I.Takashi @ NED

商業計画プランナー、リサーチャー、ライター。
海外の街や特別なホテルの情報、最新農業事情や食の研究などをお届けします。

【Business Blog-22】時代錯誤な出勤文化と印刷文化

2018-10-16 10:07:55 | 【Business Blog】Business / Projects

日本の会社と仕事していて思うのは、

出勤することへのこだわりと根深い印刷文化だ。

 

なぜ毎日定時に出勤しなければならないのか。

なぜ会社を構える必要があるのか。

なぜ印刷して会議に臨まなければならないのか。

 

「いつでも話ができる環境が必要」

「日本の法人は、会社という場所が無いと信用にならない」

「紙があれば、そこに書き込みながら話ができる」

 

などなど、僕が疑問を呈すると、色々な説明を聞くことができる。

だが、別にそれらは重要な理由ではなく、代用が可能なことばかりだ。

 

何より経営的に考えるとオフィスを構えることも、印刷代も非常に負担だ。

そして一番厄介なのが出勤で消耗する心身の疲れ。

通勤ラッシュは最も無駄な疲れだと感じる。

 

日本で出勤して会社で業務することは、交流すること以外に目的は必要ない。

そして簡単な交流であればネット経由でも可能。

集中するスペースはカフェの方が捗って仕事ができるし、

皆が集まってやる必要があればコワーキングスペースで十分だ。

印刷はデータをIpadで見て書き込むことで代用できるし、

データの方が共有にも便利だ。

 

まだ、ローテクベースが残っているのは、

一番はまだまだ若手が活躍できない環境であることの裏返しではないかと思う。

 

I.Takashi


【Business Blog-21】中華圏は一つのマーケットではない。

2018-09-22 10:50:52 | 【Business Blog】Business / Projects

日本企業は中国本土での出店展開で苦戦している。

 

2013年を境に習近平政権になり、

そこから不動産開発一辺倒だった社会は構造的に変わった。

 

習近平は賄賂など腐敗した中国の悪しき習慣を立つため、

大きなお金が動く徹底的な国営企業の不動産開発の見直しや

国内外のお金のやりとり·海外への投資を見直した。

 

結果として、

IT業界が著しく発展してキャッシュレス社会になり、

バブル化していた中国株式市場は暴落、

不動産価格の高騰も落ち着きを見せた。

 

同時にショッピングモールなどの新規大型開発計画は減り、

街の消費はインターネットでの購買に移り、

商業施設での物販売上が下がる傾向は止まらない。

 

要するに結果として、

日本企業の物販は中国で全く売れなくなった。

新規出店を続けるための母体となる日本本部の体力もなく、

高騰する上海の人件費、家賃、駐在員家族の生活費を賄うこともままならない。

駐在員は2012年にピークだった10万人を大きく割り込み、2018年は半分の5万人ほどしか住んでいない。

なので日本人をターゲットにしている日系飲食、日系サービス店も苦しい。

飲食店やスナック、カラオケ店などは閉店、経営投資資源の集中が続いている。

 

そこでよく出る議論が「台湾に出店してから中国大陸に出店展開する」という考え方だ。

同じ中国語圏であるということ。

中国には台湾人も多く出店していて関係者もいる、ということ。

 

しかしながら、台湾と中国大陸はマーケットは異なる。

文化形成の歴史、

出店のための法律の規制、

中国は広大なため、人種も考え方も異なる。

そしてまた、中国で働く香港人、台湾人、マレー系華僑などの

中国語話者の考え方も異なる。

 

特に中国大陸は食品の輸入規制や消防、衛星の規制が厳しい。

そして中国全土での競争に晒されていて流行の移り変わりも早く、

競合の出現も早い。

 

その厳しい競争下において、

スタッフの教育をしながら中国で発展して行くには

中国での頼れるパートナーとマーケットの熟知が必要だ。

 

僕のなかでは、台湾と中国大陸のマーケットと戦略は全く異なる。

中国大陸への進出は避ける、というのも大きな戦略であると思う。

 

伸るか反るか。

中国大陸への出店は社運をかけた決意が必要だ。

それは東南アジア一帯、中華圏一帯としてくくることのできない、

「中国大陸」という独自マーケットという認識が欠かせない。

 

I.Takashi


【Business Blog-20】1勝9敗

2018-09-13 17:41:03 | 【Business Blog】Business / Projects

中国で仕事をしてきた経験から言うと、

仕事の勝率は1割。つまり1勝9敗。

ファーストリテイリング柳井正社長の著書と同様だ。

 

この9割には様々な事項が含まれる。

ただの協力お伺いだったり、気軽な相談だったり。

しかしながら仕事になるのは10個のうち一つ。

例えば昨年は56個の何かしらのお話があり、

その中で5個、実際の仕事になった。

 

中国人の営業的姿勢は日本のものとは違い、

とりあえず聞いてみる、話してみる、と言うものが多い。

 

日本人の場合には

壮大な妄想を掻き立てる中国人の話術に乗り、

大抵本気で話を受けすぎて、無料のうちに動き出す。

 

でも中国人の感覚からすると、

まず話を聞いてみただけで、

仕事になるかどうかはまた別の話。

雑談の延長だ。

 

中国人が本気かどうかはその姿勢に表れる。

本当に協力が必要な時には明日にでも契約してほしいという。

まだ動き出すかわからない時には返答は急がない。

 

そこで一番問題となるのは返答速度だ。

中国は大きく、関係者の地域や慣習、価値観が異なる。

その状況においてTOPへわかりやすく説明するには資料がいる。

それは深い資料でなくても構わない。

必要なのはTOPが理解できる内容のわかりやすさと中国語の資料だ。

 

でも日本から見ると、

契約できるかどうかわからないことに対して

人を動かし、無料で資料を作成することはなかなか難しい。

そして動かすにも担当者には決裁権もなく、

結局社内会議で話を上に上げていくしかない。

でも多くは社内で否定され、話はなくなってしまう。

そして資料を作ることになった場合でも

どのレベルまで作れば良いのか分からずに作りすぎてしまう。

結局は経営の負担になってしまう。

 

 

一寸先は闇。

これは中国経済を端的に表す言葉だと思う。

 

闇というのは悪い意味ではなく、

先が分からない、読めない、ということ。

 

度重なる中国政府の方針変更やアップデート、

上司や社員の頻繁な入れ替わり、

社内のライバルに出し抜かれることもままある。

 

そんな動きが早い中国社会で物事を進めていくには

即断即決、迷いのない推進と決意が必要だ。

 

日本企業なら、駐在している人への大きな決裁権、

中国現地会社ならその場の判断。

 

まず必要なのは会社や個人の強い決意、そしてすばやい実行力。

いつもそう感じている。

 

I.Takashi


【Business Blog-19】英語を学ぶメリット

2018-06-26 20:33:10 | 【Business Blog】Business / Projects

日本以外の国に住んでいると、五か国語を話すような人に頻繁に会い、第2外国語を話せるとこは生きる為の当たり前の必須条件となる。

 

その中で日本国内でよく議論されるような「英語を話せるメリット」というようなトピック自体出てこないのだが、私は生粋の日本人だし、15年前までほぼ日本語しか話せなかった訳でもあるし、改めて英語を話せるメリットについて考えてみたいと思う。

 

大きくは五つくらい思い浮かぶ。

1.得られる情報の幅が広がる。

2.仕事の機会が広がる。

3.交友関係が広がる。

123のこれらは当然といえば当然で、

例えばインターネットで検索する時に英語を使う事で、様々なフックができ、日本語だけでは探し出せなかった情報を得ることができる。

特に日本語での情報というのは日本人があまり行かない土地や馴染みのない習慣に関する情報が極めて少ないのと、広告として誘導される情報が多く、欲しい情報に辿り着くことが困難な事が多々ある。そんな時に英語圏、日本語以外の話者との交友があれば、直に有益な情報を得る事が可能になる。

 

4.英語で観劇できる。

演劇だけでなく映画やスポーツにも言える。

言葉だけでなく、背景に流れるサウンドの意味、歴史的なニュアンスまで知る事ができる。その事でより深く創作者の意図に入り込む事ができるのは、翻訳や通訳を経て日本語化された内容とは根本的に異なる世界に身を置くことになる。

 

5.価値観が変わる。

英語を学ぶ事で日本国外に住む障壁が下がり、自分自信が日本を出る後押しとなる。そして海外に移住した結果、その住む国でいろいろなトラブルに巻き込まれ、今まで持っていた常識が変わり、最終的自分の価値観が変わる。

よく言われる事だが、大事なのは言葉を学ぶことにない。それをきっかけに多様性を体感する機会を得ることである。

その最たるものは価値観が広がる事で、自分の判断基準がより深く、広く、示唆に満ちたものになるという事。

 

英語はいつでも学べるとか、

大人になってからでも遅くないとか、

ある程度話せるから海外に住む必要はないとか、

私が思うのはそのような観点からではない。

 

いま、そしてこれからのアジアや世界で、

事業をうまく営んで生活するならば、

早い段階で海外に移り、自分の精神を改革すること。

 

それが一番重要な事だと感じている。

 

I.Takashi


【Business Blog-18】発展する街で働く醍醐味

2018-04-27 05:00:39 | 【Business Blog】Business / Projects

近年の日本の景気後退にあわせるように、海外で働く日本人のプレゼンスはどんどんさがっているように感じる。

 

しかしながら期間限定的な日本ブームや

税金の無駄遣い甚だしいクールジャパン機構の援助も後押しし、

まだまだ駐在員を代表とする海外日本人は多い。

 

発展を続ける街で住んで働くメリットの1つに

そのマーケットを肌身で感じられる事がある。

·どこが将来発展するのか

·消費の変遷や潮流

·現地の嗜好や習慣、レベル

·宗教、性別、歴史背景からくる考え方

などなど、身をもって感じる事ができる。

 

街は激しく変わり、家賃は上昇し、人々の収入は上がり、SNSでの情報発信頻度は上がり、現金決済が減り、アプリで様々な事が可能になっていく。それを少しは理解できるようになる。

 

ただし、その感覚や経験、知識やノウハウとも呼べる体験を自分の生活に活かすためには当たり前だが個人の時間が必要だ。過酷な時間的犠牲を払わされる駐在員や、長時間労働を強いられる下請けの仕事をやっていては自分個人の時間が持てない。

 

発展する街で働くメリットを本当に享受できるのは、

自分の時間をしっかりと確保できていることが前提。

 

だから、海外地元の人たちは個人の時間を確保できるので

将来は日本人よりも資産を形成して、会社依存の日本人と比べて金持ちになれる。

日本人は個人の時間もないし、日本のマーケットしか知らないのでどんどん貧乏になる。

 

貧乏な日本の将来はもうはっきりと見えてしまっている。

 

I.Takashi