.jpg)
と考えると、そもそも黒は当てる必要はありませんでした。
黒1と先行したい所です。
白2と打たれても手抜きして問題ありません。
白Aで一応逃げる事は出来ますが、黒Bと出られてバラバラになります。
黒はCで簡単に繋がるので、一方的な戦いになるでしょう。
ともあれ、熱い戦いでした。
優勝した春日部高等学校、戸山女子高等学校の皆さん、おめでとうございます!
現在、第40回全国高校選手権大会が行われています。
7/25(月)~27(水)の3日に渡っての戦いで、男女それぞれ団体・個人の頂点を目指します。
本日は午前中に団体戦の決勝と順位戦が行われ、午後から個人戦が始まりました。
少し様子を見に行きましたが、熱気が物凄い!
真剣勝負という点では私たちプロも負けていないはずですが、しかしあの熱気は出せません。
プロの勝負では負けたくないという意識が強く働き、どうしても暗くなってしまいます。
しかし高校生は純粋に勝ちたいという一心で頑張っており、見ているだけでそれが伝わって来ます。
私も3年間、一生懸命戦いました。
あれから、はや15年・・・すっかりオジサンになりました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
さて、本題に戻りましょう。
男子団体の優勝は春日部高等学校でした。
34年ぶりの出場でいきなり優勝とは凄い!
1、2年生中心の若いチームで、勢いもあったのでしょう。
女子団体は戸山高等学校が連覇!
昨年は2年生3人だったので、さらにレベルアップしたチームでした。
とはいえ一度負ければ終わりですから、プレッシャーを撥ね退けての優勝は見事でした。
さて、それでは対局の模様を振り返って行きましょう。
まずは男子団体決勝、春日部高等学校(黒)対上宮高等学校戦です(主将戦?)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/03/a9dc31d898398ac8c8752716ab809735.jpg)
団体戦ならではのプレッシャーがあるのか、お互い非常に手堅い序盤戦でした。
しかし黒△と踏み込んだ手を打ち、ここから戦いが始まりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/f5/701e3dc8b540751d93221dae5e526bec.jpg)
黒△と打たれた場面です。
下辺白には黒Aで分断される弱点があります。
これを素直に守っているようでは後手を引きますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/11/2b3b08882c88ec9246317953664da942.jpg)
白1とは飛躍した着想で、素晴らしい!
実は歴史上の大名人、本因坊道策も似た着想の手を打っています。
さて、その心は?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/29/a9e28873201458318790f1be91be58b4.jpg)
当然黒1と取りに行きますが、調子で白2を打つ狙いでした。
黒3となって、後に黒Aと打って来ても白2が働いて白Bで繋がっています。
先手で傷を守る事が出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/04/b59654768263c7607d6f36036a4d1999.jpg)
1手稼いだ白は白1から仕掛けて白7までと、強引にコウで黒を分断!
やや闘志過剰気味ですが、それもまた良し!(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/17/944d581c1ff9f34846e5fa55a3c110cb.jpg)
勢い黒が下辺を突き破り、白は右辺の黒を分断する振り替わりになりました。
ここで実戦は白Aと生きを目指しましたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d0/4ffacb4716e79e51cca29530f51edb05.jpg)
ここは白1が必争点でした。
黒2と取りに来れば白3と大きく構えて勝負します。
下辺の白もまだ味残りです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/15/0fd4ffe21e43527509e0eaf05af3e5e4.jpg)
実戦は下辺を生きたものの、右辺での力関係が逆転してしまいました。
黒6と封鎖されて生きるのではつらい限りです。
この後、白は必死の頑張りを見せましたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/8d/4fe0814ca6cba52c470dd6324a6ebfa6.jpg)
白1の切りに黒2が手筋、決め手です。
これで白1の石が逃げられず、勝負も決しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/be/34ea134f80389bda87bf00e86a0dcdf5.jpg)
次は女子団体決勝、戸山高等学校(黒)対栃木女子高等学校戦です。
黒△と打たれた場面、白の石数が少ない状況なので・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/8b/959ecb02c51106f4f78337c94e726347.jpg)
白1、3と穏やかに打つ所です。
近年はあまり打たれない定石ですが、白△の活力も見てこの際は適切です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/4e/ef5e0c15880b79ea081352c2819e4514.jpg)
白1、3は打ち過ぎで、黒8まで△を切り離しては黒がポイントを挙げました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/d2/82cd1462660cab00765dd2d2ee1c8c32.jpg)
しかしここで白1と強く押さえたのは好手でした。
白△を腐らせない打ち方で、勝負はまだまだこれからです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/bb/ed8612637f1a5e384366b9669a7eda58.jpg)
黒△と押した場面、ここは分岐点でした。
つい白Aと引っ張りたくなりますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/bb/fa692da99ef1e6c31d53a3a5f8f77f33.jpg)
実戦も白1と打ち、さらに白3とくっついて行きましたがこれは少々重い打ち方です。
黒4と足元をすくったのが好手で、黒6となって3子が宙に浮いてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/81/375aab0e0e179b876a1e71cad339af82.jpg)
ここは白石の少ない場所なので、白1、3と軽快に動きたい所です。
傷が多いようですが、黒もAやBに断点があるのでそう乱暴は出来ません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/9d/a03e1756927a88aab798827acb0b1ae8.jpg)
黒2と切って来れば白7まで外回りになります。
これなら急な攻めはありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/81/b47393e20c1e4d72ae8a914e0ef0a78e.jpg)
その後、黒1と当てた場面です。
何でもない所のようですが、実はここが重大な場面でした。
白2と繋いだのは利かされで、絶好点の黒3に回られてしまいました。
白4に黒5と進み、左上白を脅かしながら左辺に地歩を進めています。
これで黒優勢がはっきりしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/e1/ef7dfd67decee37aa3d5203b9f6fb94b.jpg)
黒は強い石なので、そこからさらに1子抜かせてもどうという事はありません。
白2と大場に先行してしまえばこれからの碁だったでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/db/1ab5b3944e1bd537da223479da57c880.jpg)
と考えると、そもそも黒は当てる必要はありませんでした。
黒1と先行したい所です。
白2と打たれても手抜きして問題ありません。
白Aで一応逃げる事は出来ますが、黒Bと出られてバラバラになります。
黒はCで簡単に繋がるので、一方的な戦いになるでしょう。
ともあれ、熱い戦いでした。
優勝した春日部高等学校、戸山女子高等学校の皆さん、おめでとうございます!