せかいで一番つよい国
その国の大統領は、「世界中の人々を幸せにするためには、
我々が世界を征服すれば、みんな我々と同じように暮らせる
のだから」といろいろな国を滅ぼしていきました。最後に
残った国は、あまりにも小さな国なので、大統領はこれまで
放っておいたのです。
しかし、ひとつ残しておくのは気持ち悪いので、征服するために
兵対を連れ出発します。小さな国についてみると、大統領はびっくり。
小さな国には兵隊がいなかったのです。そのうえに兵隊たちをお客さんのように歓迎してくれたのです。それから兵隊たちは、毎日、ちいさな
国の人々とおしゃべりしたり、石蹴りをしたり、昔ばなしを聞いたり仲良く遊ぶようになりました。そのうち兵隊たちは、仕事を手伝ったり、
料理を習ったりして一緒に食事をするようになりました。
大統領は、【ケシカラン】と怒って、兵隊達を国に送りかえし、
新しい兵隊を連れてきました。しかし、しばらくすると前の兵隊たち
と全く同じでした。
大統領は諦めて、何人かの見張りを残して国に帰ってしまします。残されたものは、すぐ軍服を脱ぎ、野原や畑に飛びだしていきました。懐かしい国に帰った兵隊たちは、小さな国で食べていたものを食べ、石蹴りをしてり、服まで小さな国の服をきているのです。大統領は驚きましたが、しかし戦争でぶんどってきたものだからと思いました。
大統領は、その夜子供に「歌を唄って」とせがまれました。目を閉じて歌う唄は、小さな国の歌ばかりでした。