杭州の街に、王樹(ワン・シュー)設計の中国美術学院を見に行った。
王樹は中国人で初めての建築界で栄誉あるプリッカー賞の受賞者です。
様々なボキャブラリーで展開するプリミティブな建築の数々、
そして建築を背景に記念撮影をする見学にきた数々の建築学科の学生を目にした。
僕が思い出したのは、大学で建築設計を学ぶ前、
美術を学びに行っていた代ゼミのアトリエでのことだ。
代ゼミのアトリエというのは美術大学志望者のための予備校。
そこでデッサンなど、美術大学受験のためのスキルを集中的に学ぶ。
講師として東京芸大に在籍する学生や院生などが教えに来てくれていて、
僕はそこで過ごした特別な時間を今も忘れていない。
建築学科の学生になってからは建築少年になり、
平倉事務所や山本理顕設計工場をはじめ、
数多くの設計事務所でアルバイトを積極的にする程だったが、
当時高校生だった僕は目標も曖昧で、予備校での講師との雑談が多かった。
講師の中には有名建築家の息子さんなんかもいて、
興味のあった建築の話なんかをよく聞かせてもらった。
デッサンがなかなかうまくならず、
それでも、ぼんやりとした目標に向かって、
毎日書き続けた青年時代。
それから半世紀以上も経って、
杭州でそんなのんびりした日々のことを思い出すとは思わなかった。
力強い建築の表現。
決してお金がかかっているわけでもなさそうだけど、
強い空間への想いが込められているのを感じた。
そして最近忘れていた、建築空間に対する神秘的な感覚。
記憶を蘇らせてくれるような建築の夢。
杭州の中国美術学院では、なんだか自分の原点と対峙するような想いだった。
そんな建築がある杭州。
建築やアートが好きな人は是非訪ねてみてください。
I. Takashi
Amazonリンク →[杭州デザイントラベルガイド]