ヒルネボウ

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腐った林檎の匂いのする異星人と一緒 34 ゲーム(STAGE12 主題歌、不完全な)

2022-11-10 22:36:12 | 小説

   腐った林檎の匂いのする異星人と一緒

      34 ゲーム(STAGE12 主題歌、不完全な)

 橄欖なら必ず買って帰るからカラカラカランカラカラララ……

空き缶が転がる。

あなたは空き缶が転がって行く方へ進みますか。

あるいは、空き缶が転がって来た方へ進みますか。

あなた空き缶を追いかけて拾い、空き缶の来た方へ進む。

駅からやってくる老人の頭が、すれ違いざま、あなたを追うようにじわじわと動く。彼は鼻にチューブを差し込まれ、車椅子で運ばれている。押している老女が夫の禿げ頭を叩く。病人は呻く。彼は彼女の楽器だ。

どこからか、歌が聞こえる。あるいは、歌のような喘ぎが聞こえる。

あなたは呼ばれた気になり、声のする方へ向かう。

偽廃兵の歯が何本か欠けている。彼の抱えるアコーディオンの鍵盤が何本か欠けている。

出ない音があるので、メロディーを単純にしてしまう。あるいは、無理な転調でごまかす。

退屈。あるいは、窮屈。

♪踊ろう 踊ろう

   耳がなくても

  炎が消えかけても

  踊ろう 踊ろう

ズボンの中身のない方が、リズムに遅れて力なく揺れる。

存在しない長靴の爪先あたりに、あなたは空き缶を置く。

彼なら、忘れられた炎について、何か知っているかもしれない。

あなたは空き缶に5Gを投げ入れますか。

(続)