I.Takashi @ NED

商業計画プランナー、リサーチャー、ライター。
海外の街や特別なホテルの情報、最新農業事情や食の研究などをお届けします。

王樹(ワン・シュー)設計の中国美術学院で思う、代ゼミアトリエ時代と今。

2020-01-30 11:15:57 | 【Column】Life Column

杭州の街に、王樹(ワン・シュー)設計の中国美術学院を見に行った。

王樹は中国人で初めての建築界で栄誉あるプリッカー賞の受賞者です。

 

様々なボキャブラリーで展開するプリミティブな建築の数々、

そして建築を背景に記念撮影をする見学にきた数々の建築学科の学生を目にした。

 

僕が思い出したのは、大学で建築設計を学ぶ前、

美術を学びに行っていた代ゼミのアトリエでのことだ。

 

代ゼミのアトリエというのは美術大学志望者のための予備校。

そこでデッサンなど、美術大学受験のためのスキルを集中的に学ぶ。

講師として東京芸大に在籍する学生や院生などが教えに来てくれていて、

僕はそこで過ごした特別な時間を今も忘れていない。

 

建築学科の学生になってからは建築少年になり、

平倉事務所や山本理顕設計工場をはじめ、

数多くの設計事務所でアルバイトを積極的にする程だったが、

当時高校生だった僕は目標も曖昧で、予備校での講師との雑談が多かった。

講師の中には有名建築家の息子さんなんかもいて、

興味のあった建築の話なんかをよく聞かせてもらった。

デッサンがなかなかうまくならず、

それでも、ぼんやりとした目標に向かって、

毎日書き続けた青年時代。

 

それから半世紀以上も経って、

杭州でそんなのんびりした日々のことを思い出すとは思わなかった。

 

力強い建築の表現。

決してお金がかかっているわけでもなさそうだけど、

強い空間への想いが込められているのを感じた。

 

そして最近忘れていた、建築空間に対する神秘的な感覚。

記憶を蘇らせてくれるような建築の夢。

 

杭州の中国美術学院では、なんだか自分の原点と対峙するような想いだった。

 

そんな建築がある杭州。

建築やアートが好きな人は是非訪ねてみてください。

 

I. Takashi

 

Amazonリンク[杭州デザイントラベルガイド]

 


中国人芸術家の蔡国強が教えてくれたクリエイティブの根源とアートの魅力

2020-01-28 19:47:22 | 【Column】Life Column

NY在住、中国人で最も有名なアーティスト「蔡国強」。

爆竹や火薬を使ったパフォーマンスを見たことがある人もいると思う。

 

僕が上海で初めて彼の展示を見たのは、2014年。

上海当代芸術博物館(Power Station of Art)での大規模個展でした

 

メディアを通して彼の活動は知っていたけれど、上海での展示は凄かった。

中央に鎮座する難破船、火薬を使った何十メートルものアートの展示、

そして墨の天井から落ちてくる、変化する展示などなど。

映像作品も多数あって、興味深く観覧したことを覚えています。

 

蔡国強は火薬を使用して多くの作品を生み出しています。

彼は火薬を自分自身で管理し、うまく爆発させることで、

暴力や破壊を創造へと転化させ、生命を表現にしようとしていると言います。

 

蔡国強自身は、中国の文化大革命時代に中国で幼少期を送っていました。

その時の記憶や感情、思いが今のアートの創造の根源になっているとも感じますし、

中国由来の火薬を使用することが一つのアイデンティティの表現かもしれません。

 

アーティストの考え方を正確に理解することは、時に難しく、

背景を知っていないと分からないことも多いです。

でもいろいろなアーティストの作品に触れていくことで、

その方々の更なる情報を知ることにもつながり、興味が湧いていきます。

上海で彼の展示を見れたのはラッキーでした。

 

そんな上海の美術館、クリエイティブスポットをたくさん紹介しています。

良い展示をよくやっているセンスのいい美術館などに

数多く触れてみたいという人にむけて執筆しました。

中国、上海への旅の参考にしてもらえれば嬉しいです。

 

I. Takashi

 

[上海デザイントラベルガイド2020]


ジャックマーの賑わす中国と日系設計事務所

2019-12-08 01:12:40 | 【Column】Life Column

最近になって中国に赴任する日本人がちらほら増えてきた。

中国が不景気になったと言われてここ数年。

年々中国に住む日本人は減ってきたわけだけど、

それは中国の事情ではなく、どちらかと言うと日本の事情かな、と。

日本国外へ出て行かざるを得ない状況があるのかもしれない。

 

最近、新しい中国の仕事を相談されて一緒にプロジェクトに取り組んだが、

その日本の設計事務所のご担当者は来年から中国赴任。

中国のプロジェクトは取り組んできた経験はあるけれど、

中国に住んだ事はない。

 

これからいろいろ大変さはあると思う。

仕事上でも生活上でも。

 

今年も11月11日は中国で独身の日は大変賑わった。

電子化が進んでいく中で便利にはなったけれど、

不便でやりにくいこともたくさんある。

特にビジネス上の慣習は全く異なるように思う。

 

そんな中国で頑張る日本人のために、参考になればと思って

今まで感じてきたことをまとめてました。

 

5年前と違って新しい中国だが、

まだ今までの中国らしさは仕事上もたくさん残る。

 

共に頑張っていきたい。

 

「上海ビジネスレポート2019」

 

あなたを支える参考に少しでもなれば。

 

I.Takashi


【Column-09:欧州特別編-2】Free From

2019-08-11 00:22:09 | 【Column】Life Column

 

様々な科学的解析と解決の選択肢が多いのは先進国の特徴だ。

食事に関しても同様で、味以前の問題であるアレルギーへの対処も多様。

 

街の普通のスーパーマーケットに売られている食品は

オーガニックやフェアトレードは非常に一般的で、

宗教に関係する鶏や豚、牛の食材表記に加え、

VeganVegetariaの的な主義へ対応した表記、

そして「Free From」というコーナーもある。

アレルギー成分を排除した食品のコーナーだ。

・グルテン(Gluten)

・ラクトース(Lactose)

・ピーナッツ

などなど、多種多様なアレルギー物質フリーの食材。

 

そして牛乳の代わりとなる乳飲料、

・アーモンドミルク

・ソヤミルク

・オートミルク

などもよく売られている。

 

今日、体調不良の根源を小麦に含まれるGlutenとする人は多く、

日本でも今後活発化していくはずだ。

 

食をめぐる対応は人間存在の根源に関わること。

マズローの5大欲求の一つである「生理的欲求」を実行するための基本が食。

 

心地よく生きること、生活できる基本を、

食を通して改めて実感している。

 

I.Takashi

 


【Column-08:欧州特別編-1】Concept & MD

2019-08-09 22:46:22 | 【Column】Life Column

  

 

僕が、以前欧州に訪れてから早8年が経過。

 

先進国とは、芸術や文化的側面において、

より進んだ考え方や生き方を提案できるかどうか、

という見方が個人的にはしっくりくる。

 

また、多くの先進国は人種や宗教が多様化しており、

言語、考え方、生活様式、趣向、食文化が多種多様だ。

 

その欧州の国々の中で、文化的カオスの中心を担うのがロンドンだと感じている。

新しい商品や店舗での販売の分野において、

また商業計画を含む商品としての建築計画において、

ロンドンはあらゆる面において成熟しており、

世界中からトッププロが集まるその市場において、

新しいコンセプトを持つ店舗、企画展示、商業施設、

店舗の商品構成、見せ方、MD(マーチャンダイジング)計画などの面においても

非常に洗練されていて、純粋に魅せられる。

物欲が減退していたと思っていた一つの要因は、

日本や中国国内での一様で変化の少ない訴求方法に飽きていた、

ということも十分考えられる。

 

翻って日本におけるコンセプトの可能性はどうだろう?

日本は次の時代に向けた新概念を産むことができるのか?

 

日本は次の世代に向けた新しいコンセプトの提示はできる素養はある。

ただそれは、アート·芸術における分野においてであり、

商業関係においてはかなりハードルが高いように思う。

商業においては、そのほとんどは国内市場に向けたもので、

日本国外の国々には適応できないものが多い。

 

国際的な商業的成功を目指すのであれば、

海外で生活して文化性を体感し、

海外とのチームで動ける体制を組み、

マーケットに向けて的確な提案を実施する感度が必要。

 

新しい考えに対してパトロン的な考えが基本ある国においては

コンセプトメイクに対して価値、つまり仕事が発生する。

 

そんな市場に身を置いてアウトプットを行うことが、

新しいコンセプトを生み出す人にとって非常に重要であることを

改めて感じている欧州の日々。

 

自分が評価される場所は自分で探すんだ。

 

I.Takashi