忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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もっと弾けろ、16万人

2004年09月28日 | 業界四方山話
24日から幕張で開催されていた東京ゲームショウが終わった。
3日間の入場者数は16万人(ビジネスデー3万人含む)に及び、昨年を1万人ほど上回ったという。
CESAが流し続ける「ゲーム市場は好調な伸び」という報告を鵜呑みにしているような
お気楽な業界人はおそらく1人もいないと思うが、入場者が伸びたのもまた事実である。
この数字から読み取れるものは、本当に「好調」なのだろうか。

ゲーム業界からすれば「お隣りさん」という感覚の音楽業界では、
CDの売り上げが前年割れを続け、シングル盤のミリオンセラーは今年はついに1枚も出ていない。
売れているアルバムと言えば、人気のアーティストのベストアルバムか洋楽のオムニバスばかり。
アイドル系のCDは、初回盤2種類、通常盤1種類の合計3種類で発売など、
同じ楽曲を何枚も買わせることで数字を稼いでいる状態だ。
この辺の構造は、ゲーム業界とほぼ同じだと思う。

一方、フジロックやサマーソニックなどの野外イベントの入場者数は毎年伸び続けており、
携帯端末を使った着うたサービスでは、大塚愛の「さくらんぼ」が100万回のダウンロードを達成した。
例え着うた(1曲105円)とはいえ大塚愛がミリオンというのも信じ難いが、
「え?こんなチープなページが月額315円?会員50万人突破?」
というゲームメーカー製作の携帯サイトも確かにある。(どことは言わない&言えない)
お祭りなら人は集まり、数百円ならホイホイ金を落とすが、
いざ購入するとなると安全パイにしか手を出さないということか。

ゲームの未来を垣間見れるはずのゲームショウ会場で最も人が集まったブースは
スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト8」コーナーだったと聞いた。
いいのかそれで。何しに幕張まで行ったのだ。
「ドラクエ」など、どうせ遊ばなくても買うだろうに。
PSPブースを素通りして幕張くんだりまで石橋を叩きに行った人々が
増加した1万人だったのではないかと私は思う。
ここ3年間のソフト売り上げの年間ランキングを見てみると、

2004年ベスト4:1位「ポケモン赤緑」2位「ドラゴンクエスト5」3位「戦国無双」4位「ウイイレ8」
2003年ベスト4:1位「FFX-2」2位「ポケモンルビーサファイア」3位「三國無双3」4位「ウイイレ7」
2002年ベスト3:1位「ポケモンルビーサファイア」2位「ウイイレ6」3位「鬼武者2」

となっている。
どうだろう、この変わり映えのなさ。
有名シリーズと大手メーカーで埋め尽くされたランキングから一抹の寂しさを感じるのは私だけか。
残り3ヶ月で年間ランキングに変動があるとしても、
「ドラクエ8」が1位になるか、「ポケモンエメラルド」が3位あたりに来るぐらいだろう。
ここ数年、大化けしたソフトは出ていないのである。

より安全で確実な商品を求めて極力無駄を省こうとするのは悪いことではない。
だが、誤解を恐れずに言うなら、ゲームはもともと「無駄なもの」なのだ。
「無駄」だからこそ面白いのだ。
せっかく幕張まで足を伸ばしたのなら、
約束された楽しさを確認するより、まだ見ぬ楽しさを探して欲しかった。

もちろん、新しい楽しさを提供する作品があってこその話なのだが。

ちなみに、会場でPSPを触ってきたという●●様からのメール、
「大きさは『GENESIS NOMAD』ぐらい」というのには笑った。
コメント (8)
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優良企業ランキング

2004年09月21日 | 業界四方山話
今日の日経新聞紙上で、今年の優良企業ベスト500が発表になった。
日本を代表する500社ということで、
聞いたことのある名前がズラリと並んでいる。
ゲーム関連企業でランクインした主な会社は以下の通り。
評価については、
「規模」「収益性」「安全性」「成長力」の4つの項目で採点し、
それらを総合して導き出されている。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

             規模 収益性 安全性 成長力
  6位:任天堂     81  61 100  39
 11位:サミー     59  74  49  94
 48位:スクエニ    54  70  92  43
 56位:コーエー    48  81  73  51
 83位:ソニー     97  38  50  49
103位:コナミ     62  71  53  54
124位:バンダイ    60  66  62  51
150位:テクモ     43  68  80  56
252位:ナムコ     58  62  59  50

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

2002年には1位、昨年は19位までランクを落としていた任天堂は今年は6位。
成長力は39と低いが、安全性が100、つまり満点というのが圧巻だ。
再躍進の大きな理由は携帯用マシンの好調と言われており、
折しも今日「ニンテンドーDS」の発売日と定価が発表された。
「12月2日(木曜日)15000円(税込み)」だそうである。
ソニーがPSでゲーム市場に参入した頃の任天堂は、はっきり言って高を括っていた。
気が付けばトップシェアを追われ、携帯用機の牙城をより強固にすることで
好調を維持してきた任天堂だが、ソニーがPSPで携帯用機市場への参入が決まった今、
事実上独占状態だった勢力図にも変化が現れるはずだ。
そういう意味でも、DSに失敗は許されない。
64やGCのようなソフト不足だけは避けたいところだが・・・・

サミーは抜群の成長力を武器に11位。
安全性が低いのはパチスロをメインにしているからなのか、
セガを吸収したからなのか、日経の採点者に聞いてみたいところだ。

「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」という
2大RPGを有するスクウェア・エニックスは48位。
毎年リリースされるわけではないため投資家からは敬遠されていた2社だが、
合併したことで売り上げが安定すると思われたのか安全性が94と高い。
石橋を叩いて渡るエニックスが、ギャンブル好きなスクウェアを
どれだけコントロール出来るかが今後の課題と言えそうだ。

部門別ランキングでは収益性で8位をマークしたコーエーが56位。
ここ数年は「三國無双」シリーズに依存し過ぎている気がするが、
「信長の野望」「三國志」「提督の決断」「大航海時代」「太閤立志伝」など、
売り上げの増減が少ない人気シリーズをいくつも持っているのは強みだろう。

ソニーショックからなかなか立ち直れないソニーは83位。
規模こそ97とトップレベルながら、収益性と安全性の低さもトップレベルで、
以下のコナミ、バンダイ、テクモ、ナムコと比べても全ての項目において下回っている。
そんなソニーも今日新型のPS2を発表、噂ではPStwoだと言われていた商品名は、
SCPH-70000と極めて普通なところに落ち着いた。価格はオープンプライス。
PSPの詳細については東京ゲームショウまでお預けか。

任天堂はDSで成長力の低さを覆すことが出来るのか、
ソニーはPSPで新たな市場開拓となるのか、
来年のランキング発表の頃にはある程度の回答が出ていることだろう。

なお、今日の発表会での久多良木社長があまりにも愛らしかったので載せてみた。
もちろん本気だ。
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単価1円

2004年09月20日 | 業界四方山話
スペースの大小こそあれ、どこの店にも必ず置いているのが特価商品だ。
同じ棚に積み上げられていても、その中の特価商品にはいくつかのパターンがある。

1■不良在庫を捌くため、赤字覚悟で値下げした特価商品。
2■問屋から安価で仕入れた、ちゃんと利益の出る特価商品。
3■決算期などにメーカーが放出するため、同時期に大量に出回る特価商品。

この中でショップ関係者の頭を悩ませているのが「1」だろう。
定価販売も出来ず、値引きすれば利益は1割取れるかどうかという薄利で20本販売しても、
ものの5本も半値で売ればチャラになってしまう。
仕入れ金額に応じた返品制度も、ベスト化に伴う廃盤・回収の制度もないゲーム業界において
新品ソフトの仕入れはハイリスク・ローリターンなのだ。

だが、大半の小売りが泣く泣く値下げをする一方、
メーカーに助け船を出してもらう大手量販店もある。
大手ともなれば仕入れる数も半端ではないため、不良在庫の数も半端ではない。
当然、特価販売によって生じる被害額も甚大だ。
これを放置すれば、以降のそのメーカーの新作の仕入れ数にも影響が出てしまう。
そこで登場するのが「1円仕入れ」である。

以前、少し前まで軽々と数十万本を売っていた人気タイトル、
「●●●」の新作が急に売れなくなったことがあった。
人気が下降気味であることは薄々感づいてはいたが、まさかここまで・・・と皆が思った。
私がたまに立ち寄っていた大手量販の特価ワゴンは、
いつもなら多種多様のソフトが並んでいるのだが、その時には「●●●」だけが山と積んであった。
ちょっと圧倒されるほどの本数に疑問を抱いた私は、販売元である▼▼▼の営業に問い合わせたところ、

「あぁ、アレですか。×××××さんの担当さんにえらい怒られまして、
 1980円で売っても損にならなくなるまで単価1円で卸したんですよ」

と教えてくれた。

定価4800円のソフトなら、通常の仕入れ値はだいたい3600円前後だ。
「●●●」の不良在庫が某店に100本あった場合、在庫金額は360000円、
これを1980円で100本販売すれば、162000円の赤字が発生してしまう。
しかし、メーカーから追加で100本、単価1円で仕入れればどうだろう。
在庫金額は360100円で本数は200本、1本あたりの仕入れ単価は1800円まで下がる。
これなら1980円で販売しても赤字は発生しない。
もちろん、この方法をとるには200本売るだけの販売力が要求されるわけで、
その辺の小売りが「うちもやってくれ」と言っても無理な話ではあるのだが、
1本2本の不良在庫で右往左往する小売り店にとっては羨ましい話だろう。

というわけで結論。
同じ値段なら小さい店で買ってあげよう。
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設定の甘いSFはハマれない「アイ・ロボット」

2004年09月17日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「アイ、ロボット」


「鉄腕アトム」から50年、2003年はアトム生誕の年でもあった。
日本で「アトム」が産声をあげた同じ頃、
海外で産まれたアイザック・アシモフのSF小説「われはロボット」が本作の原作である。

「われはロボット」の初版発行は1950年らしい。
SF好きなら誰でも知っているほどの有名タイトルらしいが、
私は未読のため原作と本作の違いについては比較出来ないことを前置きしておく。

で、原作が古典だからというわけではないと思うが、設定や展開が余りにも古くさくないか。
「ロボットに心はあるのか」という問題は、アシモフや手塚はもちろん、
世界中の小説家や漫画家が取り組んできた題材であろうし、玉石混淆の中からいくつかの名作も生まれてきた。
初出から50年の時を経た2004年に「われはロボット」を引っ張り出してきたからには、
引っ張り出すだけの理由と信念が必要だ。
「指輪物語」が「ロード・オブ・ザ・リング」として見事に映像化されたように、
「われはロボット」の価値を再確認するような映画でなければ映像化する意味がないと思う。
そういう意味では、本作は「鉄腕アトム」や「われはロボット」はもちろん、
手塚やアシモフの影響を受けた作家達が送り出してきた数多のフォロワーの出来にすら達していない。
SFに関しては素人同然の私から観てもB級であることが丸分かりなのだ。
これでは、世を去った後に作品を汚されたアシモフも草葉の陰で泣いていよう。

最初に書いたように原作は未読なのでどこからが映画オリジナルなのかは分からないが、
世界観の設定が圧倒的に作り込み不足だと思う。
「スナッチャー」「ポリスノーツ」などのSFアドベンチャーを手掛けた小島秀夫は、
「SFの場合は何よりもまず設定」と常々言っている。
未来世界を描くなら、完璧な箱庭世界を作ることが先決、というわけだ。
トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」は、
ミステリーとしてはこの上ないほど適当なストーリーではあったが、
設定に関しては本作よりずっとマシな未来図を作り上げていた。
本作の場合、ウィル・スミスをカッコ良く見せることと戦闘シーンを派手に見せることにのみ神経が向けられ、
土台となる設定部分は三日ほどの突貫工事で「あらよっ!」と仕上げたような印象を受ける。
グラついた土台の上では、どんなに金をかけた特撮も派手な銃撃戦も空回りするだけだ。
むしろ余計に虚しくさえある。

結局、「ロボットの心」などどこへやら、、、後半はキレたようなドンパチの嵐で終わってしまう。
足らない頭を力押しで誤魔化してやれというハリウッドお得意のやっつけ方だ。
「メン・イン・ブラック」や「インディペンデンス・デイ」など、
難しいことを考えないウィル・スミスファンにはいいかも知れないが、
まともなSF映画を観たいなら止めておいた方が賢明だと思う。

ウィルが乗り込むビルの心臓部はコミック版「銀河鉄道999」のプロメシュームそっくりだと思った。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:アイ・ロボット
    配給:20世紀FOX
   公開日:2004年9月18日
    監督:アレックス・プロヤス
   出演者:ウィル・スミス
       ブリジット・モイナハン
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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陽の当たる場所

2004年09月14日 | 業界四方山話
つい最近、テレビを見ていて2回ほど暗澹たる気持ちになった。
1回目は「笑っていいとも!」だった。
何年かぶりに見た「いいとも」には、
「アルタの中心で愛を叫ぶ」という便乗コーナーが出来ていた。
秘めた想いを公共の電波を使って告白するという、
実に「いいとも」らしい緩い企画である。
タモリに紹介され出てきた素人を見て私は凍り付いた。

■甲高い声
■妙にハキハキと喋り、しかも早口
■髪はグシャグシャ、服も・・・

リュックこそ背負っていなかったものの、
髪の先から足の先まで、毛穴という毛穴からオタク臭を発していた。
「もうこのまま帰してやってくれ」と願う私の声がタモリに届くはずもなく、
タモリは「想いを伝えたい相手は?」とマイクを向けた。
彼は言った。

「ネットゲームで知り合った●●ちゃんです」

うなだれる私をよそに、
ブラウン管の向こうでは明らかに「珍獣」として扱われる彼と、
そのことに気付きもせず
薄ら笑いで彼女の自慢話を続ける彼とのやり取りが続いていた。
やがて告白の時を迎え、彼は一際大きな声で言い放った。

「●●ちゃん、ゲームの中では僕は戦士!君は魔法使い!
 これからはリアルの君も守りたい!」
*(記憶曖昧につき多少違う可能性あり)

「瞳をとじて/平井堅」が流れた。
出演者も会場も湧きに湧いた。
爆笑で。

2回目は「ナイナイサイズ」だった。
ナインティナインの二人があちこちを散策する深夜番組だ。
この日のテーマは「秋葉原」だった。

もうこの時点で嫌な予感はあったのだが、
案の定、矢部が向かったのはメイド喫茶だった。
メイドのコスプレをした店員が出迎えてくれる、
秋葉原では(色んな意味で)話題の店だ。
「おかえりなさいませ、ご主人様っ♪」
メイド服に身を包んだ従業員がにこやかに店内へと招き入れる。
矢部が通された席の隣りには、
どう見ても30過ぎのグループが4、5人で談笑していた。
場所が場所なだけに、一般人に成りすます必要のない彼等はエンジン全開だ。
矢部が話しかけた太り気味の男は、曇りなき眼でコスプレ喫茶を絶賛した。

「最高です。僕はメイド萌えなんで、えっへっへっ」
*(これもうろ覚え)

画面下部には

「萌え=好き過ぎて気持ちが高まる状態」

などとスーパーが入っている。
彼を見る矢部の表情は「いいとも」出演者のそれと全く同じだった。
私はいたたまれなくなってチャンネルを変えた。

うちの姉はゲームを全くやらない人なので、
「ゲームをやっている大人=オタク=気持ち悪い」
みたいな図式が未だに根強く残っている。
これは姉に限らず、世間一般の人に多い固定観念だとは思うが、
こういう男達を見るにつけ、「そうでもないんだよ」と言えなくなってしまう。
100人の「普通の人」が築き上げたイメージは、
1匹の「珍獣」で簡単に塗り替えられてしまうものなのだ。

私は彼等にネットゲームやコスプレ好きを止めろと言っているわけではない。
30過ぎてようが、太ってようが、服装のセンスが酷かろうが、
そんなのはこの際全部許そう。
ただ、マイノリティであることを自覚して、節度だけは守って欲しい。
カメラを向けられたら断るぐらいの恥じらいを残しておいて欲しいのだ。
自分を第三者の視点から見つめることが出来なくなった時、
真のオタク道が開けるのかも知れないが、
それは同時に「陽の当たる場所」からの決別を意味することを肝に銘じて欲しい。

ちなみに、私はちゃんとカメラから逃げている。
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「仮面ライダー剣/デカレンジャー」に見る子供向け映画の実力

2004年09月07日 | 作品紹介(映画・ドラマ)
自慢じゃないが、昔私は「怪獣博士」と呼ばれていた。
「ウルトラマン」関連の本や図鑑を暇さえあれば読んでいた子供だったので、
気が付けば怪獣の写真を見ただけで
名前、身長、体重、出てくる回のタイトルまでスラスラと言えた。
あれから●●年、もう二度と劇場で観ることはないだろうと思っていた
「仮面ライダー」を観ることになった。
断っておくが、今回の鑑賞はあくまでも事故である。

今回観てきたのは、「仮面ライダーブレイド」と
「特捜戦隊デカレンジャー」の豪華2本立てだ。
子供の堪え性の無さを考慮してか、2本通しで観ても2時間弱と短めになっている。


■DVD:「特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE」


映画は「デカレンジャー」から始まった。
40分ほどの内容なのだが、これが予想以上に楽しめた。
子供向け映画であることをポジティブに解釈し、
「カッコ良ければ何だっていただくさ!」とばかりに
それはもうあっちゃこっちゃからいただきまくっている。
パワーゲイザーみたいな技出したかと思ったら衣装まで「KOF」っぽかったり、
犬の着ぐるみを着た隊長はまんま「ブラッディロア」だし、
「キルビル」のカメラワークや「アンダーワールド」の演出など、
(両手に銃を持って足下を円形に打ち抜き床を落とすとこなんかまんまだ)
元ネタがバレることも覚悟の上のような潔さがあってかえって好感を持った。
「バカ殿」出演時と寸分違わぬコント調芝居で押し切る石野真子や
すっかり特撮映画御用達女優となった新山千春など、
それなりのキャストも揃っているが、肝心のデカレンジャーの面々が
揃いも揃って不細工なのは一体どういうことなのか。
最近の戦隊モノはイケメン揃いをウリにしていたはずではないのか。
「子供がせがむから」を大義名分にして劇場に足を運んだお母様連中も、
この程度では納得しないと思うが。


■DVD:「劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE」


「デジカレンジャー」の終了後、休みなしで「仮面ライダー」が始まった。
最近の「ライダー」がシリアス方面へ向かっていることは聞いていたが、
冒頭からもう暗い。
「デカレンジャー」が振りまいたご陽気ムードが一変する。
ストーリーは、引退した旧ライダーと新たに任命を受けた新ライダーとの
確執がメインになっており、反発し合ったり協力したりするところは
この手のジャンルの定番とも言える展開だ。
少し気になったのが、
新ライダー達がどういう基準で採用されたのか、
(それが分からないと後半の展開が唐突過ぎる)
が説明されないなど、シリアスなフリをしている割には設定が甘いことだ。
「デカレンジャー」はあれぐらいでいいと思うが、
「ライダー」がこの程度では許されないと思う。
「ライダー」の製作スタッフには、
『我々は「デカレンジャー」の製作スタッフとは違う』という意識が
少なからずあっただろうし、そんな意気込みも感じるのだが、
上辺を除けば中身の薄さは同レベルだ。
だったら、潔い分だけ「デカレンジャー」の方が良いと思う。

不必要なまでに人が死にまくるのも違和感を覚えた。
「怪我でいいだろう、怪我で」と思う「死」もいくつかあり、
大人も楽しめる作品を目指したいのも分かるが、
ベースとなる支持層は小学校以下の子供達なのだということを
今一度肝に銘じて欲しいと思った。

上映後、ライダーがオロナミンCを配っていた。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:仮面ライダー&特捜戦隊デカレンジャー
    配給:東映 
   公開日:2004年9月11日
    監督:石田秀範(仮面ライダー)
       渡辺勝也(デカレンジャー)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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通常版の存在意義

2004年09月01日 | 業界四方山話
「限定版」「限定生産」「初回版」「予約特典」「先着」

マニア殺しの文句を並べてみた。
ゲームに限らず、CD、DVD、コミックなど、
世の中には星の数ほどの「限定モノ」が溢れている。

そんな中、今や通常版を探すのが困難な状況になっているのがギャルゲー業界だ。
「ときめきメモリアル」の限定版が異常な高値をつけたのをきっかけに、
ギャルゲーと限定は切っても切れない関係になった。

通常版の定価に2000円~3000円上乗せするのが相場だが、
この価格設定がメーカーからすれば相当に美味しいらしい。
その昔アトラスの営業から聞いた話だが、限定版に同梱されるグッズ類は、
原価にしてだいたい200円~300円なのだそうだ。
そこに「限定」の2文字を付けただけで
9800円前後の高額商品が2万本捌けてしまうとくれば、
メーカーが限定版商法を止めないのも道理である。
そう言えば、会社が傾きかけた頃のアトラスは
限定版ばかり出していた気がする。

しかし、大手が仕掛ける予約特典競争の激化と共に、
ギャルゲーは今や血中ギャルゲー濃度の高いユーザーにしか
付いて行けない市場へと変化してきてしまった。
限定版のみが数千本売れて終わり、というパターンも増えてきた。
「通常版」があってこその「限定版」
という概念そのものが危うくなってきたのだ。

限定版とは数が少ないからこその限定なのではないのか。
通常版より限定版が売れてしまったら、もう通常版の存在意義はないだろう。
しかし、このところこのパターンが実に多いのだ。
先週発売になったPS2の「Monochrome」もその典型で、
発売直後の売り上げは限定版が5400本、通常版が1700本となっていた。
通常版の需要はもうないようにも思えるが・・・

そんな私の疑問を解消したのが
「ラーゼフォン」を発売したバンダイであった。
このソフトは限定版という形はとっておらず、
豪華版と通常版の2種類を製作した。
豪華版にはDVDが付いているが、通常版はDVDなしと分かりやすい。
他に違うところと言えばジャケットの絵柄が違うぐらいだ。
誰の目にも「これ、通常版要らないじゃん」と映ったはずなのだが、
さすがはキャラクタービジネスに長けたバンダイ、
私のような業界の末端にいる忍には予想もつかない読みを披露してくれた。

「この『ラーゼフォン』という商品はですね、
 とにかく濃いファンが多いんですよ。
 もう『ラーゼフォン』と付いたら何でも買っちゃう、
 みたいなファンがいまして。
 だから通常版も数枚は仕入れといて下さい。
 通常版のジャケットのデザインが違うでしょ?
 もうこれだけで買ってくれますから。
 豪華版は開けずに置いといて、遊ぶ用に通常版を買う人も絶対いますから。
 開封して遊ぶように豪華版2個、通常版1個ってのも有り得ますね。
 そういうファンに支えられたタイトルですから。。。」

要するに、通常版は今や「もうひと稼ぎ」の為のアイテムというわけだ。
私からすれば阿漕としか言いようがないのだが、
結局は買った本人が満足していればそれでいいわけで、
ギャルゲーファンは皆金持ちであるな、という結論に達した。
ユーザー1人あたりの業界貢献度No.1は間違いなくギャルゲーファンだろう。
毎度ありがとうございます。


*『ラーゼフォン』はギャルゲーというよりキャラゲーだとは思うが、
 販売スタイルの一例として挙げさせてもらった。
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