原稿が書けないと現実逃避したくなります。後述した村田喜代子の『縦横無尽の文章レッスン』に紹介されている小説や詩、童話など魅力的な本の数かず・・・。仕上がるまでは我慢、仕上がったら好きなだけ読めるんだからと自分にブレーキをかけます。8月30日現在、因幡屋通信最新号はレイアウト作業に入りました。あと少し、あとひといき。
*葉山嘉樹 『セメント樽の中の手紙』
*大関松三郎詩集 『山芋』
*ルーマー・ゴッデン作 石井桃子翻訳 『ねずみ女房』
今月心に残った舞台は、劇団フライングステージ『ハッピー・ジャーニー』と、劇団May『夜にだって月はあるから』でした。
【本】
*村田喜代子『縦横無尽の文章読本』(朝日新聞出版)
作家である著者が西日本の大学で行った文章講座の授業をもとにした文章読本である。
ひたすら自説を話すのではなく、古今東西さまざまな文章を教材として提示し、それらをじっくりと読み、どこが優れているのか、なぜ読むものの心に響くのかを丁寧に解き明かし、今度は自分で書いてみることを繰り返す。学生たちが提出した作文もいくつか掲載されているが、それが指導によってどう変化していったかまでは書かれておらず、あくまで著者がどのような授業を行ったかに留まっている点はものたりなかった。
しかしながら著者が学生に説いている内容は、みずからがプロの作家として日々積み上げている研鑽、修練と同じなのではないか。終章の「最後の授業 創作必携」には、書こうとする文章のジャンルが何であれ、まさに必携の事項が理路整然と記されている。書き手として生きる人の覚悟であろう。
教わる生徒がどのように変化、成長していったかが描かれた文章読本としては、清水義範の『清水義範の作文教室』(早川書房)が何度読んでもたいへんおもしろい。
ほかにはエドガー・アラン・ポーの詩集や評論集を少しずつ。えびす組劇場見聞録ツイッターからどうぞ。
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