己がでに殻しかと抱き蝉生まる 逸考
数年間、地下で棲息していた幼虫が蛹になり、夏、地上に這い出して背を割り脱皮、夜の間
に成虫になるらしい。シャーシャーと、けたたましく鳴く樹の枝に、まだ翅の乾ききらないクマ
ゼミが、自分の殻を、しかと抱くように、とまっていた。
己がでに殻しかと抱き蝉生まる 逸考
数年間、地下で棲息していた幼虫が蛹になり、夏、地上に這い出して背を割り脱皮、夜の間
に成虫になるらしい。シャーシャーと、けたたましく鳴く樹の枝に、まだ翅の乾ききらないクマ
ゼミが、自分の殻を、しかと抱くように、とまっていた。