『tokotoko』

Fortune comes in at the merry gate.

『松尾スズキさん、宮沢りえさん、段田安則さん』

2012-05-24 | 映画・ドラマ・舞台
昨日、世田谷パブリックシアターで、
朗読『宮沢賢治が伝えること』を観てきました

宮沢賢治が生まれた1896年、明治三陸地震が起き、
津波などにより2万人以上の死者が出ました。

その後、1933年に彼は亡くなるのですが、
この年には、昭和三陸地震が起きてしまい、数千人の被害が起きています。



キャスト/宮沢りえ 松尾スズキ 段田安則 
音楽/マリンバ演奏 中村友子



音楽をやるとき、声も楽器のひとつなのだと、思います。

楽器の使い方の、ほんの少しで、伝わり方は違ってきます。
声は、心を乗せる楽器としては、すばらしい楽器です。

同じ舞台に立っても、
『朗読』で使われる『声』は楽器というよりは、演じるからだの一部です。

声のトーン、大きさ、早さ、声色、
様々な手段により、

『物語』の扉をあけるのです。



緞帳のない舞台には、
木製かな?・・・の横に長い机があります。

その後方、少し高くなったところに、
もうひとつの舞台があり、そこにはマリンバが置かれています。

背景は、中央部分が縦にスクリーンのようになっていて、
そこに、朗読する作品のタイトルや、作中の詞などが縦書きで表示されました。



マリンバが鳴ります。

間もなく、読み手が登場します。

上手に松尾さん、中央に宮沢さん、下手に段田さん。

キャストの座る机の周りには、たくさんの本が置かれています。



後半『星めぐりの歌』が流れ、照明が落ち、幕に星空のライティングが。
まさしく、宮沢賢治の、イーハトーブの世界でした

注文の多い料理店 序



透明感のある宮沢さんの発する声は、いろんな音を奏でる。

ひとりの声でアンサンブルするように、
ほんの『少し』の濁りだとか、ほんの『ちょっと』の湿りとか、『ちょっぴり』の乾きとか、
不思議な女優さんだなぁと思いました。

春と修羅 序



段田安則さんの声。
舞台をやるひとの声。

でも、それは決して、クイクイ押されてくるような無理に大きかったり、
無駄にはっきりしていたりはしない。

ひとつの家が作られているような、
土台の声、梁の声、柱の声、壁の、扉の、声。

しっかりと支えがあって、安心できる、声。

わかりやすく、耳に入って、物語を登場させてくれる声。



どんどん読まれていき、

頭の、心の中で、ストーリーがたてられては、過ぎて行く、
たてられては、過ぎて行くと、

ほんの少し、余白が欲しくなります。

ちょっと待って。
今の『言葉』・・・が残ったまま・・・あっみたいな。

そこで、今回、すごくいい役目の、松尾さん。

山猫軒の奇妙な雰囲気と、なかなか気づかないふたり(段田さん、松井さん)の面白さ。
際立っていました。

ここの笑いが、いいメリハリをくれています。

松尾さんの声は、舞台の隅々まで届くように考えて作った声ではなくて、
(もしかしたら考えてるかも)
本当に、自然に、本当に、いい『かんじ』に響いて、

ギアの入れ替えは、ここでしている・・・ような、そんな・・・かんじでした。

さすがの演出家さんです。

話がそれますが、昨日、偶然、再演される、
松尾スズキさん作・演出『ふくすけ』の初日を観に行くことになったのでした。

こちらも楽しみです。



よだかの星



よだかのせつなさが、
宮沢さんのほんの少しかすれた声の間からもれていました。

永訣の朝



自分で読むよりも、
人の声の「音」で浮かべる情景は、哀しい

星めぐりの歌



雨ニモマケズ



稲作挿話

「ポラーノの広場」



来週も、行く予定です。

同じ題材で、別の『声』。

楽しみ。楽しみ




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