因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋3月のなにか

2011-03-01 | お知らせ

 1月が行き、2月が逃げて3月が来てしまいました。
若手演出家コンクール2010最終審査 96名の応募から第1次、第2次審査を経て最終選考の残った4名の演出家が、各々1時間以内の作品を発表し、最終日に公開審査を行って最優秀賞を決めるもの。☆劇団あおきりみかん 鹿目由紀 『現在、進行形』 ☆劇団オイスターズ 平塚直隆 『続・トラックメロウ』 ☆劇団May 金哲義 (1,2) 『晴天長短-セイテンチャンダン-』☆手作り工房錫村 錫村聡 『水商売』 よぉし、ぜんぶみるぞ。
菅間馬鈴薯堂vol.27 『漱石小遣帖-修善寺大患後日顛末-』
演劇レーベル Bö-tanz 7つの大罪シリーズ『ep1.Lust<色欲>』 グリーンフェスタの最終作品
パラドックス定数 第24項『5seconds』 第25項『Nf3 Nf6』  (1,2,3,4,5,6,7,8,9)
*IMAGIN21『地獄のDECEMBER-哀しみの南京-』
*第14回みつわ会 久保田万太郎作品その21 『ふりだした雪』 『舵』
elePHANTMoon#10 『劣る人』 (1,2,3,4,5)
『巨匠の見た世界』 社団法人国際演劇協会(ITI)主催 世界の秀作短篇シリーズより、今回はイギリス・アイルランド編 テレンス・ラティガン、ノエル・カワード、ハロルド・ピンター、サミュエル・ベケット、ブライアン・フリ―ルの作品が連続上演されるもの。
サスペンデッズ 第10回公演 『カラスの国』 (1,2,3,4)
こまつ座  第93回公演・テレビ朝日共同主催 『日本人のへそ』 (1,2,3,4)  

 織田作之助の短編を読み始めました(ちくま日本文学035)。先日『シングルマザーズ』をご一緒した恩師と昨年の大河ドラマ『龍馬伝』で、寺田屋のお登勢を演じた草刈民代がちょっと・・・という話になって、織田作之助の『蛍』を勧められたのです。
 「自分のゆくすえというものをいつどんな場合にもあらかじめ諦めておく習わしがついた」ような女が、「一事が万事、登勢の絞る雑巾はすべて乾いていたのだ」というような苦労を続けながら、坂本龍馬(小説の記載は竜馬)と出会い、彼が養女のお良(楢崎龍のこと)と夫婦になって、暗殺されたことを知るまでのことが淡々と描かれています。
 姑には苛められ、亭主はそとに女を作る、産んだ子は死ぬ。そのたびに「淀の水車のようにくりかえす自分の不幸を噛みしめ」、しかし翌日には声を張り上げて客を呼び、懸命に立ち働く。
 なぜ題名が「蛍」なのかはここでは触れませんが、どの国、どの時代であってもこの世に生まれた以上、人はどうにかして生きていくしかないのだと思わされます。坂本龍馬はじめ多くの志士たちを支えたといわれるお登勢を特別な存在ではなく、普遍性をもって描いたところに『蛍』のしみじみとした味わいが感じられました。

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