デイビッド・セイン先生は来日して30年以上。日本での生活のほうが長くなってしまったそうだ。その間、英語に関する著書は400冊以上、累計部数は400万部以上。すごい実績を誇るバイリンガルの先生。
知らない日本語に出会うと「それ、どういう意味?」と目の前の日本人に聞いて覚えたそうだ。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」、言語の習得はこれに尽きると言っている。
日本語習得の経験があるからこそ、セイン先生からの英語の苦手な方へのメッセージには重みと説得力がある。
それではセイン先生が「英語、苦手かも・・・?と思った時に読む本」で伝えたいメッセージや内容のほんの一部を紹介しましょう。
「英語、苦手かも・・・?と思った時に読む本」
- デイビッド・セイン著
- 2019年11月30日初版発行
- 197ページ
- 一通り読むのに2時間
目次
- 0日目 英語が話せなくても、人生は楽しい・・・だけど?
- 1日目 目指せ1割打者
- 2日目 「間違えないように」は間違っていますよ!
- 3日目 会話では学校英語を忘れよう
- 4日目 「インプット」から始めよう!
- 5日目 英語力レベルアップ 実践編
本書が伝えたいメッサージ
- 世界で一番使われている言葉が英語
- グローバルな言語ゆえに英語を知れば「人生の選択肢が増える」
- 選択肢が増えれば人生が変わるかもしれない
- 英語は比較的覚えやすい簡単な言語
- やる気次第では誰でも人生を変えられる
「人生を変えたいが英語が苦手」と思っている方の為に、効果的な英語勉強法を紹介している。詳しくお知りになりたい方は本をご覧ください。
0日目 英語が話せなくても、人生は楽しい・・・だけど?
ポイント
- 英語は世界で最も話されている言語
- ノン・ネイティブを含めると15億人
- 英語は人生の選択肢を増やせる「魔法の道具」
1日目 目指せ1割打者
スポーツと同様、本番では10%の実力が発揮できればいいほうだ。 自己流のカタカナ読みの音読を繰り返してもネイティブに通じる英語は身につかない。
*カタカナ英語は外国人には通用しない
- コンセント ⇒ outlet / wall socket
- フライドポテト ⇒ French fries
- オランダ ⇒ Holland (ハゥラン)
個人的にはメキシコ(メクスィコゥ)の発音は今でも苦手だ。
*実際の発音に即したカタカナ英語を作るべき
- ウイルス ⇒ Virus (ヴァイラス)
- エネルギー ⇒ energy(エナジィ)
2日目 「間違えないように」は間違っていますよ!
- 英会話は中学英語で十分(これは体験済)
- 英語は間違えて上手くなるのに、日本では「上手くできたら楽しい」というよりも、スポーツと同じで「間違えたら X、ミスをしたら怒られる」という意識が先立ってしまう。「英語は間違えて当たり前」の意識で取り組もう
日本人がつい間違えて使ってしまう英語
正しいのはどちら?
「ちょっと手を貸して」と頼むなら?
A.Help me, please.
B.Can you give me a hand?
有名人に「サインをもらえますか?」と頼むなら?
A.Can I have your autograph?
B. Can I have your sign?
正解は順にB、A
あいづちフレーズ
- 英会話はもっとも「いい加減で大丈夫!」
- 会話で大事なのは「聞かれたら、即、答える姿勢」
- 直ぐに言葉がでなければあいづち表現で返す
何にでも使える空極のあいづちフレーズ
1.Oh!(オー!)ビックリして言う驚きの表現
2.Oh…(オー…)残念そうに言う同情の表現
3.Oh?(オーウ?)しり上がりに言えば質問
4.Oh.(オウ)普通に言えば「へえ!」
3日目 会話では学校英語を忘れよう
- 先生の話を聞く「受け身の授業」では英語を話せるようにはならない
- 英会話は上下関係でなく「フォーマル、カジュアルか」で話し方を変えよう
カジュアル(上段)v フォーマル(下段)
窓を開けてもらいたい場合、
Can you open the window?
Could you open the window?
辞書を使っていいか訊ねる場合、
Can I use this dictionary?
May I use this dictionary?
4日目 「インプット」から始めよう!
- 英検・TOEICなどの検定試験は速読力が求められる
- 「スピード」を上げるにはスピードリーディング(シャドーイング)
- 英文は頭から読む
- テスト結果に縛られないこと
正解はたくさんある
学校のテストだと、答えは一つ(採点しやすいような問題作り)なので英語嫌いを増やすが、実際はたくさんの表現がありどれも正解だ。
例えば、
トイレに行きたくなったら、英語でどういいますか?
- I want to go to the restroom.
- I need to go to the restroom.
- I need to excuse myself.
- Excuse me, can I use the bathroom?
- May I use the restroom?
- Where’s the restroom?
どれも正解だ!
私は公の場所では最後のフレーズをよく使った気がする。
今度チャンスがあったら I need to excuse myself.を塾の先生に言ってみたら? 即、理解できたらすごいと思う。英語圏での生活経験があるのかも!
好きこそ物の上手なれ
動画・音楽・映画・スポーツ、何でもいいから好きなものを英語で見聞きして大量のインプットをすれば自然で正しい英語の習得を効果的に行える。
我が家に来るヨーロッパからの日本語留学生は、ほとんどこのパターン。アニメを見て日本語を覚えたのだ。
5日目 英語力レベルアップ 実践編
- 会話では難しい単語はほぼ使わない(中学英語で十分)
- 単語で大事なのは「使い方」
基本動詞を使いこなそう
基本動詞 have の「使い方」はこんなにある。
「私は犬を飼っています」
- I have a dog.
「私には妹がいます」
- I have a sister.
「私は学校があります」
- I have school.
「私は時間があります」
- I have time
「パーティーを開こう」
- Let’s have a party.
「夕食を取ろう」
- Let’s have dinner.
「楽しもう」
- Let’s have fun.
ネイティブは句動詞を多用
句動詞は暗記しようとせず、前置詞や副詞そのものが持つニュアンスを感覚的に身につけよう。
代表的な句動詞をチェック、意味はどうなるでしょう?
- break down
- call off
- carry out
- come across
- come up with
- get over
- look up to
- make out
- put off
- set out
意味は上から順に、
- 故障する
- 中止する
- 実行する
- 出くわす
- ~を思いつく
- 克服する
- ~を尊敬する
- 理解する
- 延期する
- 出発する
冠詞の違いで意味が変わる
ネイティブは名詞と冠詞をセットにして覚える。そうすれば自然に身につき、迷わなくなる。
a は「どれでもいいひとつの個体」に使う
a cat どれでもいい一匹の猫
the は「改めて説明しなくともわかることを、一括りにまとめるため」に使う
Pass me the salt. 「(あなたのすぐ目の前にある)その塩、取って」
無冠詞は「数えられない不定形のもの」に使う
国・数字・曜日・季節・スポーツ・食事・液体・粉末など
a hamburger ⇒ ハンバーガー
hamburger ⇒ ハンバーグ
短縮形にするとニュアンスが変わる
- 短縮形は日常会話や文章で使う。通常は短縮形を使いましょう
- 大げさに言う必要がある場合や演説では、短縮形は使わない。因みに、2016年7月23日の大統領候補に指名されたトランプ氏の受諾演説の最初の1000文字をチェックしたが、短縮形は一つもなかった。
例
I am a student.(私は学生であります)
I’m a student. (私は学生です)
I do not like English(私は英語を好きではないのだ!)
I don’t like English. (私は英語を好きじゃない)
おわりに
「なぜ英語を学ぶのか?」という問いは、今は無意味な時代。グローバルなコミュニケーションの手段として知っておいて損はない。
しかし、日本では生活や仕事に直結していないので「英語が苦手」なら学ぶ必要はない。一方、多くの国では「英語は人生を変える手段」。一部の人には「趣味を極める手段」。
フィリピンではテレビチャンネルの半数以上が英語放送。誰でも24時間英語に触れられる。子どもはアニメが大好きなので英語放送をたくさん見る。そんな環境なので英語を習っていない子供でさえ幼稚園に入ると英語を話しだす。
我が家にくる欧米からの留学生で来日前に正規に日本語を学んだ学生さんは少ない。大好きな日本アニメを見て学んだ学生さんの方がはるかに多い。
いずれにせよ、日本でも英語教材となり得る情報はネット上に溢れている。英語を話せるようになるかどうかはセイン先生と同じく「学習に掛ける費用」でなく「個人のやる気」次第であると思う。ただ、学ぶ時間は限られているので学習方法は選ばなければならない。
今回もセイン先生の「英語、苦手かも・・・?と思った時に読む本」を紹介しましたが、苦手意識を少しでも取り除くことができたなら幸いです。