ベルト・バックル修理 革漉き・裁断 伊東金属製作所

革ベルトやバックルの修理、革漉き、革の型抜きその他、幅広く紹介して行きます。

ダッフルコートのバックル修理

2016-06-15 09:19:56 | トレンチバックル
季節外れですが、ダッフルコートのバックル修理です。
クリーニングを終えた後にご依頼をくださるお客様が、
この時期でもいらっしゃいます。


こちらのお客様は、ウエストのバックルのみなのですが、革がボロボロですね。
できるだけ似た感じでとご依頼いただいております。
探してもグレーの革巻きバックルと言うのは、そうそうないでしょうね。


ベルトの生地に合わせて革を選定して修理しました。
お客様からは、
「代えのものがみつからず、7~8年ぼろぼろのまま使っていました。
今年は躊躇せずベルトを締められそうです。」
と、お礼のメールをいただきました。




こちらのダッフルコート、オーストリア製のようです。
日本語のクリーニングタグがついていましたので、
どこかの商社が輸入販売したものだと思います。
これは修理後の写真ですが、首と胸元に2個革巻きバックルがついていまして、
それが劣化していました。
他にも革パーツがあるので、色合いを合わせて修理しました。


こちらが修理前のバックルですね。
かなりダメージを受けています。

ダッフルコートのタグには、石油系ドライ可と表記されていましたが、
そもそも革をクリーニングと言うのは無理があります。
革はできれば痛みの原因になりますので、水洗いクリーニングがおすすめです。

クリーニングには、

ドライ(パークロロエチレンというドライクリーニング液で洗浄、一番衣類や皮革へのダメージが大きい)

ついで、石油系ドライ(パークロ液よりややダメージ少)

そして水洗いという3段階があります。

ダッフルコートがヨーロッパ製でしたし、
ヨーロッパではほとんどコートのクリーニングというのはしないと聞いています。
が、日本で販売するには日本人の文化なのでしょうか、
クリーニングできないと販売しずらい為、十分な耐性テストもせず、
パークロよりややソフトな石油系表記をつけるといったことが、
しばしばあるようです。
が、やはりそれを繰り返せば、革は劣化してきます。
仮に耐性テストしたとしても、ドライクリーニング耐性と言うのは、
3回テストを繰り返してOKならほぼ問題ないと言われています。
弊社でもテストセンターへ時折依頼しますので、
このあたりは割と詳しく知っています。
3回テストと言うことは、1シーズンに1回クリーニングに出したとして、
3年もてばほぼクレームにはならないだろうという、メーカー側の理屈です。
が、やはり良いものは5年10年と使いますので、そのあたりでメーカーとユーザーの見解が分かれるところだと思います。

そのそも革パーツですから、本来は水に濡らすのもよろしくないのですし、
今回のダッフルコートは、クリーニングしないヨーロッパ文化だからこそできるデザインだと思います。
折角素敵なデザインですので、クリーニングの取り扱いにはご注意いただいて、
末永くお使いいただけるよう願っております。


有限会社伊東金属製作所
03-3886-6271



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