(34日目・5月24日)壬生川のターミナルホテル東予からママチャリで伊予
小松へ。駐輪場所から路線バスで横峰寺アプローチの入り
口大頭(おおと)下車。約8km、1時間40分の登りで湯浪
(ゆうなみ)休憩所。そこから山道の遍路道を60番札所 横
峰寺へ、奥の院の星が森から石鎚山を遠望する。下山は林
道を下り、63番、64番を逆廻りして小松の駐輪場所から
ママチャリで61番札所 香園寺詣り、出発地の壬生川のホ
テルに戻り、本日連泊。
晴。6:30起床7:10発→7:40小松総合支所、ファミリーマートで朝食、行動食仕入れ
→8:05路線バス→8:15大頭バス停下車→歩きで9:55湯浪休憩所(若者たちと談笑)
10:20→11:35 60番札所横峰寺、昼食(行動食)13:00→13:10奥の院 星が森13:30→下
山16:45 61番札所 香園寺17:05→18:05間食を仕入れてターミナルホテル東予着、本日
連泊。
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(ホテルからの朝の石鎚山)
本日は四国霊場の中でも屈指の難関、横峰寺。今回の通し打ちでも楽しみにしてい
た札所で、パートナーも呼んで一緒に歩き、さらには石鎚山にまで足を延ばそうと思
っていたのだが、日程等合わずで、単独での遍路で石鎚登山も『お預け』となってし
まった。なるべく余裕の日程と思いホテルの朝食は採らず、ママチャリで伊予小松を
目指す。通勤通学で交通量の多い国道196号を約30分で小松総合支所のバス停に到着
し、バス停横のファミリーマートで軽く朝食と昼用の行動食を仕入れ、8:05発の路線
バスに乗車して約10分で大頭バス停着、下車。バス停から国道を左折し生活道路へと
入っていく。ここから横峰寺遍路道の山道入り口になる湯浪(地元では『ゆうなみ』
と言っている)の休憩所に向かう。
バス停から湯浪まで約7.5kmで標高も300m近く登らなければならない。その間大頭
集落を通り過ぎていくのだが、延々歩く感じだが人家が点在しこの間コンビニや商店
が何もない。気を付けなければならないのは食べ物や飲料を仕入れるところもなけれ
ば、使用できるトイレも何もなく、何か所か集会所か公民館があるけれど、朝も早い
ためカギがかかっており入れない。一層のこと人家も何もなければ、『ちょっと失
礼』でさっさと済ませるが、集落が延々と点在して続いており、女性や大きい方では
そうもいかない。普通準備を周到にしておけば2時間ぐらいの行程なら何とかなる
が、エマージェンシーの場合は大変だろうなあ、記憶に留めておこう、と思った。
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(左・湯浪の東屋の休憩所、中・湯浪の湧水汲み場、右・湯浪の遍路道登り口)
10時前に湯浪休憩所着。ここは広場のようになっていて普通車なら5台くらいなら
駐車できそう。自転車遍路の時はここまで延々と漕ぎあがってきてここに駐輪し、山
道を往復した。登り口には横峰寺と書かれた四国の道の杭があり20年前と同じ景色。
登り口の左手には湧水の汲場があり、これも20年前と同じく、地元の女性の方が軽ト
ラックにポリタンクをいくつか積んで湧水を詰めておられた。
湯浪休憩所にはきれいなトイレが設置されていて、若者たちが7~8名くらいかと思
うけれど、トイレの掃除をしていた。大学か高校のフィールドワークかなあと思って
いたが、どうやら支援学校の若者たちのフィールドワークのようだった。そのうち掃
除が済んで休憩ベンチで輪になって指導員の方を囲んで、飴をしゃぶったりジュース
を飲んだりしながらにぎやかに談笑。私もそろそろと出発なので、わいわい話す彼や
彼女らに
「トイレをきれいに掃除していただいて、ありがとうございました。おかげで気持
ちよく使わせていただきました。それでは今から、山に行ってきます。」
と言うと、賑やかに
「行ってらっしゃい。お気をつけて。」
と返してくれた。元気な声に送られて遍路道の山道に入る。
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(左・遍路道①、中・遍路道②、右・遍路道途中にある丁石)
遍路道は整備されていてそれほど厳しいところはないが、距離にして約1.7km、標
高差約450m近く登らなければならない。しばらく川の上流、せせらぎに沿って歩
き、やがて丁石が出てきて尾根へと向かう。1時間強の登りで、歩き遍路へのウェル
カムゲートである山門に着いた。20年前にはもう少し道も整備されていなかったけれ
ど、45分で登ったことを覚えている。20年の歳月による加齢か、今回は途中休憩も少
ししたし、仕方がないか。
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(左・歩き遍路のウェルカムゲートの山門、中・横峰寺山門にて、右・横峰寺近辺の道案内)
山門でオートシャッターの自撮りをして、境内に入りお詣りと納経を済ます。納経
所でご婦人と寺のことや石鎚山との由来や奥の院のことを話していただき、奥の院星
が森へ行く旨を言うと別に星が森の納経も頂いた。山門から歩いて10分、霊場 星が
森に着いて鉄製の鳥居の中に石鎚山を遠望し、写真を撮る。いろんなポスターなどに
使われているアングルだけれど、鉄の鳥居は小さい鳥居で、高さは1.3m位かと思う。
したがって鳥居の中に石鎚山遠望を入れるアングルはかなり低い目線となるので、カ
メラを持って後ろへ少し倒れ込むような姿勢で何とか収めた。星が森のお詣りを済ま
せ、鳥居の横の道案内看板を見ると、石鎚山まで8時間と書いてある。本来はその道
を行くつもりだったのだが、今回かなわずということになった。13時20分に星が森
発。
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(左・横峰寺境内、中・奥の院星が森にて石鎚山遠望、右・星が森にある道案内看板)
13時20分に下山開始。横峰寺の駐車場から少し下がったところで、下山路の作業用
林道から左手に遍路道の下山道がありそこ辿ると61番札所 香園寺へはほぼダイレク
トに行けそうでそちらが古道の遍路道のようだけれど、私は下りの山道には極端にて
こずる。段差でもあればどうなることか予測がつかない。したがって今回はかなり遠
回りになるけれど作業用林道を下山することとした。林道とはいえ、森林組合の管轄
で作業用の道でもあり運転には緊張しそう。暫く行くと『平野林道管理署』というプ
レハブの事務所があり、自動車遍路の方はそこで料金を払うようだ。有料とはいって
も道の補修も必要最小限という感じで、自家用車はたまに訪れる遍路さんの車くらい
だがここから横峰寺駐車場まで簡易舗装はしているけれどオフロードのような道。あ
まり車の運転をしない人やツアーの遍路さんは料金所からさらに4kmくらい下がった
ダム湖が見下ろせる所にある『横峯寺登山参拝バス』への乗換所で、市街地からの路
線バスから参拝バス(不定時便のようだけれど)に乗り換えて横峰寺まで行かなけれ
ばならないようだ。一番の内陸部ということでは大宝寺、岩屋寺、標高の高さでは雲
辺寺等の難所があるが、アプローチの不便さというか厳しさは、四国霊場屈指の難所
の札所に違いない。
林道の下山に2時間強費やし市街地の氷見に降りてきて、国道11号線に出る。すぐ
近くに63番 吉祥寺、10分ほどで62番 宝寿寺と逆打ちして、両方ともお詣りは明日に
まわし、まずは小松総合支所に歩いて戻る。16時20分ごろ総合支所に着。まず横のフ
ァミリーマートでポカリの一人乾杯し軽くスウィートを食べる。しかし、気が付けば
16時30分が過ぎている。慌てて駐輪してあった自転車に乗り、横峰寺から降りてきて
本日中にお詣りして置く予定だった61番札所 香園寺へと向かった。
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(左・香園寺本堂・大師堂、右・香園寺境内)
何とか間に合ってまず納経所に飛び込み納経していただいた。香園寺は20年前に来た
時、モダンなデザインで鉄筋コンクリート造りの大変立派な本堂・大師堂が建立され
ており、左手にはまた立派な宿坊が建てられていた。本堂・大師堂は少し違和感もあ
ったのだが、20年の歳月で境内の中に落ち着いた佇まいをしている。納経していただ
いて時間を見ると16時45分、ホッとして納経所の女性とまたお喋りを始めた。
「20年前に自転車で遍路をして、その時立派な宿坊があったと思ったのですが。」
「はい。でもだいぶ前に廃止しました。」
「そうですか。今回歩き遍路ですけれど、香園寺さんの宿坊は歩きで横峰寺をお詣
りするのに、大変いい場所なのでお世話になろうと思って、2日ほど前に電話した
ら、廃館になったとのことで、宿探しに難儀して、結局壬生川泊りになりました。」
「それは、ご苦労様でした。」
といった話。実際、以前は小松の市街地にもビジネスホテルがあって、美味しい牛
肉が食べられる料理屋さんもあったように思うが、それらも今は分からない。そして
香園寺は石鎚山登山とセットなら、大変便利はベースになると思っていたのだが。
時間が過ぎ施錠された本堂・大師堂の外側からお参りし、納札を収めて、ママチャ
リで連泊のターミナルホテル東予に戻り、ホテル横の中華料理屋さんへ夕食を食べに
行った。明日は涅槃の道場、愛媛県最終の65番札所 三角寺(さんかくじ)麓の遍路
宿を目指し約65kmの移動。ママチャリのありがたさを実感しながら、明日の遍路の
イメージをする。ここまで来ると、毎日が楽しくなってくる。
(本日移動 約68km 内歩き 歩、 km)