皆様こんばんは。
本日は、第20期女流棋聖戦決勝が行われ、牛栄子初段が宮本千春初段を破り、初の挑戦手合出場を決めました!
謝依旻女流棋聖との三番勝負はどんな戦いになるのか、今から楽しみですね!
この対局の幽玄の間解説は、私が担当しました。
1手30秒の早碁なので、図が粗かったり、あちこちに文章のおかしい所が・・・。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
ですが、なるべく多くの皆様に楽しんで頂けるよう、心がけたつもりです。
ぜひご覧ください。
さて、本日は木曜日、つまり棋士の手合日なので、多くの対局が幽玄の間で中継されました。
その中でも注目の対局は、何と言っても、余正麒七段対一力遼七段!
これからの囲碁界を担う2人の対局を、皆様にご紹介しましょう。
普段なら女流棋聖戦の方をご紹介するのですが、私が解説した碁をまたご紹介するというのも、「凝り形」ですからね(笑)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/35/3f0a549c59f58a07639d704f271a9556.jpg)
1図(実戦黒55)
余七段の黒番です。
黒△と押さえた場面ですが、白としては、このまま2子を取られてはいけません。
どうすれば良いでしょうか?
腕に自信のある方は、考えてみてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/0b/e2b39dfc223d1c26c544675e837620ae.jpg)
2図(失敗図)
白1や白3のハネを利かしてから、白7、9の出切りというのは、まず目に付く手段でしょうが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/45/7ac2babd733891d2271c639eb9b70deb.jpg)
3図(続・失敗図)
黒5まで、白攻め合い負けとなります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/2c/5c49063ed1a7a56db78fc3a1beedbff3.jpg)
4図(実戦白56~白60)
実戦は一本白1のハネを利かし、白3、5の切り込み!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
鮮やかな手筋が飛び出しました!
次に黒はAかBですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/28/73e0956bf29ce9e9ad8766dde94c17d1.jpg)
5図(変化図)
黒1には、白2の切りが成立します。
黒3には白4で、ぴったり両当たりになっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/75/a6eead2f06617c4d9144f039d5c82dbf.jpg)
6図(実戦黒61~白64)
という訳で黒1と抜きましたが、そこで白2、4と繋ぎました。
次に黒Aと繋ぎたいのですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/98/a7b85c334de94bf6846081796b84b69f.jpg)
7図(変化図)
黒1は、白2と切られて潰れます。
白10まで、手筋の効果で攻め合い白勝ちです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/fe/aea2d9d06678b9a438e1e29171e2dcd9.jpg)
8図(実戦黒65~黒75)
黒は仕方なく、黒1~11までと撤退しました。
しかし、黒△を取り込んだ上に、白12の打ち込みに回っては、明らかに白優勢になりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/8e/fec1c6251d6d8c0ae6e13b11a46affdc.jpg)
9図(実戦白112)
白△と打ったあたりでは、勝負あったかなと思っていました。
地合は大差です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/e5/08c1301186b77b78f8f3d68b40296b05.jpg)
10図(実戦黒113~黒117)
黒1~5と切断されましたが、一力七段としては想定内でしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/8c/1c1f53c9d18ed3bbfb81d90821e0ab8e.jpg)
11図(実戦白118~白126)
白9まで対応し、白AとBが見合いで生き、というのが一力七段の読み筋です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/79/d2696a2de49259165f6ea3b64dde6d51.jpg)
12図(実戦黒127~白134)
実戦は黒1を1つ打ってから、黒3と中央の眼を取りました。
それなら白8と打って、ここに1眼作れば生きです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/fa/569b79e1a05a4c2858191cb5356e1bdf.jpg)
13図(変化図その1)
黒1、3と打てば欠け目にできますが、白8までと脱出されてしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/99/76ef383ffe7c83ad65e389a594eb7b6e.jpg)
14図(変化図その2)
黒1、3と打てば、Aの所のコウ争いになります。
しかし、白にはコウ立てが多く、黒は望み薄です。
白の勝ちが決まったかと思っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/a8/03c258d48f06c02e5ceb3a115e623e26.jpg)
15図(実戦黒135)
ところが、黒1と打つ妙手がありました!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
これで黒△が助かっています!
余七段、ずっとこの手を狙っていたのでしょうね。
恐らく一力七段も、この手をうっかりしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/f0/14bc94a34d26a73b45cab6186957ab59.jpg)
16図(変化図)
黒4まで、黒が助かっている事をご確認ください。
白は2眼できなくなってしまいました。
実戦は白Aから脱出を図りましたが、余七段が正確に仕留めました。
この碁は一力七段の快勝に終わるかと思っていましたが、余七段が妙手一発で逆転しました。
上辺での白の鮮やかな手筋、下辺での黒の妙手が、印象的な1局でした。
名局の定義とは何でしょうか?
私は、観戦者を感動させる碁と定義しています。
この碁は、間違いなく名局ですね。
本日は、第20期女流棋聖戦決勝が行われ、牛栄子初段が宮本千春初段を破り、初の挑戦手合出場を決めました!
謝依旻女流棋聖との三番勝負はどんな戦いになるのか、今から楽しみですね!
この対局の幽玄の間解説は、私が担当しました。
1手30秒の早碁なので、図が粗かったり、あちこちに文章のおかしい所が・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
ですが、なるべく多くの皆様に楽しんで頂けるよう、心がけたつもりです。
ぜひご覧ください。
さて、本日は木曜日、つまり棋士の手合日なので、多くの対局が幽玄の間で中継されました。
その中でも注目の対局は、何と言っても、余正麒七段対一力遼七段!
これからの囲碁界を担う2人の対局を、皆様にご紹介しましょう。
普段なら女流棋聖戦の方をご紹介するのですが、私が解説した碁をまたご紹介するというのも、「凝り形」ですからね(笑)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/35/3f0a549c59f58a07639d704f271a9556.jpg)
1図(実戦黒55)
余七段の黒番です。
黒△と押さえた場面ですが、白としては、このまま2子を取られてはいけません。
どうすれば良いでしょうか?
腕に自信のある方は、考えてみてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/0b/e2b39dfc223d1c26c544675e837620ae.jpg)
2図(失敗図)
白1や白3のハネを利かしてから、白7、9の出切りというのは、まず目に付く手段でしょうが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/45/7ac2babd733891d2271c639eb9b70deb.jpg)
3図(続・失敗図)
黒5まで、白攻め合い負けとなります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/2c/5c49063ed1a7a56db78fc3a1beedbff3.jpg)
4図(実戦白56~白60)
実戦は一本白1のハネを利かし、白3、5の切り込み!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
鮮やかな手筋が飛び出しました!
次に黒はAかBですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/28/73e0956bf29ce9e9ad8766dde94c17d1.jpg)
5図(変化図)
黒1には、白2の切りが成立します。
黒3には白4で、ぴったり両当たりになっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/75/a6eead2f06617c4d9144f039d5c82dbf.jpg)
6図(実戦黒61~白64)
という訳で黒1と抜きましたが、そこで白2、4と繋ぎました。
次に黒Aと繋ぎたいのですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/98/a7b85c334de94bf6846081796b84b69f.jpg)
7図(変化図)
黒1は、白2と切られて潰れます。
白10まで、手筋の効果で攻め合い白勝ちです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/fe/aea2d9d06678b9a438e1e29171e2dcd9.jpg)
8図(実戦黒65~黒75)
黒は仕方なく、黒1~11までと撤退しました。
しかし、黒△を取り込んだ上に、白12の打ち込みに回っては、明らかに白優勢になりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/8e/fec1c6251d6d8c0ae6e13b11a46affdc.jpg)
9図(実戦白112)
白△と打ったあたりでは、勝負あったかなと思っていました。
地合は大差です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/e5/08c1301186b77b78f8f3d68b40296b05.jpg)
10図(実戦黒113~黒117)
黒1~5と切断されましたが、一力七段としては想定内でしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/8c/1c1f53c9d18ed3bbfb81d90821e0ab8e.jpg)
11図(実戦白118~白126)
白9まで対応し、白AとBが見合いで生き、というのが一力七段の読み筋です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/79/d2696a2de49259165f6ea3b64dde6d51.jpg)
12図(実戦黒127~白134)
実戦は黒1を1つ打ってから、黒3と中央の眼を取りました。
それなら白8と打って、ここに1眼作れば生きです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/fa/569b79e1a05a4c2858191cb5356e1bdf.jpg)
13図(変化図その1)
黒1、3と打てば欠け目にできますが、白8までと脱出されてしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/99/76ef383ffe7c83ad65e389a594eb7b6e.jpg)
14図(変化図その2)
黒1、3と打てば、Aの所のコウ争いになります。
しかし、白にはコウ立てが多く、黒は望み薄です。
白の勝ちが決まったかと思っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/a8/03c258d48f06c02e5ceb3a115e623e26.jpg)
15図(実戦黒135)
ところが、黒1と打つ妙手がありました!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
これで黒△が助かっています!
余七段、ずっとこの手を狙っていたのでしょうね。
恐らく一力七段も、この手をうっかりしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/f0/14bc94a34d26a73b45cab6186957ab59.jpg)
16図(変化図)
黒4まで、黒が助かっている事をご確認ください。
白は2眼できなくなってしまいました。
実戦は白Aから脱出を図りましたが、余七段が正確に仕留めました。
この碁は一力七段の快勝に終わるかと思っていましたが、余七段が妙手一発で逆転しました。
上辺での白の鮮やかな手筋、下辺での黒の妙手が、印象的な1局でした。
名局の定義とは何でしょうか?
私は、観戦者を感動させる碁と定義しています。
この碁は、間違いなく名局ですね。