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メディアファクトリー
銀色の髪のアギト 通常版
何故こういう作品をメジャー系で公開するのかさっぱり訳が分からない。
最初に断言してしまおう。
「銀色の髪のアギト」は、キャラクターデザインを手掛けている
緒方剛志氏のファン以外には見るべき所のない失敗作である。
以前当BLOGで紹介した「雲のむこう、約束の場所」という映画も
同人臭漂う自己満足の強い作品であったが、
本作の場合はメジャー化に対する欲も見え隠れする分
「雲のむこう」よりもさらに酷い。
一般人から敬遠されがちなキャラクターと、
アニメファンを遠ざけるキャスティング、
この組み合わせからしてもうおかしいだろう。
声優を排除するなら徹底的に排除すればいいものを、
一部にとびきりオタク臭の強い声優(南央美)を使っているため
他のキャストと全く噛み合っていない。
また、主人公のアギトを演じる勝地涼は
走って来る時:「トゥーラーーー」(棒読み)
必死な時:「トゥーーラーーーー」(棒読み)
もっと必死な時:「トゥーーーラーーーーー」(棒読み)
と、「ー」の増減だけで感情の起伏を表現するという荒技を見せた。
聞くに堪えないとはまさにこのことだ。
松竹は「亡国のイージス」でも勝地を起用していたので
育てたいのかも知れないが、実力の伴わない役者に不釣り合いなキャスティングは
羞恥プレイにしかならないことを肝に銘じておいた方が良い。
「デビルマン」の双子は、あれ以来どこかへ行ってしまったではないか。
本作の脚本家は「風の谷のナウシカ」から
一体何年経ったと思っているのであろうか。
「もののけ姫」からですらもう9年が経とうとしているというのに、
「もののけ」はおろか、「ナウシカ」の足下にすら及んでいない。
メッセージ性の薄さ(弱さ)を「●▲■システム」等の適当な造語で
煙に巻こうとしているが、そんな稚拙な手段で何も誤魔化せはしない。
宮崎駿や押井守が未だに一線で活躍するはずだ。
質感の差が生む違和感に相変わらず無頓着なGONZO、
安っぽい姫神のようなKOKIAのメインテーマ、
既視感のあるシーンや台詞の大洪水。
「キングコング」(186分)より遥かに苦痛な90分であった。
拡大上映する価値などどこにもない、志の低い映画だ。
【関連記事】
過去ログ:■音楽以外はまだまだ同人レベル「雲のむこう、約束の場所」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:銀色の髪のアギト
配給:松竹
公開日:2006年1月7日
監督:杉山慶一
出演者:(声)勝地涼、宮崎あおい、古手川祐子、他
公式サイト:http://www.gin-iro.jp/
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