腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE9 飛べない円盤)
異星人たちは、去って行くあなたの背中しか見せてもらえない。彼らに見る目があれば、だが。
あなたの肩がきゅっと上がって、すとんと下がる。その動きは彼らへの挨拶か。あるいは、ただの整理運動か。誰にもわからない、あなたにさえ。
さて、どこへ行こう。あなたは迷う。
迷わずに歩き続ければ、消耗し、やがてあなたは消滅する。
でも、御心配なく。
あなたがいなくても、ゲームは続く。
そんなことぐらい、百も承知さ。
あなたは空を見上げる。眩しくはないが目を細め、両手を額に当てて、円盤を探す。ゆっくりと、その場で一回転半。
いないな、今日も。
苦笑するあなたを、飛べない円盤がどこかから見ている。
(続)